心の闇や異常行動に興味を持ったのは、ある臨床心理学の授業で見たケース映像がきっかけだった。理解不能だと思っていた行動にも、理由や背景があると知った瞬間、世界の見え方が変わった。この記事では、実際に読んでよかったと感じた「異常心理学」関連の本をAmazonで購入できるものから厳選して紹介する。基礎から臨床、犯罪心理まで、異常を“科学的に理解する”ための20冊だ。
- おすすめ本20選
- 1. 異常心理学(G.C.デビソン/J.M.ニール/誠信書房/単行本)
- 2. FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記(ロバート・K・レスラー/ハヤカワ文庫NF)
- 3. 異常の構造(講談社学術文庫)
- 4. 自分の「異常性」に気づかない人たち: 病識と否認の心理(草思社文庫)
- 5. あなたの中の異常心理(幻冬舎新書)
- 6. 犯罪を生む心、社会を守る心: 心理学ビジュアル百科 司法・犯罪心理学編
- 7. 異常心理学大事典(朝倉書店/単行本)
- 8. 自己愛の心理学: 概念・測定・パーソナリティ・対人関係
- 9. 異常心理学(岩波全書)
- 10. 自殺の心理学(講談社現代新書 1348)
- 11. 「本当の自分」がわかる心理学~すべての悩みを解決する鍵は自分の中にある(学研プラス/単行本)
- 12. トランスパーソナル心理学入門(講談社現代新書 1465)
- 13. 異常心理学講座 9(みすず書房/単行本)
- 14. 魂にメスはいらない ユング心理学講義(講談社+α文庫)
- 15. 平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学(草思社文庫)
- 16. 入門 犯罪心理学(ちくま新書)
- 17. 異常性格の世界: 「変わり者」と言われる人たち(創元こころ文庫)
- 18. 痛みの心理学 感情として痛みを理解する(誠信書房/単行本)
- 19. 悪事の心理学 善良な傍観者が悪を生み出す(新潮社/単行本)
- 20. 異性の心を上手に透視する方法(PHP研究所/単行本)
- 関連グッズ・サービス
- まとめ:今のあなたに合う一冊
- よくある質問(FAQ)
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おすすめ本20選
1. 異常心理学(G.C.デビソン/J.M.ニール/誠信書房/単行本)
世界中の大学で採用されている定番教科書の日本語版。異常心理の定義から精神障害の診断、治療、社会的側面に至るまで、体系的にまとめられた一冊だ。DSMやICDといった国際基準に基づき、うつ病、統合失調症、強迫性障害などを多面的に解説している。理論だけでなく、症例や統計、文化的要因などの分析も丁寧で、学問的にも信頼度が高い。章末のレビュー問題や実践的な事例も豊富で、独学でも理解しやすい構成だ。
読み進めるうちに、異常と正常の境界が曖昧であることに気づく。自分の中にも潜む「異常性」を見つめ直す機会にもなる。心理学を本格的に学びたい人はもちろん、臨床の現場を目指す人にも必読のテキスト。
- 世界標準の心理学教科書
- DSM・ICDの最新分類を踏まえた構成
- 臨床・研究の両視点から学べる
- 実際の症例で理論を理解できる
2. FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記(ロバート・K・レスラー/ハヤカワ文庫NF)
「シリアルキラー」という言葉を世界に広めたFBI捜査官ロバート・レスラーの手記。彼が直面した凶悪犯罪の現場、異常殺人者との対話、心理分析の手法が臨場感あふれる筆致で綴られている。科学的プロファイリングの原点を知る貴重な記録でありながら、読む者の倫理観や人間理解を根底から揺さぶる一冊だ。
犯罪者の残酷さよりも、彼らの“人間としての背景”に焦点を当てており、異常心理が社会や家庭環境とどのように結びつくかが見えてくる。犯罪ドラマやプロファイリングに興味のある人はもちろん、心理学を現場の視点から学びたい人に強くすすめたい。
- FBI犯罪分析の実際を描いた手記
- 異常犯罪者との面接記録が多数
- 人間理解を深めるノンフィクション
- 実際のプロファイリング手法が学べる
3. 異常の構造(講談社学術文庫)
異常とは何か、正常とはどこまでか――この問いに哲学・精神分析・社会学の視点から切り込む名著。単なる病理学ではなく、社会や文化、言語の「構造」として異常をとらえる。難解だが、読み進めるほどに“人間とは何か”を問われる。
著者は、異常を個人の欠陥ではなく「社会的文脈のずれ」として分析する。犯罪、狂気、信仰、愛といったテーマが有機的に結びついており、異常心理を文化の一部として再定義する試みだ。心理学だけでなく哲学的教養を求める読者に深く刺さる内容。
- 異常概念を構造的に読み解く思想書
- 社会・文化・精神分析を融合した視点
- 「異常とは何か」を根源から問う
4. 自分の「異常性」に気づかない人たち: 病識と否認の心理(草思社文庫)
人はなぜ自分の異常に気づけないのか。精神疾患の「病識欠如」や否認という防衛機制をテーマにした心理学的考察。統合失調症やアルコール依存症、摂食障害など、症状を自覚できない人々のメカニズムを丁寧に追う。
著者は臨床経験をもとに、否認の裏にある「自我の防衛」と「社会的孤立」を描き出す。読者はいつしか、自分自身の思考や感情の中に潜む“微細な否認”を意識するようになる。心理臨床や精神医療に関わる人だけでなく、人間理解を深めたい一般読者にも強くすすめたい。
- 病識欠如と否認の心理を解説
- 臨床事例に基づいたリアルな記述
- 自己理解を深めるきっかけになる
5. あなたの中の異常心理(幻冬舎新書)
「異常心理」は特別な人の話ではなく、誰の心にも潜んでいる――この視点から始まる軽やかな一冊。社会的に「普通」とされる人間の中にも、怒り・嫉妬・破壊衝動といった“異常の芽”があることを、平易な言葉で解説する。
日常に潜む心理のズレや無意識の偏りに気づかせてくれる構成で、読みやすいながらも深い洞察に満ちている。読後には、人間を単純に善悪で分けることの危うさに気づくはずだ。
- 日常に潜む「異常」を解き明かす
- 平易な語り口で心理の奥を描く
- 自己理解の入門として最適
6. 犯罪を生む心、社会を守る心: 心理学ビジュアル百科 司法・犯罪心理学編
視覚的に学べる犯罪・司法心理学の入門書。凶悪犯罪、詐欺、暴力、少年非行などを心理学の理論とデータで解説。カラフルな図版やケーススタディが豊富で、専門知識のない人でも理解しやすい。
社会秩序と個人の心理の関係を「見える化」しており、ビジュアル教材としても優秀。犯罪心理を学びたい学生や一般教養として心理学を知りたい人に最適だ。
- フルカラーのビジュアル解説
- 犯罪心理学の要点を網羅
- 司法・社会心理への導入書
7. 異常心理学大事典(朝倉書店/単行本)
心理学・精神医学の研究者が執筆した異常心理学の総合辞典。用語解説、代表的理論、疾患モデル、研究者紹介などを網羅しており、学術レベルの調査にも耐えうる。
巻末索引の充実度も高く、論文執筆時のリファレンスとしても重宝する。難易度は高いが、理解の幅を大きく広げてくれる一冊。
- 異常心理学の決定版辞典
- 用語・理論・研究を網羅
- 大学・大学院での研究に必須
8. 自己愛の心理学: 概念・測定・パーソナリティ・対人関係
現代社会で急増している「自己愛的傾向」を科学的に分析する専門書。自己愛性パーソナリティ障害の構造、測定方法、人間関係への影響などを多角的に扱う。
単なる性格論ではなく、精神病理と社会心理の交差点として自己愛を論じる点がユニークだ。自尊心と他者理解のバランスに悩む現代人にとっても示唆が多い。
- 自己愛性パーソナリティを科学的に分析
- 測定・臨床・対人関係を多面的に検討
- 自己理解を深めたい人にも有用
9. 異常心理学(岩波全書)
岩波全書シリーズの中でも古典的評価が高い一冊。学問としての異常心理学を日本的文脈で体系化しており、学説史から現代の課題までを丁寧に追っている。
難解な部分もあるが、理論の骨格を理解するには最適。デビソン/ニール版を補完する形で読むと、学問的厚みが増す。
- 日本における異常心理学の定番書
- 理論と歴史を俯瞰できる
- 上級者・専門志向の読者向け
10. 自殺の心理学(講談社現代新書 1348)
「死にたい」という感情の裏にある心理構造を科学的に解明する一冊。抑うつ、絶望、孤立、援助要請などを心理学的観点から読み解く。
著者は長年自殺予防に携わっており、当事者支援や社会的予防策にも言及。読後には“生きる力”とは何かを考えさせられる。人間の弱さと希望を見つめ直すための名著。
- 自殺行動の心理構造を科学的に分析
- 臨床・支援・社会予防の三位一体的視点
- 心の危機を理解するための必読書
11. 「本当の自分」がわかる心理学~すべての悩みを解決する鍵は自分の中にある(学研プラス/単行本)
「心が不安定」「生きづらい」と感じるとき、私たちはしばしば“他人の目”を意識しすぎている。本書は、そうした自己否定や葛藤の裏に潜む「無意識の異常心理」を解き明かす自己分析の書だ。心理テストやワーク形式で、自分の深層を理解するステップが丁寧に示されている。
異常心理を学問的にではなく、“自分の中の問題”として向き合える構成になっており、専門書の補助として読むと新たな発見がある。読後には、自分の内面を見つめる勇気がわいてくる。
- 自己理解のための心理ワーク形式
- 心の異常を自分の中から見つめる構成
- 専門書と併読で理解が深まる
12. トランスパーソナル心理学入門(講談社現代新書 1465)
マズローやグロフらが提唱した「トランスパーソナル心理学」は、異常心理と宗教体験・超越意識を結ぶ新しい心理学だ。精神病と神秘体験の境界をどう理解するか――この難題に挑んだ名著。
「異常=病理」という図式を越え、意識の拡張や瞑想体験などをポジティブに捉える視点を与えてくれる。読んでいくうちに、“異常性”が必ずしも否定的なものではなく、成長や変容の契機になりうることに気づく。心理・宗教・哲学の交差点に興味のある人には最高の導入書だ。
- 異常心理と宗教的体験をつなぐ理論
- マズロー/グロフらの思想を紹介
- 意識の拡張を肯定的に理解する
13. 異常心理学講座 9(みすず書房/単行本)
全巻シリーズの中でも特に「社会と異常」「文化と精神病理」を扱う巻。学術的難易度は高いが、異常心理学を本格的に研究したい人には欠かせない。
複数の専門家による論文集形式で、精神病理学、文化心理学、臨床哲学などを横断的に論じている。とくに「文化的背景による異常の表現型の違い」は読み応えがあり、異常を相対化する視点が得られる。
- 学術シリーズの集大成
- 文化・社会と異常心理の関係を論考
- 大学院・専門研究者向け
14. 魂にメスはいらない ユング心理学講義(講談社+α文庫)
異常心理を“魂のメッセージ”として読み解くユング心理学の講義録。精神疾患や夢、シンボルの意味を、医療ではなく人間の成長物語として語る。
ユング派分析家による実体験に基づく語りは温かく、心理療法が「病を癒す」というより「心を回復する」行為であることを思い出させる。難解な理論を柔らかく紹介し、専門知識がなくても読める構成。
- ユング心理学をやさしく解説
- 異常心理を「魂の叫び」として理解
- 癒しと自己回復の本質を学べる
15. 平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学(草思社文庫)
世界的ベストセラー。自己愛性パーソナリティ障害やサイコパスの心理構造を明快に描いた一冊だ。著者マーサ・スタウトは臨床心理学者としての豊富なケースをもとに、「良心をもたない人間」が周囲をどう操るかを分析する。
読み進めるうちに、“善良な人”がいかにして悪意に巻き込まれるのかが理解できる。職場・家庭など現実の人間関係にも応用できる内容で、異常心理の社会的側面を知るのに最適だ。
- サイコパス心理の古典的名著
- 良心の欠如という異常を解説
- 対人トラブルの防衛にも役立つ
16. 入門 犯罪心理学(ちくま新書)
犯罪行動の背景にある心理プロセスを、科学的にわかりやすく解説した新書。異常心理学と社会心理学の橋渡しとなる内容で、刑事事件・非行・再犯などの実例を豊富に扱う。
犯罪心理を単なる「異常」とせず、環境・動機・発達要因の総合的理解を促す。専門書の入口としても、一般教養としてもおすすめの一冊。
- 犯罪心理学の基礎をわかりやすく解説
- 異常行動と社会要因の関係を学べる
- 初心者にも読みやすい新書
17. 異常性格の世界: 「変わり者」と言われる人たち(創元こころ文庫)
「変わり者」とされる人々の性格や行動を、異常心理学の視点から分析。病気とは呼べないが社会適応が難しいタイプの人々に焦点を当てる。
著者は長年の臨床経験から、人間の“普通ではない”部分を肯定的に描く。読むと、異常性格の裏にある繊細さや創造性が理解でき、「異常=悪」という偏見が崩れていく。人間の多様性を受け入れる視野を与えてくれる。
- 異常性格を理解する入門書
- 実例豊富で読みやすい
- 「変わり者」を肯定的にとらえる視点
18. 痛みの心理学 感情として痛みを理解する(誠信書房/単行本)
身体の痛みと心の痛みをつなぐ心理学的名著。痛みを単なる感覚でなく「感情」として捉え、うつ・トラウマ・慢性疼痛などに共通する心理的メカニズムを明らかにする。
読者は、苦痛の中にある“意味”を見つけることの重要性に気づかされる。医療・看護・カウンセリング分野で働く人にも役立つ。異常心理学の中でも「心身相関」を理解するうえで欠かせない一冊。
- 痛みを心理的現象としてとらえる
- 心身医学・臨床心理の橋渡し
- 医療・看護従事者にもおすすめ
19. 悪事の心理学 善良な傍観者が悪を生み出す(新潮社/単行本)
人はなぜ、悪に手を染めるのか。社会心理学者フィリップ・ジンバルドーの研究を背景に、「状況が人を悪に変える」過程を検証する。スタンフォード監獄実験やミルグラム実験など、有名な実験を通じて“普通の人間”が加害者になる瞬間を描く。
読後には、誰の中にも潜む“悪への傾斜”を実感するだろう。異常心理学を倫理・社会の文脈で理解するのに最適な書。
- 社会心理学から悪のメカニズムを分析
- 有名実験を通して人間の本質を探る
- 「普通の人が悪に染まる理由」を考える
20. 異性の心を上手に透視する方法(PHP研究所/単行本)
一見軽いタイトルながら、実は対人関係に潜む「異常心理」をユーモラスに読み解く心理実践書。恋愛や職場で起こる誤解・嫉妬・執着などの背後に、無意識の心理防衛や投影があることをやさしく解説。
相手を“読む”ことは、自分の心を理解することでもある。人間関係の摩擦に悩む人にとって、異常心理の応用編として有効な一冊。
- 恋愛・対人心理の実践的指南書
- 異常心理の応用を日常に活かせる
- ユーモアを交えた読みやすい構成
関連グッズ・サービス
理論書を読んだだけでは、異常心理学の理解は定着しにくい。日常で「感じ、記録し、振り返る」習慣を組み合わせると、学びが深まる。
- Kindle Unlimited ― 教科書系の分厚い本も電子で読める。精神科勤務時代、移動中に活用して効率が上がった。
- Audible ― ノンフィクション作品や心理系講義を耳で学べる。寝る前の学習にも最適だった。
- Kindle Paperwhite ― 暗い場所でも目に優しく、病院勤務時代の夜勤中も読書できた。
まとめ:今のあなたに合う一冊
異常心理学の本は、病理・犯罪・自己理解など多彩な切り口がある。
- 基礎から学ぶなら:『異常心理学(デビソン/ニール)』
- 現場のリアルを知りたいなら:『FBI心理分析官』
- 哲学的に考えたいなら:『異常の構造』
どんな人の中にも、異常と正常の境界はある。学びを通して、「理解できない人間」への視点が変わるはずだ。
よくある質問(FAQ)
Q: 異常心理学は難しい?初心者でも読める?
A: 教科書系は専門的だが、『あなたの中の異常心理』や『犯罪を生む心』などから入ると理解しやすい。
Q: 異常心理学と犯罪心理学はどう違う?
A: 異常心理学は心の病理全般を対象とし、犯罪心理学はその中でも行動面・社会的逸脱に焦点を当てる。
Q: 学問として学びたい場合は?
A: 『デビソン/ニール』+『岩波全書版』+『異常心理学大事典』の3冊が体系的理解の王道ルートだ。




















