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【摂食障害おすすめ本25選】拒食症・過食症の理解と回復を支える名著【家族・当事者・支援者別】

 摂食障害(拒食症・過食症・過食嘔吐)は、単なる「食の問題」ではなく、自己評価・人間関係・ストレスなど、心の奥深い部分と結びついた複雑な心理的課題です。  この記事では、当事者・家族・支援者の視点から「回復を支える」実践書・体験記・専門書を厳選して紹介します。  医学的な治療から、対人関係療法、家族の支援、食行動の再構築まで――現場で役立つ知恵と希望が詰まった一冊を見つけてください。

 

 

摂食障害を理解するための入門書5選

1. 焦らなくてもいい! 拒食症・過食症の正しい治し方と知識

 

 

 拒食症・過食症の基礎理解から治療のステップまで、当事者にも家族にも読みやすい定番入門書。  著者は摂食障害専門クリニックの臨床心理士で、「治す」より「整える」というアプローチが特徴です。  体重・食事量だけを目標にしない、自己理解・感情表現・人間関係の改善を中心とした解説が優しく、初めて摂食障害に触れる人の第一歩に最適。  “焦らなくてもいい”というタイトルどおり、回復を急がずに心のペースを取り戻すことを教えてくれる一冊です。

2. 拒食症・過食症を対人関係療法で治す

 

 

 アメリカ精神医学会が認めるエビデンスベース治療「対人関係療法(IPT)」をわかりやすく紹介。  摂食障害を「感情や人間関係のバランスが崩れた結果」として捉え、食行動を直接的に変えるのではなく、心の関係性を整えることを目指す。  「なぜ食べられないのか」ではなく、「なぜ人とうまくつながれないのか」に光を当てる点が革新的。  医療関係者だけでなく、家族やカウンセラーにも役立つ構成で、対話的な回復プロセスを実感できる。

3. 家族の力で拒食を乗り越える ― 神経性やせ症の家族療法ガイド

 

 

 摂食障害は“家族の病”でもある――その現実を受け止め、家族が回復の鍵となる具体的な方法を提示する実践書。  母親・父親・きょうだいがどのように関わればよいかを、症状別に丁寧に解説。  過干渉・放任・共依存といった家庭内のパターンをどう修正していくか、臨床現場のケースをもとにリアルに描く。  「どう支えていいかわからない」と悩む家族に、明確な方向性を与えてくれる。

4. 摂食障害がわかる本 ― 思春期の拒食症、過食症に向き合う (健康ライブラリー イラスト版)

 

 

 図解とイラストで摂食障害の基礎を理解できる一冊。思春期・青年期の「ダイエット」「SNS」「自己評価」など、現代的な背景に焦点を当てており、親や教師にも読みやすい構成。  拒食・過食・過食嘔吐・過食性障害の違い、回復までのプロセス、医療機関との関わり方を、専門知識ゼロからでも理解できる。  「心と身体のつながり」をやさしく解説し、読後は“食べることの意味”を見直すきっかけになる。

5. 摂食障害 新・食事法 〜脱・王道ダイエット! 心食を整え一生モノの健康体質へ〜

 

 

 “食べ方を変えることで心も変わる”をテーマにした新しいタイプの回復本。  従来の「禁止」「我慢」中心のダイエット思考から脱却し、「心食=心の状態に合わせた食行動」を提案する。  食べ物との関係を「敵」から「味方」へと再定義する構成で、摂食障害の本質的な克服に近いアプローチ。  過食・拒食を繰り返してきた人に、再び食べる喜びを思い出させてくれる。

第2部:家族・支援者のための実践書5選

6. 家族ができる摂食障害の回復支援

 

 

 “治すのは医療、支えるのは家族”という考え方を具体的に形にした実践ガイド。  摂食障害に苦しむ本人にどう声をかけ、どの距離感で関わるべきか――その「線引きの難しさ」を丁寧に描く。  行動療法・対人関係療法・家族療法のエッセンスをバランス良くまとめ、家庭でできる小さな支援から回復の連鎖を生む方法を紹介。  巻末の「家族支援チェックリスト」は現場カウンセラーにも役立つ。

7. 家族が知りたい摂食症(摂食障害)のQ&A115 ~家族教室の質疑応答から学ぶ支援のコツ~

 

 

 臨床現場でのリアルな質問と回答をまとめた“家族の教科書”。  「何を食べさせればいい?」「医師との関係が難しい」「兄弟への説明は?」など、家族が抱える疑問に即答する実践形式。  専門用語を使わずに書かれており、読後は「正しい関わり方」が明確になる。  家族だけでなく、支援者・教育者が“現場の声”を知る教材としても優秀。

8. 摂食障害克服演習〜家族と実践!相互理解を深める300の質問〜

 

 

 家族と本人が「一緒に回復する」ことを目的にしたワークブック。  300問に及ぶ質問が、怒り・恐れ・罪悪感などの感情を可視化し、会話の糸口をつくる。  “問いを通じてつながる”という構成は、単なる支援書ではなく心理的対話ツールとして機能する。  家庭療法・カウンセリングを受けている家族に特におすすめ。

9. 家族の力で拒食を乗り越える - 神経性やせ症の家族療法ガイド

 

 

 第1部で紹介したが、ここでも改めて触れる価値があるほど重要な一冊。  家族療法の理論だけでなく、母娘関係・父親の役割・兄弟姉妹の立ち位置を、事例と図解で丁寧に説明。  「見守る」と「介入する」の境界をどう保つか――そのバランス感覚を学べる実用書。  支援現場でも教材として使用されるほど信頼性が高い。

10. 摂食障害の家族ケア〜親の不安を和らげ、子どもを回復に導く50問50答〜

 

 

 親の「どうしていいかわからない」という苦しみに寄り添うQ&A形式。  罪悪感・焦燥感・疲弊感を抱える親の心理を理解しながら、適切な距離の取り方を具体的に提案。  “支援する人の心も支える”視点が特徴で、読後には家族自身のメンタルも回復する構成。  家庭内コミュニケーションの再構築を目指すすべての親へ。

第3部:当事者の手記・回復の物語5選

11. 涙を食べて生きた日々 摂食障害――体重28.4kgからの生還

 

 

 体重28.4kgという極限状態からの奇跡的回復を描いた、衝撃のノンフィクション。  食べること、泣くこと、生きること――すべてを失っていく過程と、そこから立ち上がるまでの心の軌跡が、淡々と、しかし真摯に綴られている。  医療的な支援だけでなく、周囲の“静かな理解”がいかに大きな力を持つかを実感させる一冊。  読み進めるほど、「回復とは体重の数字ではなく、生きる力を取り戻すこと」だと気づかされる。

12. 摂食障害に苦しむすべての人たちへ~寛解に至ったカウンセラーがあなたに届けたいメッセージ~

 

 

 自身も摂食障害を経験したカウンセラーが、克服の過程を具体的なエピソードとともに共有。  「苦しみを隠さない」「焦らず一歩ずつ回復する」「完璧を手放す」というメッセージが心に響く。  専門家としての知識と当事者としての共感が融合し、読む人に“生きる許し”を与える。  「私はまだ治っていない」と感じる人にこそ読んでほしい、伴走型の回復本。

13. 子どもを完全克服に導く アヤコ式 拒食症改善メソッド

 

 

 YouTubeや講演でも人気のカウンセラー・アヤコ氏による実践的アプローチ。  拒食症の「心の仕組み」と「親子関係」を紐解きながら、日常生活に落とし込める改善法を提案する。  科学的根拠と温かな語り口が両立しており、親が“焦らず信じる”ことの大切さが伝わる。  数多くの回復者を生んだ理由が、1ページごとに納得できる内容。

14. 摂食障害から回復するための8つの秘訣 回復者としての個人的な体験と摂食障害治療専門家として学んだ効果的な方法

 

 

 著者はアメリカで臨床と教育の両分野に携わる専門家であり、自らも摂食障害の体験者。  「回復とは、自己理解の旅である」という哲学的な視点が印象的。  感情の波を受け入れること、身体との関係を取り戻すこと、他者に助けを求めること――8つの原則が、どれも現実的かつ温かい。  読者が“回復を学ぶ”だけでなく、“自分を赦す”段階に進める構成だ。

15. 摂食障害とわたし 質問集

 

摂食障害とわたし 質問集

摂食障害とわたし 質問集

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 当事者が自身に問いかけ、答えを探す形式の“セルフ対話ノート”。  「あなたにとって“食べる”とは?」「誰に本当の気持ちを伝えたい?」といった問いが、心の奥に沈んだ感情を掘り起こす。  心理療法的ワークブックとしても使える設計で、専門家からも評価が高い。  完璧主義や罪悪感と向き合う“静かな時間”を与えてくれる一冊。

第4部:治療・精神医学の専門書5選

16. 摂食障害の精神医学

 

 

 摂食障害の診断・病理・治療を本格的に解説する医学専門書。  拒食・過食の行動背後にある「自己価値の歪み」「身体イメージの崩壊」「報酬系の異常」など、脳科学的な理解を心理臨床に接続する構成が圧巻。  DSM-5を踏まえた最新分類や薬物療法の位置づけも丁寧で、臨床医・公認心理師・精神看護師には欠かせないリファレンス。  “心と身体の対話を医学がどう扱うか”という問いを、真正面から提示する重厚な一冊。

17. 摂食障害治療ガイドライン

 

 

 日本摂食障害学会がまとめた臨床標準。  診断から入院・外来・家族支援・社会復帰支援までを、エビデンスに基づいて系統的に整理している。  特徴は「行動変容ステージ理論」や「多職種チーム医療」の具体的プロトコル。  医療現場で治療方針を共有する際の指針となるだけでなく、家族や本人が“今の治療の位置”を理解する助けにもなる。  摂食障害治療の「現在地」を知るなら、まずこの一冊。

18. 摂食障害入院治療 ― 超低体重と多様性

 

 

 極度の低体重患者をどう支援するか――その医療と心理の最前線を描く臨床記録。  拒食症の入院治療は命を救うだけでなく、患者の尊厳をどう守るかという倫理的課題も抱える。  著者は長年、摂食障害専門病棟で治療に携わり、医師・心理士・看護師の連携の実際を詳細に記す。  「生きることを選ぶ力を支える」ための臨床哲学が、読む者に深い感銘を与える。  医療従事者だけでなく、支援職全般に読まれてほしい名著。

19. 新装版 摂食障害の不安に向き合う ― 対人関係療法によるアプローチ

 

 

 対人関係療法(IPT)を中心に据え、摂食障害の“根っこ”にある不安・孤独・罪悪感とどう向き合うかを具体的に示す。  著者は「不安を消すのではなく、不安と共に生きる力を育てる」ことを目標に掲げる。  患者の語りを尊重しつつ、臨床的な技法を丁寧に紹介。  精神療法の現場で実際に使えるセッション構成や、家族が伴走する際のヒントも多い。  “心に寄り添う心理学”を実践したい人に必携。

20. 摂食症治療のすすめ その実践

 

 

 摂食障害治療における心理療法・行動療法・家族療法の具体的応用をまとめた実務書。  医療現場の「現実」と「理想」の間にある葛藤を率直に描きながら、治療チームの協働の在り方を提言する。  拒食・過食それぞれの治療戦略に加え、長期的支援のための社会的サポートモデルも紹介。  現場で迷う支援者に、「どこまで介入し、どこで待つか」の指針を与えてくれる。  患者の尊厳を中心に据えた“日本型治療の良心”と呼ぶにふさわしい。

第5部:セルフケア・予防・心理支援の発展書5選

21. 摂食障害 新・食事法〜脱・王道ダイエット!心食を整え一生モノの健康体質へ〜

 

 

 「食べる=コントロールではなく、対話」という新しい視点を提示するセルフケア書。  過食・拒食の背景にある“食への罪悪感”を解きほぐし、体重よりも“心の満足度”を重視した食事リズムの整え方を提案する。  心理学と栄養学を融合させた構成で、食べることを「治療」ではなく「自己再生」として再定義する一冊。  再発予防や食習慣の改善にも役立つ。

22. その食べ方、病気です! メンタルブロックを外して摂食障害を治す21日間プログラム

 

 

 行動療法・マインドフルネス・認知再構成法を組み合わせた実践的トレーニング本。  毎日1テーマずつ取り組む構成で、21日間を通して「食べ方」「考え方」「感じ方」を再教育していく。  自分を責めるクセを減らし、食行動への恐怖や義務感を少しずつ手放す。  セルフワーク中心ながら、臨床現場の構造化プログラムと同等の効果を狙える内容。

23. なぜ摂食障害になるのか どう向き合えばいいのか ― 臨床的事実から ―

 

 

 「なぜ、彼女(彼)は食べられないのか?」という根本的な問いに、臨床心理学の視点から迫る。  表面的な食行動の異常ではなく、アイデンティティ・対人関係・自己像のゆがみを多層的に分析。  著者は摂食障害を“自己の物語の一部”と捉え、治療ではなく「理解」から始めることを提案する。  深く思索的でありながら、実際の面接事例も豊富。臨床家・教育者・家族にとっての“読む治療室”。

24. 摂食障害という生き方 ― その病態と治療

 

 

 摂食障害を単なる「疾患」としてではなく、“現代社会に適応しようとする苦闘の形”として読む。  社会心理・文化人類学的視点から、完璧主義やSNS文化が心に与える圧力を考察する意欲作。  「食べる/食べない」という行動の裏にある存在証明の欲求を描き、治療を超えた共感を呼ぶ。  読後には、「摂食障害=生きづらさの言語化」であることが静かに理解できる。

25. 子どもを「まもる」心理学 ― 健やかな育ち・ウェルビーイング・心と安全

 

 

 摂食障害の発症予防にもつながる“育ちの心理学”。  子どもが安心して感情を表現できる家庭・学校環境をどう作るかを、発達心理・愛着理論・トラウマ心理学の視点で整理している。  食や身体への否定的イメージを生まないための「自己肯定感の育て方」を具体的に解説。  予防・教育・支援がつながる“次世代のための心理学書”。

関連グッズ・サービス

  • 📘 Kindle Unlimited:多くの摂食障害関連書が定額読み放題(家族向け実践書が特に充実)
  • 🎧 Audible:自己受容やマインドフルネス書の音声版で、通勤・通学中にも心理支援を継続
  • 🧘‍♀️ マインドフルネス瞑想アプリ(Calm, Insight Timerなど):食行動の焦りや不安の軽減に有効
  • 📝 

    メンタルヘルスジャーナル

    :食べた量ではなく「感情」を書き出す習慣で自己観察を深める

Q&A:摂食障害の理解を深める

Q1. 摂食障害は「意志が弱い」から起こるの?

 いいえ。摂食障害は意志の問題ではなく、脳・心理・社会要因が複雑に絡み合う“心身症”です。  ストレス対処・完璧主義・愛着不安などが背景にあり、専門的支援が必要です。

Q2. 回復の指標は「体重の増加」だけ?

 体重は医学的な回復の一部にすぎません。  本当の回復は、「自分を責めずに食べられる」「他人と比べない」「自分を肯定できる」など、心理的安定が伴った状態を指します。

Q3. 家族はどう関わればいい?

 「治してあげる」よりも「支える」「信じる」姿勢が大切です。  本人のペースを尊重し、専門家と協働しながら安心できる環境を整えることが、最大のサポートになります。

まとめ:食べることは、生きることを取り戻すこと

 摂食障害は「食の問題」に見えて、実は「生き方の問題」。  心と身体をつなぎ直す過程そのものが、回復の道です。  焦らず、比べず、寄り添いながら――。  この25冊が、あなたや大切な人の“生き直し”の力になりますように。

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