- 災害心理学・防災心理学とは?――“心の備え”を科学する学問
- 災害心理学おすすめ本10選
- 防災心理学おすすめ本10選
- まとめ:心の備えが“真の防災”になる
- 災害心理学・防災心理学でよく使われる用語まとめ
- 災害心理学・防災心理学・危機心理学の関係とは?
- 関連グッズ・サービス
- まとめ:今のあなたに合う一冊
- よくある質問(FAQ)
- 関連リンク記事
災害心理学・防災心理学とは?――“心の備え”を科学する学問
地震・津波・豪雨・火山噴火・パンデミック――こうした災害は、物理的な被害だけでなく、人の「こころ」に深い影響を与える。 災害心理学と防災心理学は、その“人の心の反応”を理解し、被害を最小限に抑え、復興を支えるために生まれた学問である。
災害心理学とは――「災害が人の心に与える影響」を科学する
災害心理学(Disaster Psychology)は、災害によって人がどのような心理的反応を示すのか、そしてその心の回復をどう支援できるのかを探る分野。 地震・津波・豪雨・火災などの緊急事態における恐怖・混乱・逃避・ストレス・トラウマのメカニズムを明らかにし、心的外傷(PTSD)や悲嘆(グリーフ)への対応策を研究する。
また、被災地支援に関わる援助者やボランティアのメンタルヘルス、地域全体の心理的レジリエンス(回復力)の向上も重要テーマだ。 「人はなぜ逃げおくれるのか」「なぜ同じ災害でも受け止め方が違うのか」といった疑問に、科学的・実践的に答えるのが災害心理学である。
- 主な研究テーマ:災害ストレス、PTSD、心的外傷ケア、集団心理、復興支援、レジリエンス、援助者ケア
- 関連資格・職種:公認心理師、臨床心理士、防災士、災害派遣医療チーム(DMAT/DPAT)
- 代表的な実践領域:被災地カウンセリング、学校での子ども支援、避難所の心理支援、トラウマケア研修
防災心理学とは――「人が災害前にどう行動するか」を研究する
一方の防災心理学(Disaster Prevention Psychology)は、「災害が起こる前」に焦点を当てる分野。 人が危険をどう認知し、避難行動をどう判断するのか――つまり、“なぜ逃げられないのか”“なぜ準備しないのか”という心理を解明する。
人はリスクを過小評価しがちで、「自分だけは大丈夫」と思う傾向(正常性バイアス)がある。防災心理学では、こうした人間の意思決定の偏りを明らかにし、効果的な避難誘導・リスクコミュニケーション・地域防災教育をデザインする。
- 主な研究テーマ:リスク認知、避難行動、正常性バイアス、情報伝達、リーダーシップ、防災教育、地域連携
- 関連資格・職種:防災士、危機管理アドバイザー、学校教育関係者、自治体防災担当者
- 代表的な実践領域:避難訓練・災害教育、防災マップづくり、地域防災ワークショップ、災害広報設計
災害心理学と防災心理学の違い
| 観点 | 災害心理学 | 防災心理学 |
|---|---|---|
| 主な関心 | 災害発生「後」の心理と支援 | 災害発生「前」の行動と意識 |
| 目的 | 被災者・支援者の心の回復 | 被害を防ぎ、避難行動を促す |
| 対象 | 被災者・ボランティア・支援職 | 一般市民・地域社会・行政 |
| 応用場面 | メンタルヘルス支援・復興支援 | 防災教育・リスクコミュニケーション |
両者は相補的な関係にあり、「心の防災・減災」を実現するために不可欠なペア領域だ。 防災心理学が“備え”を整え、災害心理学が“回復”を支えることで、人と社会のレジリエンスが育まれる。
災害心理学おすすめ本10選
1. 災害精神医学入門 第2版: 災害に学び,明日に備える
災害時における「心の応急処置」と「長期的な心のケア」を体系的にまとめた名著。 著者は阪神淡路大震災・東日本大震災など多くの現場に関わった精神科医で、被災直後から復興期まで、心の反応がどのように変化するかを丁寧に追っている。
PTSDや悲嘆反応のメカニズムだけでなく、支援者が陥る燃え尽き(バーンアウト)や二次受傷の心理にも踏み込む。医療・福祉・教育関係者にとっての“災害心理学の標準テキスト”といえる。
2. 災害・防災の心理学 ― 教訓を未来につなぐ防災教育の最前線
防災教育と心理学の接点を探る実践的な一冊。 災害後の心的ストレスや避難行動の分析から、「人はどのように災害の記憶を学び、伝え、次の世代に残すか」を科学的に描いている。
学校教育・地域防災・自治体支援など幅広い分野で活かせる内容で、心理的防災教育(心理教育)の重要性を示す。特に“語り継ぎ”や“体験共有”の心理的意味を深く理解したい人に最適。
3. 防災心理学入門 ― 豪雨・地震・津波に備える
防災行動の背後にある「人間の心理」を平易に解説する入門書。 逃げ遅れ・誤情報・集団行動など、過去の災害で見られた行動の背景を心理学的に分析し、避難行動の成否を分ける“心の傾向”を明らかにする。
「正常性バイアス」「同調圧力」「リスク認知」といったキーワードを実例で理解できるため、防災教育の教材としても優れている。一般読者にも読みやすい構成で、“防災心理の第一歩”にぴったり。
4. ダチョウのパラドックス ― 災害リスクの心理学
“危険を見ないふりをする”という人間の心理を象徴する「ダチョウ効果」に焦点を当てた一冊。 「自分だけは大丈夫」という正常性バイアスや、メディア情報に対する過信が、災害時の行動判断にどう影響するかを科学的に解明している。
心理学・行動経済学・社会学を横断しながら、現実の避難事例を交えて分析。行政や企業の危機管理担当者にも示唆に富む。読後、「なぜ人はリスクを無視するのか」が腑に落ちる。
5. 人はなぜ逃げおくれるのか ― 災害の心理学 (集英社新書)
災害心理学を一般読者にも広く知らしめたベストセラー。 阪神・淡路、東日本、熊本などの被災事例をもとに、逃げ遅れの原因を「心の構造」から解き明かす。 「恐怖による判断停止」「周囲の様子を伺う同調行動」「情報の不信」など、人間らしさが災害時にどう働くかがわかる。
“逃げない心理”の理解は、命を守る第一歩。 一般読者から防災教育関係者まで、全員が読む価値のある名著だ。
6. 災害から家族と自分を守る 「災害心理」の基礎知識
家族や子どもをどう守るかという“生活者の視点”で書かれた防災心理入門。 避難行動の準備・緊急時の冷静な判断・家族間の情報共有などを、心理的観点から具体的にアドバイスしている。
被災後の心のケアにも踏み込み、家族内でのストレス反応や回復過程をわかりやすく説明。 「家庭でできる防災教育」を実践したい人に最適な一冊。
7. 災害後の時期に応じた子どもの心理支援 ― 被災体験の表現と分かち合い・防災教育をめぐって
子どもの心のケアに特化した専門書。 災害後の不安やトラウマを抱える子どもたちが、どのように回復していくかを、発達段階別に丁寧に解説している。 「描画」「語り」「遊び」などの表現活動を通して、心の再構成を支えるアプローチが紹介されている。
教育現場・スクールカウンセラー・保育士に必読の一冊。 “心の防災教育”という概念を実践レベルで理解できる。
8. 生き残る判断 生き残れない行動 (ちくま文庫)
災害時における「生と死を分ける心理判断」を分析した名著。 多くの生存者・犠牲者の行動記録を比較し、なぜ判断が数秒違うだけで結果が変わるのかを検証している。
行動心理学・リスク心理学の観点から、“非常時に人の脳がどう働くか”をリアルに描く。 読むほどに「人間は理性ではなく感情で動く」ことを痛感する。危機対応に携わるすべての人におすすめ。
9. 復興と支援の災害心理学 ― 大震災から「なに」を学ぶか
東日本大震災の実践記録をもとに、「支援者と被災者の関係性」を掘り下げた専門書。 支援の過程で起こる葛藤、無力感、倫理的ジレンマなど、“支援者の心の揺れ”にも焦点を当てている。
災害支援を「一方的な援助」ではなく、「共に立ち上がるプロセス」として描く姿勢が印象的。 心理士・医療従事者・行政関係者など、支援現場の第一線に立つ人にとっての必読書。
10. 災害時のメンタルヘルス
災害直後から復興期までの「心の健康」をどう守るかを解説した実務的ガイド。 災害支援に携わる医療従事者・心理職・ボランティア向けに、急性期・慢性期・長期支援それぞれの心理課題を整理している。
被災地でのメンタルケアチーム(DPAT)の活動事例も豊富で、実際の支援現場の流れを学べる。 「誰かを支える人の心を支える」ための基礎テキストとして常備しておきたい一冊。
防災心理学おすすめ本10選
1. 防災の心理学 ― ほんとうの安心とは何か(シリーズ・防災を考える 2)
「備え」とは、モノではなく“心の構え”にある――その核心を突く名著。著者は長年にわたってリスクコミュニケーションを研究し、人が「安全」よりも「安心」を求める心理を多角的に分析している。
災害時に発生する「集団パニック」はむしろ稀であり、多くの場合は“沈黙の同調”が起こるというデータも紹介。SNS社会における不安の伝染や、フェイクニュースの拡散メカニズムにも踏み込む。
読後、「安心とは恐怖をなくすことではなく、恐怖を理解して共に受け入れること」だと腑に落ちる。防災広報や企業危機管理の担当者にとって、必ず座右に置いておきたい一冊。
2. 後悔を活かす心理学 ― 成長と成功を導く意思決定と対処法(中公新書)
災害心理学に通じる「後悔回避の心理」を深く掘り下げた、行動科学の隠れた名著。人は危険を避けるよりも“後悔を避けたい”という感情で動く。この特性が避難の遅れや過信を生むと指摘する。
意思決定の瞬間に働く「感情的短絡」「社会的比較」「確率の誤認」を具体例で解説し、災害時に自ら冷静な判断を下すための心理的トレーニング法まで提示している。
単なる理論書ではなく、“判断力を鍛える”ための心理学書。防災教育の教材にも最適で、読後に「心の避難訓練」をしている感覚が残る。
3. 災害精神医学ハンドブック
災害直後の急性期から、長期的な復興・支援フェーズまで、心の健康維持を体系的にまとめた決定版。DPAT(災害派遣精神医療チーム)の実務にも対応しており、心理職・医療従事者の現場で広く使われている。
特徴は、被災者だけでなく「支援者のメンタル」にも焦点を当てている点。燃え尽き症候群(二次的外傷)への対応や、組織的サポートの在り方を具体的に提案している。
現場経験に裏づけられたリアルな事例が多く、学術と実践のバランスが秀逸。心の応急処置から地域のレジリエンスづくりまでを一冊でカバーする。
4. 巨大災害のリスク・コミュニケーション ― 災害情報の新しいかたち
「伝える」だけでは防災は成り立たない――この本は、受け手の心理を中心に設計された“情報伝達の教科書”だ。東日本大震災や熊本地震の検証を踏まえ、災害報道・行政広報・SNSの構造を心理的観点から再構築している。
特に印象的なのは、“情報は受け手の過去の経験によって意味づけられる”という章。人々の記憶・感情・信頼が、危機下の意思決定をいかに左右するかを明快に描く。
行政・報道関係者だけでなく、企業の危機広報担当者にも読まれるべき名著。防災コミュニケーションを「心理的デザイン」として理解できる。
5. 防災ゲームで学ぶリスク・コミュニケーション ― クロスロードへの招待
京都大学発の防災教育ゲーム「クロスロード」を開発した矢守克也による実践的解説書。 住民・職員・学生が“もし自分だったら”を考えながらディスカッションするワークショップ形式の教育手法を体系的に紹介している。
心理的安全性を保ちつつ、価値観の違いを共有するプロセスが丁寧に設計されており、まさに“人が行動を変えるゲーム”。 体験を通じて「判断の多様性」や「リーダーの意思決定ストレス」をリアルに学べる。研修教材としても極めて完成度が高い。
6. 危機の心理学(放送大学教材)
危機的状況における人間の思考・感情・行動を総合的に扱う大学テキスト。事故・災害・テロ・感染症など、あらゆる「非日常」に共通する心理メカニズムを整理している。
特に「ストレス下での認知バイアス」と「意思決定の歪み」の章は秀逸で、災害時の誤判断や情報錯誤の原因を科学的に理解できる。
専門用語もわかりやすく、一般読者にも読みやすい構成。危機管理教育・防災計画立案に関わる人は、必ず一度読む価値がある。
7. リスクの社会心理学 ― 人間の理解と信頼の構築に向けて
「安全」と「安心」のギャップをどう埋めるか――このテーマに真正面から挑んだ社会心理学の集大成。 災害、食品、原発、感染症など、現代社会における“リスクと信頼”の関係を実証データで明らかにしている。
心理的要因(信頼・公平性・専門性)が、リスク受容や政策支持にどう影響するかを緻密に分析。 行政・インフラ企業・研究機関など、社会的信頼の回復を目指すすべての組織に必携の一冊だ。
8. リスクコミュニケーション ― 多様化する危機を乗り越える(平凡社新書)
パンデミック、気候危機、サイバー攻撃など、“多層的な危機”における伝え方の原則を整理した入門書。 科学的情報をどう「伝える」かではなく、“どう信じてもらうか”を軸に据えている点が画期的。
対話・共感・信頼の3要素をベースに、災害報道や政府発表の問題点を具体的に分析。SNSを通じた誤情報対策など最新トピックにも対応しており、危機広報の必読書といえる。
9. 防災教育の心理学
防災教育を「行動変容の心理学」として捉え直した意欲作。恐怖喚起ではなく“納得と参加”を重視するアプローチを提案している。
実際の授業事例や地域ワークショップのケースを豊富に紹介し、「人が自発的に備える」行動をどう引き出すかを具体的に解説。
学習心理・発達心理・社会心理を横断しながら、子どもから大人まで学べる防災教育のあり方を描く。教育関係者や自治体担当者に強くおすすめしたい。
10. パニック実験 ― 危機事態の社会心理学
“パニックは本当に起きるのか?”――この問いに実験で挑んだ社会心理学の古典。 群衆避難のシミュレーションや災害現場の観察をもとに、人々の「行動選択」と「社会的影響」の構造を解明する。
結論は驚くほど冷静で、「多くの人は合理的に動く」。しかし同調圧力と情報不足が、その理性を奪う。 防災訓練や避難誘導を設計する立場の人には、必ず読んでほしい一冊。理論とデータの説得力に圧倒される。
まとめ:心の備えが“真の防災”になる
防災心理学は、単に避難行動を学ぶ学問ではない。人の心が危機の中でどのように揺れ、どうすれば冷静さを取り戻せるかを探る「実践の心理学」だ。
ここで紹介した10冊を通じて、恐怖・判断・記憶・教育・信頼といった多層的な“心の防災”を理解すれば、災害に強い社会をデザインするための土台ができる。
災害心理学・防災心理学でよく使われる用語まとめ
災害心理学と防災心理学を学ぶうえで押さえておきたいのは、「人は危機に直面したとき、どんな心理が働くのか」という共通原理だ。 以下では、災害・防災領域で頻出する主要な心理学用語をまとめる。各概念を理解することで、“心の防災力”をより実践的に育てられる。
正常性バイアス(Normalcy Bias)
危険が迫っても「自分だけは大丈夫」「いつも通りでいたい」と感じてしまう心理傾向。 地震・津波・火災などの際に避難が遅れる最大の原因の一つとされる。 防災心理学では、このバイアスを乗り越えるための情報伝達・訓練設計が重視される。
リスク認知(Risk Perception)
人が危険をどのように感じ、どの程度深刻だと判断するかを指す。 科学的なリスク情報と、個人が“感覚的に”感じるリスクは一致しないことが多く、このギャップが避難行動に影響する。 メディアやSNSによるリスク認知の歪みも、近年の研究テーマだ。
レジリエンス(Resilience)
困難や災害を経験しても、そこから立ち直る心の回復力を意味する。 個人だけでなく、地域・組織全体のレジリエンスを高めることが、災害後の心理的支援や防災教育の目的の一つとされる。
トラウマ(Trauma)
強い恐怖や喪失体験などによって心に深い傷を負うこと。 災害後に見られるPTSD(心的外傷後ストレス障害)や、グリーフ(悲嘆)と密接に関連する。 災害心理学では、トラウマを癒すだけでなく「意味の再構築」や「社会的つながりの回復」を重視する。
危機介入(Crisis Intervention)
災害や事故などの急性ストレス下にある人に対して行われる短期的な心理的支援。 感情の爆発や混乱を抑え、現実的な行動へ導くことを目的とする。 災害現場では、医療・心理・行政が連携して迅速に行うことが求められる。
二次的外傷(Secondary Trauma)/バーンアウト(Burnout)
被災者の話を聞く支援者が、その苦しみに感情移入しすぎることで受ける心理的影響。 「援助者の心のケア」も災害心理学の大きなテーマであり、支援者自身のセルフケア教育が進められている。
防災教育(Disaster Education)
防災の知識や行動スキルだけでなく、「恐怖や不安とどう向き合うか」「自分で判断する力」を育てる教育。 心理学的アプローチを取り入れることで、単なる知識伝達ではなく、行動変容につながる学びを目指す。
リスク・コミュニケーション(Risk Communication)
行政・専門家・住民がリスクに関する情報を共有し、信頼関係を築きながら理解を深めるプロセス。 単に情報を“伝える”だけでなく、“相手がどう受け止めるか”に焦点を当てるのが心理学的防災の特徴だ。
集団心理(Group Psychology)
災害時の避難行動やパニックの発生には、個人ではなく「集団の心理」が大きく関わる。 同調行動・責任分散・リーダーシップなどを理解することで、より現実的な避難計画を立てることができる。
アフターマス(Aftermath)
災害の「直後」ではなく、「その後」に生じる社会的・心理的変化を指す。 被災者の孤立・疲労・罪悪感・無力感など、復興の過程で顕在化する問題を扱う概念であり、長期的な支援設計に欠かせない。
これらの概念を理解することで、災害心理学と防災心理学の全体像がつかめる。 災害は防げなくても、「心の備え方」は学ぶことができる――。 本を通して“科学的な安心”を身につけることが、真の防災の第一歩になる。
災害心理学・防災心理学・危機心理学の関係とは?
「災害心理学」「防災心理学」「危機心理学」は似ているようで、扱うフェーズと目的が異なる。 それぞれの違いを理解することで、より深く“人と社会の危機対応”を学べる。
| 領域 | 主なテーマ | 対象フェーズ | キーワード |
|---|---|---|---|
| 災害心理学 | 災害発生後の心の反応と回復、被災者・支援者の心理的支援を中心に扱う。 PTSD・悲嘆・レジリエンスなど「心の回復力」を重視。 |
発災直後〜復興期 | PTSD/トラウマ/レジリエンス/支援者のケア |
| 防災心理学 | 災害発生“前”に人がどう備え、どう避難行動を取るかを分析。 正常性バイアス・リスク認知・集団行動など、「予防」と「教育」が中心。 |
平常時〜発災直前 | 正常性バイアス/リスク認知/避難行動/防災教育 |
| 危機心理学 | 災害だけでなく、事故・犯罪・テロ・感染症など広範な“危機”における人の行動を扱う。 認知バイアス・ストレス反応・組織危機対応を学ぶ学問。 |
危機発生時〜社会的混乱期 | ストレス反応/危機認知/組織対応/意思決定 |
3つの心理学をつなぐキーワード:レジリエンス
3領域を貫く共通概念が「レジリエンス(心の回復力)」だ。 防災心理学は“備え”の段階で、危機心理学は“対応”の段階で、災害心理学は“回復”の段階で、それぞれレジリエンスを高める方法を探る。 この連続性を理解すれば、災害対策を「モノの準備」から「人の心の準備」へと進化させられる。
学びのステップ:心の防災力を高めるロードマップ
| ステップ | おすすめ書籍 | 目的・学べること |
|---|---|---|
| ① 理論を理解する | 『防災の心理学』『危機の心理学』 | 人の行動原理・認知バイアス・集団心理の基礎を学ぶ。 |
| ② 実践・教育に応用する | 『防災教育の心理学』『防災ゲームで学ぶリスク・コミュニケーション』 | 学びを行動に変える教育・研修のデザインを理解。 |
| ③ 支援と回復を支える | 『災害精神医学ハンドブック』『災害とトラウマ』 | 災害後の心のケア・長期支援・レジリエンス回復を学ぶ。 |
まとめ:防災は「心を育てる教育」から始まる
物理的な備えも重要だが、人が「なぜ逃げないのか」「なぜ助け合えるのか」を理解しなければ、本当の防災は完成しない。 災害心理学・防災心理学・危機心理学の3つをつなげて学ぶことが、社会全体の“心の防災力”を高める最短ルートだ。
関連グッズ・サービス
防災心理学の学びを生活に根づかせるには、「実践」できるツールと「心の準備」を支えるサービスを組み合わせるのが効果的だ。日常から少しずつ“防災意識を行動化”することが、心理的レジリエンスを高める第一歩になる。
- Kindle Unlimited 災害・危機心理・社会心理関連の専門書をいつでも読める。防災や地域心理学の資料も豊富で、最新の研究動向を追いやすい。移動中や停電時にもスマホ一台で読書できるのが心強い。
- Audible 聴く読書は、緊急時に備える「ながら学習」に最適。防災・心理・リーダーシップ系の名著を耳で理解すれば、ストレス時でも冷静な判断を保ちやすくなる。
- 「心理的安心」を支える最初のステップは、“手元に備えがある”という感覚。食料・ライト・充電器など基本装備が整うだけで、災害時のストレス反応が緩和される。心理的防災の実践モデルとして最適。
- 心理学的に、停電時の「制御感喪失」は不安を増幅させる。電源を確保しておくことは、心の安定そのもの。災害時のレジリエンス(心の回復力)を支える実用品だ。
- 避難シミュレーションアプリ(防災科研) 人は“頭でわかっても身体が動かない”ことが多い。アプリを使って想定行動をシミュレーションすることで、「逃げる勇気」を事前に体得できる。防災心理の実験教材としても有効。
防災心理学で学ぶ「行動変容」「レジリエンス」「信頼構築」は、実際に行動してこそ身につく。学んだ知識をツールで日常に落とし込み、いざという時の“心の余裕”を作っておきたい。
まとめ:今のあなたに合う一冊
防災心理学の本は、「災害時にどう動くか」だけでなく、「日常の中でどう備えるか」を教えてくれる。 人は恐怖を消すことはできないが、理解すれば冷静に対処できる。――それが“心の防災”だ。
- 気分で選ぶなら:『防災の心理学』 ― 安心の正体を知る。
- 実践で学ぶなら:『防災ゲームで学ぶリスク・コミュニケーション』 ― 行動を変えるワーク形式。
- 支援を学ぶなら:『災害精神医学ハンドブック』 ― 被災者と支援者、双方の心を守る。
備えはモノではなく、心の中にある。 本を通して「どうすれば冷静に行動できるか」を考えることこそ、防災の第一歩になる。
よくある質問(FAQ)
Q: 防災心理学とは具体的に何を学ぶ学問?
A: 災害時の人の心理・避難行動・情報伝達を分析し、「心の備え」を科学的に解明する学問だ。行動経済学や社会心理学と連携しながら、リスク認知・集団心理・判断力の向上を目指す。
Q: 災害心理学との違いは?
A: 防災心理学は「災害前の行動予防と教育」を重視するのに対し、災害心理学は「発災後の心理的支援と回復」に焦点を当てる。両者は“備え”と“癒し”の関係で補い合う領域だ。
Q: 一般の人にも読める入門書は?
A: 『防災心理学入門』や『防災の心理学』は平易な言葉で解説されており、専門知識がなくても理解しやすい。特に『人はなぜ逃げおくれるのか』は、一般向けに心理学的避難行動を紹介した代表作だ。
Q: 防災心理学はどんな仕事に役立つ?
A: 行政防災・自治体職員・防災士・教育関係・メディア報道・企業リスク管理など、幅広い領域で活用できる。危機時の判断力を磨くための“人間理解の学問”としてビジネスにも応用可能だ。
Q: 防災心理学をもっと実践的に学ぶには?
A: 防災研修・地域訓練・クロスロード体験など、心理的な“参加型学習”が効果的。書籍で理論を学び、実際に地域の訓練に参加して「自分の行動パターン」を知るのがおすすめ。





















