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【犯罪心理学を学びたい人へ】読んでよかった、おすすめ本8冊

犯罪心理学は、「なぜ人は犯罪を選ぶのか」「犯行前・実行中・その後、どのような心理変化があるか」など、犯罪を心の動きから解明しようとする学問だ。

私自身、ある事件報道を追っていく中で“表に出ない動機”に強く惹かれ、この領域の本を読み漁った経験がある。

その経験を通じて「この本があれば理解が深まった」と感じられた書籍を8冊厳選した。初心者も中級者も使いやすく、理解が進むようレビューも厚めに書いたので、ぜひ選書の参考にしてほしい。

 

おすすめ本8選:犯罪心理学を深掘りする本棚

 

1. 『FBI心理分析官 ― 異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記』(ハヤカワ文庫 NF)

 

■概要・特徴

FBIの元捜査官が自身の体験と捜査事例をもとに、連続殺人者や異常犯罪者の心理に迫るノンフィクション。捜査現場の緊張感と研究的視点が融合しており、サスペンスとしても読み応えがある。

■レビュー・読みどころ

特に印象深いのは被疑者とのインタビュー場面。著者が実際に面会した犯罪者たちの言葉を紹介し、そのとき抱いた直感や疑問も包み隠さず書いている点がリアル。 犯罪心理を“理論ではなく人間ドラマ”として捉えられるようになる。一例だが、「なぜあの時、あの行動をとったか」という思考プロセスの張りつめた葛藤が読者にも伝わってくる。 ただし、心理学理論書ではないため、専門用語・学問的背景の解説は薄め。理論補強用に他書を併用するのが良い。

■おすすめ読者像

犯罪心理学への興味はあるが、「怖そう・難しそう」という印象で手を出しにくい人。実践感・事件感覚を通じて“入る扉”を探している人に最適。

2. 『犯罪心理学入門』(中公新書 666/福島 章 著)

 

 

■概要・特徴

日本語で書かれた入門書。犯罪心理学の基本概念・研究史・主要理論を整理して解説している。全体的に平易で、初学者が迷わず読み進められる構成。

■レビュー・読みどころ 

16ページと読みやすい分量で、「何が犯罪心理学なのか」を広く浅く掴める。学部の授業で最初に使われてもおかしくないレベル感。 各理論(たとえば行動主義・認知心理学的アプローチ・社会心理学的アプローチ)を、実例とリンクさせて説明してくれるので、頭の中で理論と事件が結びつきやすい。

欠点としては、深掘りはしないため、中〜上級者がさらに学びたい領域には物足りない箇所が出てくる。そのときは別の専門書へのステップとして使うといい。

■おすすめ読者像

犯罪心理学を体系的に“入口から”学びたい人。理論用語が多くて戸惑いそうだけど、まずは概要を押さえたい初学者に向いている。

3. 『Mindhunter: Inside the FBI's Elite Serial Crime Unit』(ジョン・E・ダグラス & マーク・オルシャーカー著)

 

 

■概要・特徴

FBIの元プロファイラー、ジョン・ダグラスが、数々の連続殺人事件を題材にしたプロファイリング技法と分析手法を語るノンフィクション。後に Netflix ドラマ化もされた原作。

■レビュー・読みどころ

犯罪者の背景、取調べ過程、捜査員との心理戦まで、生きた“捜査の舞台裏”を細部まで見せてくれる。 特に、プロファイリングモデルの発展過程(どの仮説を捨て・採るか)を著者自身が振り返っており、「この仮説がダメだった理由」が学べる点が貴重。 読み物としてもドラマチックだが、専門用語・統計的手法などは補助資料と併用すると理解が深まる。

■おすすめ読者像

事例中心で学びたい人。捜査現場感覚を重視したい中級者、ノンフィクション読み物好きな人向け。

4. 『Criminal Shadows: Inside the Mind of the Serial Killer』(David V. Canter 著)

 

 

■概要・特徴

イギリスの犯罪心理学者デイヴィッド・キャントーが、実際の犯罪を題材に「空間心理」「行動パターン」「犯罪者の足跡(トレイル)」など複数の側面から分析。

■レビュー・読みどころ

犯罪現場がどのように“暗示情報”を含んでいるかという視点(たとえば、被害者との距離・侵入ルート・逃走方向など)を丁寧に扱う。 犯罪行動の“痕跡(シグネチャ)” や “足跡的証拠” を心理的に読み解こうとするアプローチが新鮮。 データや統計的分析も多少含まれ、理論背景を補いたい人には手応えがあるが、数学的・統計的記述にはやや敷居がある。

■おすすめ読者像

理論と実例の融合を好む人。現場情報・空間情報に関心を持っている読者におすすめ。

5. 『快楽殺人の心理: FBI心理分析官のノートより』(翻訳版)

 

 

■概要・特徴

“快楽殺人(hedonistic murder)” に特化し、被疑者の動機・性格傾向・犯罪心理構造を、実際の捜査ノート風に再現した内容。

■レビュー・読みどころ

主題を限定することで、動機分析・欲望分析・情動の揺れ動きを丁寧に扱っており、読み応えが深い。 犯罪心理的には、動機づけ(快楽・支配欲・興味本位など)の比較ができ、類型化の視点が得られる。 ただしテーマ特化型なので、他のタイプの犯罪(組織犯罪・詐欺・サイバー犯罪など)には応用しにくい部分もある。

■おすすめ読者像

特定タイプの犯罪(特に快楽殺人)に興味がある人。動機分析を深めたい中〜上級者向け。

6. 『犯罪学ハンドブック』

 

■概要・特徴

犯罪学と犯罪心理学の主要理論・研究テーマ・方法論を体系的に網羅するハンドブック形式の論文集。

■レビュー・読みどころ

各章ごとに異なる研究者・専門家が執筆しているため、視点の多様性がある。あるテーマに深く入れるが、章を飛び越えて読むことも可能な構成。 研究動向・文献レビュー的な側面が強いので、最新研究をきちんと追いたい人にはよいリソースになる。 欠点は、論理・専門用語が密で、ある程度の基礎知識がないと読み進めにくい。

■おすすめ読者像

大学・大学院レベル、研究準備をしたい人。論文レビューや専門テーマ探索をしたい読者向け。

7. 『犯罪心理学: 行動科学のアプローチ』

 

■概要・特徴

犯罪心理学の定番理論書。認知心理・人格理論・行動理論・犯罪予測技法などを網羅。

■レビュー・読みどころ

各理論を章立て構成し、事例・演習問題・引用文献の提示もあり“教科書”としての完成度が高い。 読みながら頭の中で理論を整理したい人向け。「この理論はどの仮説を引き継いで、どこで批判されたか」が見通せる章構成が秀逸。 ボリュームがあり、初見では全体を把握するのが難しい。読み飛ばして戻るスタイルで使うのがよい。

■おすすめ読者像

構造的に理論を積み上げたい人。犯罪心理学を学問としてしっかり勉強したい中級者〜上級者向け。

8. 『万千心理・犯罪心理学(第11版)』(翻訳版)

 

 

■概要・特徴

中国語圏で使われる定番犯罪心理学テキストの新版。理論・事例・応用まで幅を持たせている。

■レビュー・読みどころ

理論と実例を並行して扱い、ケーススタディも多く収録されているので、「理論 → 事例 → 解釈」の流れを追いやすい。 翻訳度合いや用語統一がやや課題になる可能性があるが、用語対比表や索引が丁寧な版を選べば実用性は高い。 他教科書との差分(つまり独自性)があるため、複数テキストを読み比べたい人には有益。

■おすすめ読者像

理論と実践の橋渡しをしたい人。日本語版があれば、講義テキストとしても使える可能性がある。

 

 

 

関連グッズ・サービス

犯罪心理学を学ぶ際に使えるツール・サービスを紹介する。

    • Kindle Unlimited/電子書籍版:複数冊を持ち歩きやすく、章立て移動がしやすい
    • Audible(オーディオ版):目を休めたいとき、移動中に聴ける
    • ノート/マインドマップアプリ(e.g. GoodNotes, XMind):理論・用語を視覚化して整理するため
    • オンライン犯罪心理学講座・セミナー:最新研究や実務の視点が得られる機会として活用できる
    • 事件データベース・論文アーカイブ(国内・国外):実例や最新研究を自分で掘る素材として強力なリソースになる

 

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まとめ:あなたに合う一冊を見つけよう

犯罪心理学を学ぶなら、

まずは ストーリー性・事例重視の本 で感覚を掴み、理論書・教科書に進むのが自然な流れだ。 上記8冊は「入門」「事例」「理論・応用・実務応用」のバランスを意識して選んである。 最初の一冊の例としては……

実践感を早く掴みたいなら → 『FBI心理分析官』

全体構造を押さえたいなら → 『犯罪心理学入門』

捜査感覚も理論も欲しいなら → 『Mindhunter』

読書ペースは無理をせず「一章ずつ丁寧に理解する」ことを重視してほしい。読みながらノートをとり、章末の問いを自分なりに再構成する時間を設けることで、理解と記憶が強固になる。

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