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【認知神経科学おすすめ本25選】心理学と脳科学をわかりやすくつなぐ名著25選

 私たちはなぜ考え、感じ、記憶し、選択するのか。――その謎に挑むのが、認知神経科学という学問である。  心理学・神経科学・AI・哲学・情報科学などが交わるこの分野は、まさに「心を科学する最前線」。  ここでは、入門書から専門書まで、厳選した名著25冊を紹介する。

 

 まずは、第1ブロック「基礎・全体像をつかむ5冊」。  脳の仕組みや心の働きを体系的に理解したい人に向けた、最初のステップとなる名著を厳選した。

おすすめ本1〜5:認知神経科学の“全体像”をつかむ基礎名著

1. 認知脳科学(嶋田 総太郎)

 

 

 認知神経科学のエッセンスを「心理学の言葉」で理解したい人に最適な一冊。  難解になりがちな脳科学を、知覚・注意・記憶・言語・意識といった心理過程から順序立てて解説している。

 特徴は、脳画像研究(fMRI・EEG)と心理実験の“橋渡し”にある。  どの脳部位が、どんな課題で活動するのか――認知のプロセスを立体的に理解できる。  神経解剖を知らなくても読み進められる構成で、文系出身者にもやさしい。

  • 心理学と脳科学をつなぐ“ハイブリッド教科書”
  • 図・実験事例が豊富でイメージしやすい
  • 初学者〜大学院入門レベルまで対応

2. イラストレクチャー認知神経科学 ― 心理学と脳科学が解くこころの仕組み ―

 

 

 視覚的に理解したい読者におすすめのビジュアル入門書。  脳の構造や神経伝達のメカニズムを、豊富なイラストと写真で解説しており、まるで“脳の地図帳”のように学べる。

 特に秀逸なのは、「感覚入力から行動出力まで」の一連の流れを、実際の脳活動パターンとともに示す点。  認知心理学で学ぶ理論(例えば「注意のボトルネック」「ワーキングメモリ」)が、  どのような神経回路で支えられているかを具体的に把握できる。

  • 図解重視で直感的に理解できる構成
  • 心理学と神経科学の用語を丁寧に整理
  • ビジュアルで“脳が考える”様子を体感できる

3. カンデル神経科学 第2版(エリック・カンデル)

 

カンデル神経科学 第2版

カンデル神経科学 第2版

  • メディカルサイエンスインターナショナル
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 神経科学の“聖典”とも言える世界的名著。  ノーベル賞受賞者カンデルによる本書は、神経細胞の活動から学習・記憶・意識の問題に至るまで、  心のあらゆる側面を神経レベルで描き出す。

 圧倒的な情報量だが、図版が非常に美しく、文章も明晰。  「神経可塑性」や「シナプスの長期増強(LTP)」といった現代の脳科学の基盤を確実に理解できる。  辞書のように長く手元に置ける“脳科学のバイブル”だ。

  • 神経科学・医学・心理学の必読書
  • 学習と記憶のメカニズムを徹底的に理解
  • 専門職・大学院生・研究者レベルにも対応

4. 認知神経科学(道又 爾)

 

 

 日本人研究者による体系的テキストで、実験心理学・脳科学・計算論を融合的に扱う。  「心の科学」を“定量的に理解する”ことを目指した構成が特徴だ。

 特に印象的なのは、感覚知覚から運動制御までを「情報処理モデル」として描いている点。  心理学・情報科学・神経生理の知見を一貫してつなげることで、  “脳が思考するアルゴリズム”を理論的に学べる。

  • 日本語で読める体系的認知神経科学の決定版
  • 情報処理・脳活動・心理機能の統合的理解
  • 研究者・大学院入試レベルにも強くおすすめ

5. 教養としての認知科学(安西祐一郎)

 

教養としての認知科学

教養としての認知科学

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 認知神経科学の入り口に立つ前に、「そもそも認知とは何か?」を問い直す一冊。  脳科学・哲学・人工知能・心理学の歴史的流れを整理し、  “心を科学するとはどういうことか”をわかりやすく語る。

 認知神経科学を専門で学ばない人にもおすすめ。  AI時代の今、「人間の知性とは?」というテーマを深く考えるための哲学的教養書でもある。  カンデルやベアーなど専門書の前に読むと、理解が格段にスムーズになる。

  • 認知神経科学の前提を理解する“哲学的入門”
  • 心・知性・情報処理を横断的に整理
  • 高校生〜社会人にも読みやすい

おすすめ本6〜10:発達・教育・リハビリに生かす認知神経科学

6. 発達認知神経科学 原著第3版

 

 

 胎児期から青年期まで、脳と心の発達を追った決定版的教科書。  脳構造の変化を「認知機能の成長」と対応させながら、言語・感情・社会性・記憶といった機能の発達プロセスを詳細に解説する。

 MRIやfNIRSを用いた実証研究を多く収録しており、神経発達のリアルな可塑性を学べる。  また「環境と遺伝の相互作用」や「思春期の脳の再編」など、教育・臨床分野への応用にも直結する内容だ。

  • 脳と心の成長をつなぐ発達科学の定番
  • 教育・福祉・発達臨床の実践に役立つ
  • 最新の脳画像研究を豊富に紹介

7. 心と脳――認知科学入門(岩波新書)

 

 

 「脳が考えるとはどういうことか?」をやさしく語る、岩波新書の名入門。  専門的な図表よりも、思考実験・日常例を用いて「認知の不思議」を解き明かす構成になっている。

 例えば「赤い花を思い浮かべる」とき、脳のどの部分が働くのか?  その“見えないプロセス”を、哲学・心理・神経科学の視点でゆっくりと紐解く。  学生や社会人が初めてこの領域に触れる際の導入書として最適。

  • 平易な言葉で“脳と心”を解説
  • 哲学と科学の架け橋としての認知科学
  • 思索的でありながら実証的な一冊

8. 脳を観る:認知神経科学が明かす心の謎

 

 

 「脳をどう観るか」という観察技術と、それによって何がわかるかを中心にまとめたビジュアル科学書。  脳画像(fMRI, PET, EEGなど)から得られるデータをもとに、注意・感情・社会的判断などの認知活動を可視化する。

 脳活動の可視化によって“心の働き”を見ようとする試みは、まさに現代の科学革命。  読者は科学者のまなざしで、人の心をデータとして理解する快感を味わえる。

  • 脳画像研究の最前線を一般読者向けに解説
  • 「心を観る科学」のリアリティを体験できる
  • 視覚的にも美しく、科学への興味を喚起

9. 計算論的神経科学:脳の運動制御・感覚処理機構の理論的理解へ

 

 

 「脳をアルゴリズムとして理解する」ための理論書。  神経活動を数理的にモデル化し、情報処理の観点から認知機能を説明する、いわば“脳のプログラミング理論”だ。

 シミュレーション・数理モデル・スパイキングニューロンモデルなどを扱うが、数学よりも概念理解を重視している。  AI研究やロボティクスとも関わりが深く、現代の“認知コンピューティング”の基礎にもなっている。

  • 脳のアルゴリズムを理論的に理解できる
  • AI・神経科学・心理学を統合する視点
  • 理系学生・研究者におすすめの専門書

10. リハビリテーションのための認知神経科学入門

 

 

 医療・福祉・作業療法・理学療法の現場に役立つ実践的入門書。  脳損傷後の再学習や、注意・記憶・言語などの回復過程を「神経可塑性」の観点から詳しく解説する。

 単なる脳構造の説明にとどまらず、「リハビリ=脳の再構築」であることを具体的に示す。  ケーススタディやリハ場面のイラストも多く、臨床実践に直結する内容だ。

  • 臨床心理・作業療法・医療従事者必読
  • 神経可塑性に基づく“脳のリハビリ理論”
  • 実践・教育・研究を橋渡しする構成

おすすめ本11〜20:意識・共感・社会脳・言語の認知神経科学

11. 共感の社会神経科学

 

 

 “他者の痛みを感じる”とき、脳のどこが動いているのか。  本書は、共感・道徳・社会的判断を「脳のネットワーク活動」として読み解く社会神経科学の代表的論集だ。

 扁桃体・前帯状皮質・島皮質などの共感回路の働きを中心に、共感がいかに社会的行動を支えるかを最新研究で示す。  心理学・倫理学・神経科学を架橋し、“他者理解”を科学的に探求したい読者に最適。

  • 共感・利他行動・社会的判断の神経基盤を解説
  • 社会心理学×神経科学の最前線
  • 医療・教育・組織心理にも応用可能

12. 言語の認知神経心理学

 

言語の認知神経心理学

言語の認知神経心理学

  • 新興医学出版社
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 言語を「脳の情報処理」として理解するための定番書。  言葉の理解・生成・記憶がどのように神経活動として実現されているかを、失語症や神経障害の事例から解説している。

 脳の左半球(ブローカ野・ウェルニッケ野)に限定せず、現代では右脳や前頭前野との連携も扱う点が新しい。  言葉を使うことが「心の働き」であることを改めて実感できる一冊。

  • 言語処理・意味理解の神経メカニズムを学ぶ
  • 失語症研究を通して“脳の言語地図”を理解
  • 臨床心理・言語療法の基礎にもなる

13. 意識の認知科学 ― 心の神経基盤(認知科学の探究)

 

 

 「意識とは何か?」という人類最大の謎に挑む本格書。  意識体験を神経活動として捉える理論を、多くの脳科学モデル(グローバル・ワークスペース理論、統合情報理論など)で比較検討している。

 哲学的思考と実験的検証が高度に融合されており、「意識研究の地図」を描いたような内容。  読了後には“私とは何か”という問いがより鮮明に見えてくる。

  • 意識の神経基盤を体系的に解説
  • 心理学・哲学・人工知能を横断する名著
  • 研究志向の読者・大学院生にもおすすめ

14. 神経経済学と意思決定 ― 心理学・神経科学・行動経済学からの総合的展望

 

 

 「なぜ人は損を恐れ、他人の選択に流されるのか?」  その問いを、脳の報酬系・前頭前野・扁桃体の活動から解明するのが本書のテーマ。

 経済行動・意思決定・感情の交差点に立つ学問“神経経済学”の全貌を、日本語で丁寧に紹介。  行動経済学の理論を、脳科学的データで裏づけて理解できる貴重な一冊だ。

  • 意思決定・報酬・感情の神経基盤を探る
  • 行動経済学の神経的根拠を明らかにする
  • マーケティングや経営心理にも応用可能

15. 右脳と左脳を見つけた男 ― 認知神経科学の父、脳と人生を語る

 

 

 分離脳研究で知られるロジャー・スペリーの半生を描いたノンフィクション。  脳梁を切断した患者の研究から、人間の左右脳が異なる意識を持つことを発見し、  “認知神経科学の父”と呼ばれるまでの軌跡を綴る。

 科学史としても読み応えがあり、「脳が自己をどう形成するか」を人間ドラマとして味わえる。  専門知識がなくても楽しめる、文系読者向けの名伝記。

  • 認知神経科学の誕生を描いた感動の科学ノンフィクション
  • 分離脳研究の人間的背景を知る
  • 科学と哲学の交差点を感じられる

16. 40人の神経科学者に脳のいちばん面白いところを聞いてみた(河出文庫)

 

 

 世界の一線級の神経科学者40人に「脳で最も魅力的な現象は?」と問いかけたインタビュー集。  専門書でありながら、語り口は柔らかく、研究者の“知的情熱”がそのまま伝わる。

 人工知能・記憶・感情・創造性など、多様なテーマが横断的に語られる。  研究の現場がどれほど創造的で人間的かを感じることができる、知的インスピレーションの宝庫。

  • 40人の神経科学者による知の対話
  • 研究動機や哲学的洞察が刺激的
  • 一般読者にも読みやすいインタビュー集

17. つむじまがりの神経科学講義

 

 

 ユーモアと哲学が絶妙に混ざった“脳科学エッセイ”。  学術的な厳密さを保ちながらも、脳科学の奇妙で人間味あふれる側面を、軽妙な語り口で紹介する。

 「記憶をなくすとはどういうことか?」「私たちは本当に“自由意志”を持つのか?」  ――科学と日常がつながる瞬間の知的スリルを味わえる。理系文系問わずおすすめの名著。

  • 脳科学を日常の哲学として楽しめる
  • 難解なテーマを軽やかに語る筆致
  • 専門家にもファンが多い人気作

18. 脳はこうして学ぶ:学習の神経科学と教育の未来

 

 

 学びを「脳の変化」として理解する教育神経科学のスタンダード。  注意・記憶・モチベーション・睡眠など、学習効果を左右する脳内メカニズムを科学的に解説している。

 教育者・親・学生に向けて、“脳が学びたがる条件”を提示。  AI教育やリモート学習時代にも通じる、未来の教育を考えるための必読書。

  • 教育と脳科学をつなぐブリッジブック
  • 実践教育・自己学習にも活かせる
  • 科学的に“学ぶ力”を鍛える一冊

19. 脳と時間 ― 神経科学と物理学で解き明かす〈時間〉の謎

 

 

 時間感覚を脳がどう生み出しているのかを、物理・心理・神経科学の交点で探る野心的な書。  「1秒を感じる」「過去を思い出す」「未来を想像する」――これらの能力がどの神経系で処理されるのかを解説する。

 脳が“時間を作る”という逆説的な視点は、意識や自己感覚の理解にもつながる。  思索的でありながら、科学的根拠に基づく一冊。

  • 時間知覚・記憶・意識をつなぐテーマ構成
  • 神経科学×物理学というユニークな融合
  • 哲学的思考を刺激する知的冒険書

20. 脳を繙く ― 歴史でみる認知神経科学(神経心理学コレクション)

 

 

 認知神経科学の誕生から現代までを、科学史として俯瞰する良書。  19世紀の脳損傷研究、20世紀の行動主義・認知革命、そして21世紀の脳画像研究までを通史的にまとめている。

 「学問としての認知神経科学が、どのように“心の科学”へと成長してきたか」を理解するのに最適。  研究者や大学院生だけでなく、教養として“脳の歴史”を学びたい人にもおすすめ。

  • 認知神経科学の発展史を体系的に学べる
  • 過去と現在の研究潮流を整理
  • 研究・教育双方で参照価値の高い一冊

おすすめ本21〜25:臨床・応用・神経心理の認知神経科学

21. 神経心理検査ベーシック 改訂2版

 

 

 臨床現場で活躍する心理士・医師・作業療法士が、“脳のどこがどの機能を担うのか”を把握するための実践テキスト。  注意・記憶・遂行機能・言語・空間認知といった高次脳機能を、標準的検査(WAIS、WMS、BADSなど)とともにわかりやすく整理している。

 脳損傷や認知症のケースに即して「どの症状がどの部位の障害によるものか」を可視化でき、  単なる検査手順書にとどまらない、“臨床神経心理学の実践書”といえる。  公認心理師・臨床心理士試験の実務科目対策にも効果的。

  • 認知神経科学×臨床神経心理学の橋渡し書
  • 検査の背後にある脳機能モデルを理解できる
  • 現場の症例理解・チーム医療に即応

22. 臨床神経解剖学 原著第8版

 

 

 「脳を構造で理解する」ための世界的スタンダード。  脳幹・小脳・大脳皮質の各領域と、それに対応する認知・感情・行動の機能を詳細な図とともに解説している。  臨床医・心理士・リハビリ職が“解剖から考える認知機能”を理解するのに最適なテキストだ。

 構造と機能を一体化して説明することで、症状の原因を「見える化」できる。  脳梗塞・外傷・変性疾患などの病態理解にも直結し、臨床神経科学の原点に立ち返ることができる一冊。

  • 詳細なカラー図版で構造を直感的に理解
  • 高次機能障害や失語症の基礎理解に有効
  • 医療・心理職どちらにも役立つ臨床解剖の定番

23. 日本精神神経学会 認知症診療医テキスト

 

 

 高齢社会で必須の知識を網羅した、認知症と脳機能に関する専門テキスト。  アルツハイマー型・レビー小体型・前頭側頭型など主要疾患の特徴を、神経心理学・画像診断・臨床介入の視点から丁寧に整理している。

 記憶・遂行機能・社会的認知の障害をどのように理解し、支援へつなげるか――医療現場と地域福祉の両方を視野に入れた構成。  心理士・看護師・介護職にとっても“神経科学的な認知症理解”を深められる貴重な資料だ。

  • 臨床と神経科学の最新エビデンスを統合
  • 高齢者心理学・福祉心理学との連携に最適
  • 医療・心理・介護の現場をつなぐ専門書

24. 感覚神経を鍛えれば認知症はこわくない 本山式感覚神経トレーニング

 

 

 脳科学の知見を生活実践に落とし込んだユニークな応用書。  「感覚神経を刺激することで、前頭葉と海馬の活性を促し、認知機能を維持する」という理論に基づくトレーニング法を紹介する。

 触覚・嗅覚・聴覚などの多感覚刺激を組み合わせたプログラムは、リハビリ・高齢者施設・家庭ケアなど幅広く応用可能。  “科学的根拠に裏打ちされた健康脳習慣”を作りたい読者におすすめだ。

  • 生活に生かせる認知神経トレーニング
  • 感覚刺激と脳可塑性の関係を理解
  • 家庭・施設での実践にも応用できる

25. 連合野ハンドブック 完全版 ― 神経科学×神経心理学で理解する大脳機能局在

 

 

 脳の“高次中枢”である連合野に焦点を当てた、研究者・臨床家双方に必携の専門書。  視覚・聴覚・体性感覚・運動・情動など複数の領域が統合される「連合野ネットワーク」の働きを最新データで整理している。

 脳損傷や発達障害、失語・失認・失行など、複合的な障害の理解に不可欠な一冊。  脳機能局在と心理機能の対応をマップ化した構成で、研究にも臨床にも即戦力となる。

  • 大脳連合野の機能を統合的に理解できる
  • 臨床神経心理学・脳リハの基礎資料として最適
  • 研究・教育・実践すべてに応える決定版

認知神経科学の未来:脳科学・AI・心理学の融合へ

 近年、認知神経科学はAIやデジタル教育、医療デバイスと急速に融合している。  fMRIや脳波解析に加え、機械学習・ニューロモデリングの技術が、脳と心のメカニズムをより精密に再現しつつある。

 これにより、うつ病や発達障害、認知症リハビリにおいても「脳活動のデータから個別最適な支援」を設計できる時代が到来。  脳を理解することは、人間を理解すること――認知神経科学の知見は、これからの教育・医療・社会設計の基盤となっていくだろう。

関連グッズ・サービス

  • Kindle Unlimitedで神経科学・心理学の専門書を定額で読む
  • Audible(オーディブル)で脳科学の名著を耳で学ぶ
  • NHK for School「こころの科学」シリーズで認知と感情の映像教材を視聴
  • BrainScape・Ankiなどの無料アプリで「神経科学用語」暗記カードを作る

認知神経科学でよく使われる専門用語まとめ

fMRI(機能的磁気共鳴画像法)

 脳の活動による血流変化をリアルタイムで観察する手法。  思考や感情、記憶の瞬間に「どの脳領域が働いているか」を可視化できる。  現代の認知神経科学では、意識・共感・意思決定研究の中心ツール。

神経可塑性(Neuroplasticity)

 脳の構造と機能が経験によって変化する性質。  学習・リハビリ・トラウマ回復などすべての“心の成長”を支える神経メカニズムである。  「脳は死ぬまで変わり続ける」という科学的根拠の中心概念。

ワーキングメモリ(Working Memory)

 短期間で情報を保持・操作する脳の作業記憶。  前頭前野・頭頂葉のネットワークで支えられ、思考・学習・言語理解など多くの認知機能の土台となる。

報酬系(Reward System)

 快楽やモチベーションを生み出す神経回路。  ドーパミンが中心的役割を担い、意思決定・学習・依存などの行動選択に強く影響する。  神経経済学・行動心理学でも頻出のキーワード。

前頭前野(Prefrontal Cortex)

 脳の「司令塔」と呼ばれる領域。  計画・抑制・創造・社会的判断など、最も人間らしい機能を担う。  加齢やストレスによる機能低下が、認知症やうつ病にも関係するとされる。

海馬(Hippocampus)

 記憶の形成・統合を司る脳内構造。  感情の処理にも関与し、PTSDやアルツハイマー病の研究で重要視される。  学習・記憶・感情の交差点に位置する“心のハブ”といえる。

神経心理学(Neuropsychology)との違い

 神経心理学は「脳損傷と心理機能の関係」を臨床的に扱う分野。  一方、認知神経科学は健常脳も含め、脳の情報処理過程そのものを研究対象とする。  両者は密接に連携し、臨床・教育・AI研究へと応用されている。

認知神経科学Q&A:よくある疑問に答える

Q1. 認知神経科学を学ぶには、心理学と脳科学どちらを先に学ぶべき?

 どちらからでも構いませんが、最初に心理学(認知心理学・学習心理学)の基礎を理解しておくと、脳の働きを“意味のある行動”として理解しやすくなります。  その上で、神経生理・脳構造・脳画像の知識を重ねるとスムーズに理解できます。

Q2. AIやデータサイエンスに応用できる?

 はい。認知神経科学のモデル(注意・記憶・学習の理論)は、AIのニューラルネットワーク設計の基礎になっています。  また、脳波やfMRIデータ解析にはPythonやRなどのプログラミングスキルが活用されます。

Q3. 臨床心理士・公認心理師の学習にも役立つ?

 非常に役立ちます。特に神経・生理心理学分野の理解は、国家試験出題領域の柱の一つ。  脳損傷・発達障害・認知症の支援現場では、神経科学的な知見が実践の質を高めます。

Q4. 文系でも理解できる?

 近年はイラスト・実例中心の入門書が多く、数式に頼らない「概念理解型」の良書が増えています。  まずは『イラストレクチャー認知神経科学』『心と脳―認知科学入門』などから始めるのがおすすめ。

Q5. 認知神経科学の最前線では、今何が研究されている?

 AIによる脳活動の予測モデル(Brain decoding)、意識の神経相関(NCC)、共感・道徳判断の社会神経科学などが最注目領域。  また、発達・教育・医療への応用が急速に進んでおり、“実践に生きる脳科学”として発展しています。

まとめ:脳を知ることは、心を知ること

 認知神経科学は、単なる脳の解剖学ではなく、「人がなぜ考え、感じ、決断するのか」を探る心の科学。  AIや医療、教育の最前線でその理論が応用されるいま、  この分野を学ぶことは“人間理解の核心”に迫ることでもある。

 本記事で紹介した25冊を通じて、ぜひ脳と心の不思議な対話を感じてほしい。  それが、あなた自身の思考をより自由にし、深く豊かにしてくれるはずだ。

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 「人の心はどのように情報を処理するのか?」を探る心理学の中核領域。  注意・記憶・思考・学習など、心の情報処理をモデル化する学問であり、  認知神経科学の理論的な基礎を理解するのに最適。

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 脳・神経・ホルモンといった身体の働きを通じて心を理解する学問。  感情やストレス反応、覚醒などの研究を通じて、  認知神経科学の“生理的基盤”を支える領域といえる。

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 子どもの心の成長を追う発達心理学は、認知神経科学と強い親和性を持つ。  特に「発達認知神経科学」は、脳の可塑性や学習メカニズムを明らかにし、  教育・福祉・臨床現場の理論的支柱になっている。

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 認知心理学と経済学を融合し、「人がどのように意思決定を誤るのか」を研究する分野。  神経経済学との連携により、「脳はどうやって損得や選択を判断するか」という  “意思決定の神経メカニズム”に迫る最新学際領域。

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