人の記憶や感情、言語、意思決定は、どのように脳から生まれるのか。大学で心理学を学び始めたとき、私は「心を科学で説明できるのか」と疑問に感じていた。そんな私の思考を変えたのが、神経心理学の本だった。脳の障害や認知機能の研究を通じて、“こころ”の構造を具体的に理解できるようになったのだ。この記事では、Amazonで買える神経心理学のおすすめ書籍20冊を厳選して紹介する。初学者から臨床家、研究者志望まで、学びの深さに応じた構成にしている。
- おすすめ本20選
- 1. 初学者のための神経心理学入門
- 2. 神経心理学入門
- 3. 公認心理師のための 基礎から学ぶ神経心理学
- 4. 神経心理学的アセスメント・ハンドブック[第2版]
- 5. 記憶の神経心理学
- 6. 言語の認知神経心理学
- 7. 神経心理学への誘い 高次脳機能障害の評価
- 8. ルリヤ 神経心理学の基礎 脳のはたらき 第2版
- 9. 神経経済学と意思決定
- 10. 絵でみる脳と神経 第4版(医学書院)
- 11. 失語症臨床の認知神経心理学的アプローチ
- 12. 神経心理検査ベーシック 改訂2版
- 13. 神経心理学評価ハンドブック
- 14. 音楽の神経心理学
- 15. 街を歩く神経心理学
- 16. ジャクソンの神経心理学
- 17. 視覚性認知の神経心理学
- 18. タッチ(神経心理学コレクション)
- 19. 神経・生理心理学:脳から心を理解する
- 20. 神経心理学の挑戦
- 関連グッズ・サービス
- まとめ:脳を知ることは、人を深く理解すること
- よくある質問(FAQ)
- 関連リンク記事
おすすめ本20選
1. 初学者のための神経心理学入門
「心とは何か」を“脳から考える”きっかけをくれた本。タイトル通り、神経心理学の世界への入り口として理想的だ。脳の構造や神経伝達、記憶・注意・感情などの機能を、図表とエピソードでわかりやすく解説している。専門知識がなくても読みやすく、最初の一冊にふさわしい。
読みながら実感したのは、脳を理解すると「人間を立体的に見られる」ということ。理論の先にあるのは、脳損傷を負っても人間らしさを取り戻そうとする“生きた心”だ。学問の根底にある人間愛を感じる一冊。
2. 神経心理学入門
神経心理学の全体像を体系的に学べる決定版。脳の局在・神経解剖・高次機能障害・行動との対応などを、最新研究を交えてわかりやすく説明する。大学の教科書としても定番だが、読み物としても知的興奮に満ちている。
私はこの本で「脳はネットワークとして働く」という視点を得た。単なる部位の説明にとどまらず、心がどのように連携し合って機能しているかを理解できる。脳科学と心理学を架橋したい人に必読の一冊だ。
3. 公認心理師のための 基礎から学ぶ神経心理学
臨床現場で神経心理学を実践するための“使える教科書”。理論・アセスメント・介入事例までつながる構成で、特に公認心理師・臨床心理士に必須の知識が網羅されている。章ごとに症例を交えながら、実践的な理解が深まる。
印象的なのは「数値の背後に人を見る」という姿勢。検査や理論を超え、患者の人生や感情を含めて理解することの大切さを教えてくれる。神経心理学を“人を支える技術”として学びたい人におすすめ。
4. 神経心理学的アセスメント・ハンドブック[第2版]
神経心理検査を本気で学びたい人のための完全ガイド。WAIS、WMS、BADS、TMTなど主要検査を体系的にまとめ、結果の解釈や臨床応用まで詳説している。現場で即使える“実務の教科書”。
読んでいると、検査とは「人を測る技術」ではなく「理解するための窓」であると気づかされる。心理職・医師・リハビリスタッフが共通言語で話すための基盤書だ。
5. 記憶の神経心理学
記憶の神経メカニズムをテーマにした専門的かつ美しい一冊。海馬・扁桃体・前頭葉など、脳の構造と記憶の種類(エピソード・意味・手続き)を結びつけ、臨床事例を交えて語る。
読み進めるうちに、「思い出す」とは感情・身体・言葉の融合であると理解できる。忘れることの意味すら哲学的に感じられるほど、深い人間洞察をもつ本。科学と感性の両方を刺激してくれる。
6. 言語の認知神経心理学
言語と脳の関係を徹底的に解き明かした専門書。失語症・語彙アクセス障害など、言語機能が損なわれた患者の症例を通して、脳の言語ネットワークを鮮明に描き出す。
読みながら、言葉を発するという行為の奇跡を感じた。話す・書く・読むという営みが、どれほど精緻な神経活動の結果なのか。科学でありながら文学のように心を打つ内容だ。言語聴覚士・心理士志望者に必読。
7. 神経心理学への誘い 高次脳機能障害の評価
高次脳機能障害の評価と支援をテーマにした、臨床家のための実践書。実際の症例を通して、注意・遂行・社会的判断などの障害をどのように見立て、支援につなげるかを学べる。
「評価は理解の入り口である」という著者の言葉が心に残る。検査結果の数値の裏には、その人の生活と希望がある。現場で人に寄り添うすべての心理職・医療職にすすめたい。
8. ルリヤ 神経心理学の基礎 脳のはたらき 第2版
神経心理学の礎を築いたA.R.ルリヤの代表作。戦場で脳損傷患者を支援しながら、脳と人格の関係を追究した彼の思想が凝縮されている。理論だけでなく、人間理解の哲学が深く流れている。
彼が残した症例は、脳科学を超えて人間の尊厳を語る。 「科学とは、苦しむ人に光を当てる手段である」――その信念がページから立ち上がる。時代を超えて読まれるべき古典だ。
9. 神経経済学と意思決定
心理学・神経科学・経済学を統合した“脳の意思決定学”。報酬系・リスク回避・感情制御など、私たちの選択を左右する神経機構を科学的に解析する。行動経済学の先にある知的興奮が詰まっている。
読み進めると、「合理的な人間」という幻想が静かに崩れる。感情がいかに意思決定の中心にあるかを理解したとき、他者の行動が驚くほど理解できるようになる。研究志向の社会人にも強くおすすめ。
10. 絵でみる脳と神経 第4版(医学書院)
イラストで脳の構造を直感的に理解できる定番ビジュアルブック。 複雑な神経回路も図で整理されており、医学・心理・看護・リハビリの全分野で使える。神経心理学を学ぶうえで“地図帳”的な役割を果たす。
勉強の合間に眺めているだけでも理解が進む。 脳の奥に潜む「思考の構造」を、視覚的に掴みたい人にぴったりの一冊。
11. 失語症臨床の認知神経心理学的アプローチ
失語症リハビリの現場を支える名著。言語を再獲得するプロセスを、脳の可塑性と学習理論の観点から丁寧に追う。訓練ではなく「再構築」という視点が新鮮だ。
患者が初めて自分の名前を言えた瞬間の描写には胸を打たれた。神経の再編成という奇跡を、科学と人間愛で描いた一冊。言葉を扱うすべての人に読んでほしい。
12. 神経心理検査ベーシック 改訂2版
神経心理検査の手順と意図を写真つきでわかりやすく紹介。初学者が実際の検査を行うときの不安を払拭してくれる一冊。MMSEやFABなどの基本検査も網羅。
実習前にこの本を繰り返し読んでいた。検査を“形ではなく意図”で理解できるようになったことで、患者対応に自信が持てた。現場の相棒になる教科書だ。
13. 神経心理学評価ハンドブック
国内外の主要検査法をまとめた包括的な一冊。評価の背景理論や文化的視点までカバーし、神経心理学を“人間学”として読むことができる。
「検査者自身のバイアスを点検せよ」という一節に深くうなずいた。 人を理解するためには、まず自分の認知の限界を知る必要がある。そんな謙虚さを育ててくれる学びの書だ。
14. 音楽の神経心理学
音楽と脳の関係を科学した感動的な一冊。旋律やリズムがどのように感情・記憶・身体運動と結びつくかを、神経心理学的に探る。音楽が人間に与える癒しのメカニズムを解き明かす。
失語症の患者がピアノを再び弾くエピソードには涙した。言葉を失っても、音で心がつながる――その瞬間に“人の脳の尊さ”を感じる。読むたびに音楽がより深く聴こえるようになる。
15. 街を歩く神経心理学
街という“生きた実験室”で神経心理学を読み解くエッセイ集。注意・空間認知・社会的判断など、普段の行動の背後にある脳の働きをやわらかく描く。
本を閉じて外を歩くと、階段・信号・音の一つひとつが違って見える。日常を“脳の視点”で再発見する喜びをくれる一冊。難解な学問をこんなにも人間的に描けることに驚く。
16. ジャクソンの神経心理学
神経心理学の原点を哲学的に掘り下げた名著。脳は階層的に働き、上位の機能が下位を統制している――その概念は今も前頭葉研究の基盤になっている。
抽象的ながら、読み込むほど「意識と無意識の境界」が見えてくる。心理学が哲学・生物学・神経科学の交点にあることを実感させてくれる知的冒険書。
17. 視覚性認知の神経心理学
視覚失認や半側空間無視など、“見ることの障害”をテーマにした専門書。 脳がどのように世界を再構成しているかを豊富な症例で示す。
「右半分の世界しか認識できない」という患者のケースには衝撃を受けた。 それでも世界を理解しようとする姿が、人間の認知のたくましさを教えてくれる。読むと「見える」とは何かを根本から考え直すことになる。
18. タッチ(神経心理学コレクション)
触覚と心の関係を科学する一冊。 触れる・感じる・痛みを知る――これらを神経心理学的に分析し、“触れることの意味”を問い直す。
赤ちゃんを抱く温もりや、人の手のぬくもり。 その一瞬の背後に、緻密な脳活動があると知ると、世界が優しく見える。身体と心の境界を溶かすような温かい本。
19. 神経・生理心理学:脳から心を理解する
神経心理学と生理心理学を横断的に学べる教科書。 脳波や神経伝達物質などの基礎から、感情・行動への応用までを体系的に解説する。図表が多く、初学者にも理解しやすい。
読んでいるうちに、「感情は化学反応であり、同時に物語でもある」と気づく。 科学と心の融合を実感できるテキストだ。
20. 神経心理学の挑戦
神経心理学が“心をどこまで科学できるのか”という哲学的問いに挑む、シリーズ屈指の名著。理論・臨床・倫理の境界を越え、人間存在そのものを問う。
ページをめくるほど、自分自身の心を覗き込む感覚になる。 学問を超えて、「人間とは何か」という原点に戻らせてくれる。神経心理学を“生き方”として学びたい人へ。
関連グッズ・サービス
神経心理学の学びは、図や音声を使って理解を深めると効果的だ。以下のツールを組み合わせると効率が上がる。
- Kindle Unlimited ― 医学・心理学ジャンルの専門書を多数収録。辞書機能を使えば英語論文もスムーズに読める。
- Audible ― 脳科学や心理学の名著を音声で聴ける。目を酷使しやすい研究者や医療従事者にとってもありがたい。
-
Kindle Paperwhite (16GB) 7インチディスプレイ、色調調節ライト、12週間持続バッテリー、広告なし、ブラック
― 薄暗い研究室や夜の読書にも最適。長時間でも疲れにくく、専門書の電子版を快適に読める。
まとめ:脳を知ることは、人を深く理解すること
神経心理学は、心理学の中でも最も“人間の根源”に近い学問だ。脳を知ることで、記憶や感情、人格の成り立ちが見えてくる。
- 入門として読むなら:『初学者のための神経心理学入門』
- 臨床現場を意識するなら:『神経心理学的アセスメント・ハンドブック』
- 研究志向なら:『神経経済学と意思決定』や『ルリヤ 神経心理学の基礎』
脳の中に「こころ」を探す旅は、一生続く学びだ。あなたが今抱える“人の不思議”への問いに、きっと答えの糸口をくれる一冊が見つかるはずだ。
よくある質問(FAQ)
Q: 神経心理学は難しい?医学の知識がなくても読める?
A: 『初学者のための神経心理学入門』や『公認心理師のための基礎から学ぶ神経心理学』は図解が多く、医療知識がなくても理解できる構成になっている。
Q: 神経心理学と生理心理学の違いは?
A: 生理心理学は「脳と心の関係」を実験的に探る基礎研究中心、神経心理学は「脳損傷などによる認知機能の変化」を臨床的に扱う応用領域だ。
Q: 神経心理学を学ぶのに必要な前提知識は?
A: 心理学の基礎(知覚・認知・発達)を理解しておくとスムーズ。脳構造を図で覚えると、理論の理解が格段に深まる。



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