心理学は「心を科学する学問」だ。その中心にあるのが、仮説を立て、データを集め、検証する――つまり心理学実験法である。感情・記憶・判断・行動など、見えない心を測るための方法論は、心理学を“実証科学”に変えた中核だ。
この記事では、大学の心理学実験実習・卒論・公認心理師養成課程などで実際に役立つ、Amazonで買える心理学実験法のおすすめ本20冊を厳選した。レポート作成・統計・実験計画・実践スキルを体系的に学びたい人に向けて紹介する。
- おすすめ本1-5【基礎から実験設計まで】
- おすすめ本6-10【実験心理学・代表的研究・応用事例編】
- おすすめ本11-15【研究法・統計・実験計画編】
- おすすめ本16-20【実践・観察法・応用編】
- 関連グッズ・サービス
- まとめ:今のあなたに合う一冊
- よくある質問(FAQ)
- 関連リンク
おすすめ本1-5【基礎から実験設計まで】
1. 心理学実験法・レポートの書き方 (心理学基礎演習 Vol. 1)
心理学実験の初学者が最初に読むべき入門書。実験の立案・操作・データ処理から、レポート執筆・考察の流れまでを体系的に解説している。サンプルレポートやワークシートが付属しており、実際の演習授業と同じ手順で学べる構成だ。
刺さる読者像:心理学部1〜2年生、レポート課題に取り組む学生、実験初心者。
おすすめポイント:実験“のやり方”だけでなく、“考え方”が学べる。特に「仮説を立てるとは何か」という章の説明が秀逸で、心理学を科学として理解する第一歩になる。
2. なるほど! 心理学実験法 (心理学ベーシック)
タイトル通り、“なるほど”と思える実験例を通して学べる実践書。錯覚・記憶・判断など、心理学の主要テーマを題材に、どのようにデータを取るのかを平易に解説。授業で取り上げやすい実験課題が豊富で、学部授業や高校探究にも使える。
刺さる読者像:心理学を体験的に理解したい学生、教育現場で実験教材を探している先生。
おすすめポイント:専門書にありがちな硬さがなく、読みながら“やってみたくなる”。図版が多く、操作変数・統制変数の概念が直感的に理解できる。心理学実験の楽しさを伝える良書。
3. よくわかる心理学実験実習[第2版] (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)
教育現場で定評のある実験実習テキストの最新版。被験者募集・倫理審査・データ整理・レポート作成まで、心理学実験の“全工程”を実践的に学べる。新版では統計ソフト(JASP・SPSS)の操作例も追加され、現代的な研究手法に対応している。
刺さる読者像:心理学部の学生、公認心理師養成課程の実験実習履修者。
おすすめポイント:大学授業の“標準テキスト”とも言える完成度。章ごとに目的・方法・結果・考察の書き方が整理されており、初めての実験レポートでも迷わない。
4. 心理学の研究法(改訂版): 実験法・測定法・統計法
心理学研究の三本柱(実験法・測定法・統計法)を包括的に解説した本格派テキスト。特定の手法に偏らず、心理学研究のプロセス全体を俯瞰できる。心理測定・尺度構成・信頼性・妥当性の考え方まで丁寧に扱っており、大学院入試対策にも有用。
刺さる読者像:心理学専攻の中〜上級者、大学院志望者、研究法を体系的に学びたい人。
おすすめポイント:理論と実践が融合した良書。読めば、実験計画を“ただの手続き”ではなく“仮説検証の戦略”として考えられるようになる。統計との接続が明快で、後の研究設計がスムーズになる。
5. 心理学基礎実験を学ぶ(第2版): データ収集からレポート執筆まで
実際に“実験をやりながら学ぶ”ためのワーク型テキスト。第2版ではオンライン実験やウェブ調査にも対応し、現代的な研究環境に合わせて改訂されている。実験計画・測定機器・統計処理・レポート執筆までを一貫して体験できる実践構成。
刺さる読者像:心理学科の実験演習履修者、卒論で実験研究を行う学生。
おすすめポイント:データ処理の流れが具体的で、章ごとの課題に実験者目線のリアリティがある。実験心理学を“自分の手で再現する”感覚が味わえる名テキスト。授業現場でも長く愛用されている。
おすすめ本6-10【実験心理学・代表的研究・応用事例編】
6. 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)
心理学史を変えた名実験30本を通して、“こころの科学”の歩みを俯瞰する。ストループ効果、ミルグラムの服従実験、スタンフォード監獄実験、ロフタスの記憶改変研究など、教科書で見た名前が具体的に蘇る。倫理・再現性・社会的影響にも踏み込んだ、現代的な視点を持つ好著。
刺さる読者像:心理学を学ぶ学生、実験心理学の全体像をつかみたい人。
おすすめポイント:単なる「まとめ」ではなく、“人はなぜ実験でここまで探るのか”という問いが貫かれている。心理学を「科学」として信じる意味を考えさせられる本。読みやすさと知的刺激のバランスが抜群だ。
7. 心理学実験研究レポートの書き方: 学生のための初歩から卒論まで
大学の心理学実験レポートを完全ガイドする定番書。タイトル・要約・方法・結果・考察・引用まで、APAスタイルに基づいて丁寧に説明している。初学者にもわかりやすい構成で、卒論執筆にも直結する。
刺さる読者像:実験レポートに苦手意識のある学生、卒業研究で迷っている人。
おすすめポイント:文体・書式・統計表記まで細かく実例が示されており、これ一冊で“研究者の書き方”が身につく。私も初めての実験レポートはこの本を手元に置いて書いた。安心感のある指南書。
8. 認定心理士資格準拠 実験・実習で学ぶ心理学の基礎
認定心理士カリキュラムに沿って、心理学実験の基本を網羅した教科書。感覚・知覚・記憶・学習・感情・社会心理など主要テーマの実験を一冊で俯瞰できる。心理学実験の基本構造と測定法がわかりやすく、学内実験にそのまま応用可能。
刺さる読者像:心理学科の学生、通信大学・認定心理士を目指す社会人。
おすすめポイント:幅広く、しかも正確。章ごとに「目的」「理論背景」「実験方法」「考察ポイント」が整理されており、レポート指導書としても使いやすい。通信制心理学学習者の“実験の壁”を越えさせる一冊。
9. 教材心理学[新装版]―心の世界を実験する―
教育心理学と実験心理学をつなぐロングセラー。学習・動機づけ・記憶・知覚など、教育場面での心理的現象を“実験教材”として再現する。学生が授業中に実際に試せる課題や装置設計例も掲載。学習心理学の根幹を体感できる一冊だ。
刺さる読者像:教育心理学専攻の学生、教員養成課程、教育実習に関わる人。
おすすめポイント:学びを「観察」ではなく「実験」で理解する発想が新鮮。教育心理学の“科学的側面”を体感的に学べる。授業設計や探究活動にも活用できる応用性の高さが魅力。
10. 第6巻 心理学実験 (公認心理師の基礎と実践)
公認心理師指定大学院カリキュラムに準拠した公式テキストシリーズの一冊。感覚・知覚・認知・学習など主要実験法を系統的にまとめ、心理学の基礎技能を学べる。倫理的配慮・再現性・データの信頼性など、実験を支える「研究者の姿勢」にも重点が置かれている。
刺さる読者像:公認心理師を目指す大学院生、実験心理学の基本を固めたい人。
おすすめポイント:理論・方法・倫理の三要素をバランス良く学べる。教科書的でありながら、章ごとの実験例が具体的で退屈しない。研究者志望者の“実験基盤”を支える信頼の一冊。
おすすめ本11-15【研究法・統計・実験計画編】
11. 心理学研究法入門: 調査・実験から実践まで
心理学の研究を「アイデアの発見から発表まで」トータルに扱うオールラウンドな入門書。実験・観察・質問紙・事例研究など多様な方法を俯瞰しつつ、仮説検証型研究の設計と実施手順を丁寧に解説。研究法を“学問の作法”として理解できるよう構成されている。
刺さる読者像:卒論・修士論文を控える学生、心理学の研究プロセスを体系的に学びたい人。
おすすめポイント:理論書というより“研究の手引き”。章ごとにチェックリストがあり、研究者としての基本動作を習得できる。研究倫理とデータ公開の章も充実しており、現代的な実践に対応。
12. 実験とテスト=心理学の基礎
実験法と心理テスト法の両輪で“測る心理学”を学ぶ教科書。行動観察・反応時間・測定誤差など、心理実験を支える原理を実例で解説する。人間の心を客観的に測るとはどういうことか、科学的視点から深く掘り下げた定番書。
刺さる読者像:心理学の基礎を固めたい初学者、研究志向の学部生。
おすすめポイント:心理実験を「技術」ではなく「哲学」として描く構成が秀逸。感覚実験から社会心理まで幅広いテーマを扱い、心理学の研究デザインの土台を築ける。
13. 心理学のためのサンプルサイズ設計入門 (KS心理学専門書)
実験や調査を行う際に不可欠な「サンプルサイズ(被験者数)」の考え方を解説した専門書。統計的検出力(パワー分析)を中心に、再現性・有意差・効果量をわかりやすく説明。心理学研究の信頼性を高めるために必読の一冊。
刺さる読者像:卒論・修論で統計解析を行う学生、研究者志望者。
おすすめポイント:Python・Rを使ったサンプルサイズ計算例が豊富。数字の意味を感覚的に理解でき、再現性危機以降の「信頼できる実験」を設計する力が身につく。現代の研究者に必須のリテラシー。
14. 実験心理学が見つけた 超効率的勉強法:復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!
一見“勉強法の本”だが、実は実験心理学の応用をわかりやすく学べる一般向け書籍。記憶・注意・メタ認知などの心理実験を紹介しながら、科学的根拠に基づく学習法を提案する。心理学実験を日常の「行動改善」に結びつけた快著。
刺さる読者像:心理学を実生活に応用したい人、教育・学習支援関係者。
おすすめポイント:内容はポップだが中身は本格派。読めば「心理学実験の結果をどう生活に活かせるか」が具体的にわかる。学生のモチベーション維持にも役立つ一冊。
15. 実験心理学への招待: 実験によりこころを科学する (新心理学ライブラリ 8)
心理学実験の理論的背景と哲学的基礎をわかりやすく解説する本格的入門書。実験心理学の起源、測定の限界、統制の考え方、そして「実験によるこころの理解」とは何かを問い直す。心理学の科学観を深く理解したい人に向けた一冊。
刺さる読者像:心理学専攻の大学院生、研究者志望の学生、哲学的思考に興味のある人。
おすすめポイント:人間の行動を数値で扱うことの意味と限界が、具体例を通して腑に落ちる。心理学実験を単なる手段ではなく“知の営み”として再発見できる名著。
おすすめ本16-20【実践・観察法・応用編】
16. ユーザーのための教育・心理統計と実験計画法 新訂: 方法の理解から論文の書き方まで
教育・心理の両分野で使える「実験計画法」の実践書。分散分析・共分散分析・要因計画などの理論を、具体的な教育・臨床の研究事例とともに解説。研究論文を書く流れまでを通して学べる。心理統計の理解を“実践に落とし込む”良書。
刺さる読者像:教育心理学研究者、修士論文で実験デザインを扱う学生。
おすすめポイント:式の導出よりも“設計の意図”に重点を置くため、数式が苦手な人にも読める。研究報告書の構成やAPAスタイル表記まで網羅しており、研究者の現場感が伝わる。
17. 自分でできる心理学: 調査実験
心理学を「読む」だけでなく「試す」ための実験入門。身近なテーマ――ストレス・記憶・社会的判断・好意――などを題材に、自分で調査・分析を行う手順をガイド。心理学実験を生活や人間関係に応用できる感覚をつかめる。
刺さる読者像:心理学に興味のある一般読者、高校・大学の探究活動指導者。
おすすめポイント:専門的な手順を簡略化しながらも“科学的思考の型”を崩さない。心理学を「観察の科学」として楽しむ原点を思い出させる。学問と生活をつなぐ希少な実験書。
18. 心理学実験を学ぼう!
実際に手を動かして“実験体験”を積める実習書。心理学実験に必要な心構え・倫理・データ記録・分析までをステップ形式で解説。各章に演習課題があり、大学授業の実験レポートに直結する内容だ。
刺さる読者像:心理学部の学生、実験実習に参加する初学者。
おすすめポイント:難解な理論を省き、「やってみて理解する」構成が秀逸。ページごとにミニ課題があり、授業中にそのまま活用できる。心理学実験の“体験型入門書”として最適。
19. 観察法・調査的面接法の進め方 (心理学基礎演習 Vol. 3)
実験法と対をなす「観察・面接」技法を扱った基礎演習テキスト。面接記録の取り方、観察カテゴリの作成、信頼性の確保など、実践的手順を具体的に示す。被験者との関係性・倫理的配慮にも丁寧に触れており、臨床志向の学生にも必須。
刺さる読者像:心理学の実習履修者、臨床心理・発達心理系を志す学生。
おすすめポイント:実験と観察を「対立」ではなく「補完」として理解できる構成。人を科学的に見るとはどういうことかを体験的に学べる。特に面接記録の具体例が秀逸で、臨床現場の準備にも役立つ。
20. 実験心理学: こころと行動の科学の基礎 (コンパクト新心理学ライブラリ 16)
コンパクトながらも実験心理学の全体像を高密度にまとめた良書。認知・学習・知覚・社会行動など主要領域を、代表的実験を通して網羅的に紹介している。実験計画とデータ解釈の関係が明快で、教科書としても実用的。
刺さる読者像:心理学を専門的に学ぶ学生、実験心理学の全体を短期間で復習したい人。
おすすめポイント:小型本ながら“心理学実験の辞書”のように使える。理論を押さえつつ、代表的実験を引用して説明するバランス感覚が見事。授業副読本として最もおすすめ。
関連グッズ・サービス
心理学実験法の本を読んだら、次は「実験を形にする」段階だ。理論を学んでも、実際に手を動かさなければ身につかない。ここでは、学習効率を高め、研究を支えてくれるツールやサービスを紹介する。
- Kindle Unlimited ── 実験心理学や研究法の入門書は図や注釈が多く、紙より電子書籍が便利。Kindle Unlimitedなら心理学・統計・教育など関連分野を横断して読める。授業前の予習にも最適だ。
- Audible ── 実験心理学の歴史や研究者の思考を理解するには、“聴く読書”が効く。通学中に名実験のエピソードや心理学者の回想を聞くと、記憶にも残りやすい。音声で聴くと理解が立体的になる。
- ── 実験・観察・反応時間計測などに役立つアナログタイマー。研究室でも使われる「時間の見える化」ツールで、心理学的にも集中持続効果がある。実験準備や被験者タスク管理にも使える。
- ── 実験レポート執筆や夜間学習の相棒。画面が目に優しく、文献やノートを長時間読む際に疲れにくい。実験法の理論書を通読するときに重宝する。
- ── 観察法や面接法の記録に欠かせない。音声を正確に残すことは心理学的データの信頼性に直結する。録音→文字起こし→分析という一連の流れを学ぶと研究スキルが格段に上がる。
まとめ:今のあなたに合う一冊
心理学実験法の本は、「心を測る力」を鍛える教材だ。 統計でも統制でもなく、目的は“人のこころを科学的に理解すること”。
- 基礎から学ぶなら:『心理学実験法・レポートの書き方』
- 体系的に理解したいなら:『心理学の研究法 改訂版』
- 代表的実験を知りたいなら:『心理学をつくった実験30』
- 卒論・大学院志望なら:『心理学実験研究レポートの書き方』
- 研究の信頼性を高めたいなら:『心理学のためのサンプルサイズ設計入門』
心理学実験法を学ぶと、世界の見え方が変わる。 “なんとなく”の感情を“仮説”として扱い、“観察”を通じて確かめる——。 それが科学としての心理学の第一歩だ。今日の1ページが、研究者としての感性を磨く出発点になる。
よくある質問(FAQ)
Q: 心理学実験法の本は初心者でも読める?
A: 『なるほど! 心理学実験法』『よくわかる心理学実験実習』などは、文系出身者でも理解できる構成。グラフや図解が多く、数学的前提知識は不要だ。
Q: 実験レポートはどう書けばいい?
A: 『心理学実験研究レポートの書き方』が最もおすすめ。APAスタイルや構成例があり、初めてでも形式を整えて書ける。卒論・修論にも直結する。
Q: 統計が苦手でも実験法を学べる?
A: 『心理学のためのサンプルサイズ設計入門』『ユーザーのための教育・心理統計と実験計画法』は、数式よりも考え方を重視。実験設計の理解に必要な最低限の数学だけに絞って解説している。
Q: 公認心理師試験に出る内容は?
A: 『第6巻 心理学実験(公認心理師の基礎と実践)』が準拠テキスト。感覚・知覚・認知・学習・倫理など、試験頻出領域をすべてカバーしている。
Q: 実験を自分で試したいときは?
A: 『自分でできる心理学』『心理学実験を学ぼう!』など、日常的なテーマを扱う本が最適。スマホでもできる簡易実験が多く、探究学習にも使える。
Q: Kindle UnlimitedやAudibleで読める実験法本はある?
A: 一部の入門書や教育心理関連本が対象。電子・音声を併用すると、学びが持続しやすい。読書と実験ノートを並行するのが効果的だ。
関連リンク
心理学の実験を学ぶ前に、研究設計の基礎を理解しておくと効果的だ。研究全体の流れを押さえたい人は、以下の記事も参考になる。


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