人の心の仕組みを知りたい。仕事や人間関係に心理学を活かしたい。──そんな思いから心理学の世界に興味を持つ人は多い。だが最初の一歩では、「どの本から読めばいいのか」「専門書は難しそう」と戸惑うこともあるだろう。この記事では、初心者でも理解できる入門書17冊を厳選した。学問として心理学を体系的に学びたい人にも、日常に活かしたい人にもおすすめできる内容だ。
- 心理学入門とは? ― 心の科学を学ぶ入口
- 第1部:心理学の全体像がわかる定番入門書
- 第2部:図解・ストーリーでわかる心理学
- 第3部:実践・応用編 ― 日常で使える心理学
- 第4部:関連領域をのぞく ― 感情・研究・応用への入口
- 関連グッズ・サービス
- まとめ:今のあなたに合う一冊
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心理学入門とは? ― 心の科学を学ぶ入口
心理学とは、「人間の行動と心の働きを科学的に探求する学問」だ。感情・記憶・動機づけ・発達・社会的行動など、テーマは非常に幅広い。入門段階では、心理学が「なぜ科学なのか」「どうやって人の心を測るのか」を理解することが第一歩となる。大学教養書や図解書を読むことで、研究法や主要理論の基礎がつかめる。
以下では、教科書系・図解系・応用系・実践心理学系に分けて紹介する。自分の目的(学問的理解/実践的応用)に近いカテゴリーから読み進めてみてほしい。
第1部:心理学の全体像がわかる定番入門書
1. 心理学・入門 ― 心理学はこんなに面白い 改訂版 (有斐閣アルマ)
有斐閣アルマの定番入門書。知覚・学習・発達・社会心理など心理学の主要領域をバランスよく紹介しつつ、最新研究や応用例も押さえている。高校~大学初年生レベルの理解を想定し、数式よりも事例・図表を重視した構成。
読者像:初学者・大学の教養科目で心理学を履修する人。
おすすめポイント:研究法・倫理・統計への入口もあり、心理学全体の「地図」を描く感覚で読める。心理学の全領域を俯瞰したい人の最初の1冊として最適。
2. ゼロからはじめる心理学・入門―人の心を知る科学 (有斐閣ストゥディア)
有斐閣ストゥディアシリーズの人気書。タイトル通り、心理学未経験者が「なぜ人はそう感じ、行動するのか」を科学的に学ぶ導入書。ストーリー的構成で、心の働きを“現実のシーン”と結びつけながら理解できる。
読者像:高校生・一般教養として心理学を学びたい人。
おすすめポイント:専門用語が少なく、心理学を文系的に楽しめる。巻末に研究法や心理学検定との対応表もあり、次の学びにつなげやすい。
3. ステップアップ心理学シリーズ 心理学入門 こころを科学する10のアプローチ
心理学を10の視点から解説したオムニバス構成。認知・発達・社会・臨床など主要領域を1章ごとに専門家が執筆しており、読みやすく要点をつかめる。章末のコラムが実生活に結びつきやすい内容になっている。
読者像:心理学の幅広さを短時間でつかみたい人。
おすすめポイント:多様なアプローチが俯瞰でき、「自分がどの分野に興味があるのか」を発見しやすい。教科書より軽く、雑誌感覚で読める。
4. 心理学 第5版補訂版(東京大学出版会)
心理学を「科学」として体系的に理解するための王道教科書。内容はやや学術的だが、構成が明快で、大学講義で標準採用されている。生理心理学から社会心理まで幅広くカバー。
読者像:大学レベルの心理学を基礎から学びたい人。
おすすめポイント:少しハードだが、1冊で“心理学の辞書”になる。図版とデータが豊富で、学問的信頼性も高い。
5. 基本がわかる 心理学の教科書: 高校生からめざそう心理学検定2級
心理学検定2級対応の公式準拠書。心理学の基本項目を「学びの流れ」で解説しており、独学・資格取得どちらにも使える。高校生にも読めるやさしさが特徴。
読者像:心理学検定・進学準備・社会人の再学習。
おすすめポイント:章ごとに練習問題がついており、理解度を確認しながら進められる。読み終えると自信がつく実感がある。
第2部:図解・ストーリーでわかる心理学
6. 心理学の超きほん(日本実業出版社)
心理学というと難解な理論書を想像しがちだが、本書はそのイメージを覆す。カラー図解・イラストが豊富で、専門知識がなくてもスルスル読める構成。行動・感情・記憶・動機づけといった人間の“こころの仕組み”を、身近な具体例からひも解いていく。たとえば「なぜプレゼンで緊張するのか」「なぜ他人の目を気にしてしまうのか」など、日常の心理を科学的に説明してくれる。
読者像:専門書の活字が苦手な人、まず「面白さ」から心理学を知りたい人。
おすすめポイント:1章ごとに完結しているため、通勤・通学の隙間時間にも読める。ページをめくるたびに「なるほど」と感じる発見があり、図を見るだけでも内容が理解できる。私自身、この本を最初に読んだことで心理学の世界がぐっと身近に感じられた。学問というより“生活の知恵”として使える感覚が得られる。
7. 図解 心理学用語大全 ― 人物と用語でたどる心の学問(ナツメ社)
心理学史から現代の理論まで、主要なキーワードを図と人物で理解できる辞典的入門書。フロイト、ユング、アドラーなどの巨匠の理論だけでなく、認知心理学やポジティブ心理学など最新の潮流までをカバーしている。視覚的整理がうまく、複雑な概念も一目でイメージできる。
読者像:心理学の広さをまず俯瞰したい人/試験対策や復習にも使いたい人。
おすすめポイント:一冊を通読してもよいし、辞典のように調べて読むのも良い。特に心理学者の人物エピソードが秀逸で、理論の背景にある“人間ドラマ”を知ることで理解が深まる。「教科書と組み合わせると最強」と言われるのも納得だ。心理学検定や大学のレポート準備にも役立つ。
8. ニュートン超図解新書 最強に面白い心理学(ニュートンプレス)
科学誌『Newton』が手掛けただけあって、圧倒的なビジュアルクオリティ。脳科学・行動心理・幸福学・社会心理といったテーマを、フルカラーで解説している。写真やグラフ、実験データも豊富で、「人の心を科学的に見る」とはこういうことかと直感的にわかる構成だ。
読者像:科学的な裏付けを重視する人、ビジュアル重視の学び方を好む人。
おすすめポイント:読み進めるうちに“科学としての心理学”の面白さに気づく。子どもから大人まで楽しめるため、家庭学習にも向く。心理学を教養として楽しみたい人にもおすすめだ。
実感として、抽象的な「心」の話が、神経活動や脳内メカニズムと結びつくことで「なるほど」と納得できた。感情や行動をデータで説明できる快感がある。
9. イラストレート心理学入門[第3版](サイエンス社)
大学教科書の内容を、フルカラーのイラストと図解でわかりやすくまとめた定番書。各章の冒頭に「学ぶ目的」と「実生活での応用」が明示されており、読者が迷わず進める。行動心理・発達心理・社会心理など、全分野の基本が体系的に学べる。
読者像:独学で心理学を体系的に学びたい社会人や通信教育生。
おすすめポイント:イラストは単なる装飾ではなく、概念理解を助ける設計になっている。専門用語の周辺に「例」や「図」があることで記憶に残りやすい。私自身、心理学の基礎理論(古典的条件づけやマズローの欲求階層など)はこの本で整理できた。まさに“イラストで学ぶ教科書”。
10. 教えたくなるほどよくわかる 心理学の基礎講座(ニュートン新書)
ニュートン新書の中でも異色の人気作。タイトルの通り「つい人に話したくなる」ほど面白く、心の動きや社会行動の背景をストーリー仕立てで解説している。恋愛心理・協調行動・集団心理など、“身近な不思議”を題材にしているため読みやすい。
読者像:心理学を日常の人間関係や職場に生かしたい人。
おすすめポイント:専門書ではないが、心理学的発想を自然に身につけられる。読んだ翌日から、他人の発言の裏にある心理や自分の感情パターンに気づけるようになる。知識が“使える感覚”になる一冊。
第3部:実践・応用編 ― 日常で使える心理学
11. アドラー心理学入門 ― よりよい人間関係のために(ベスト新書)
「嫌われる勇気」で有名なアドラー心理学を原典から理解する入門書。劣等感・共同体感覚・勇気づけといった概念を中心に、人間関係の悩みをどう乗り越えるかを解説する。アドラーの思想をわかりやすく要約し、現代的に再構成しているのが特徴だ。
読者像:人間関係・自己肯定感に悩む人、アドラー心理学の原点を学びたい人。
おすすめポイント:理論だけでなく、具体的なコミュニケーションの改善策が多い。読後、「他人の評価に振り回されなくなった」「自分の課題と他人の課題を区別できるようになった」という声も多い。私自身、職場での関係に悩んでいたとき、この本の“課題の分離”という考え方に救われた。
12. カウンセリング心理学入門(PHP新書)
臨床心理士・公認心理師を目指す人の基礎教養として書かれた本。心理支援における「共感」「受容」「傾聴」の重要性を、豊富なケースを通して紹介している。カウンセラーだけでなく、教育・看護・福祉など対人援助職にも通じる内容だ。
読者像:人を支援する仕事をしている/したい人。人の話を聞く力を伸ばしたい人。
おすすめポイント:技法書というより「人を理解するとは何か」を問う哲学的内容。読んでいくうちに“支援することは自分を理解すること”という気づきが得られる。カウンセリング心理学を学ぶ第一歩として欠かせない一冊。
13. コーチング心理学入門 ― ポジティブな支援の実践(北大路書房)
心理学的理論をもとにコーチングを体系化した学問「コーチング心理学」の日本語入門書。従来の“励まし”ではなく、科学的根拠に基づいた行動変容モデルを提示している。ポジティブ心理学・行動科学・自己決定理論など、複数の心理学的知見を結合した内容だ。
読者像:教育者・管理職・人材育成に携わる人。自分や他人を「動機づける」技術を学びたい人。
おすすめポイント:読後に感じるのは「人を動かすとは、相手を尊重すること」という原点。コーチングスキルを心理学的に裏づけたい人に最適。職場でも実際に「部下の行動が変わった」という実例が多い。
14. 9分で悩みが消える心理学入門(総合法令出版)
1章9分で読めるショートエッセイ形式の入門書。難しい理論は一切なく、悩み・不安・モヤモヤを心理学的に整理する方法を紹介する。ポジティブ心理学や認知行動療法の考えを、やさしい言葉で実生活に落とし込んでいる。
読者像:忙しい人・気分転換をしたい人・ストレス対処のヒントが欲しい人。
おすすめポイント:実践的で即効性がある。「他人の目が気になる」→「それは“承認欲求”のサイン」など、短い言葉で本質を突く。読後、心が少し軽くなる。心理学を“読むセラピー”として体験できる。
第4部:関連領域をのぞく ― 感情・研究・応用への入口
15. 感情心理学・入門〔改訂版〕(有斐閣アルマ)
「感情とは何か」「怒りや悲しみはどのように生まれるのか」。人間の情動を科学的に扱う専門的入門書。感情の進化論的視点から、脳内メカニズム・社会的影響・文化差まで多角的に論じる。改訂版ではポジティブ心理学や感情制御研究も追加され、最新の知見を反映。
読者像:感情の仕組みに興味がある人、メンタルケアに関心を持つ人。
おすすめポイント:実験データに基づいた構成で、理論が実感に結びつく。読後、自分の感情を客観的に捉えられるようになった。「感情を知ることは、自分を知ることだ」と感じさせる深い内容。
16. 逆引き!心理学研究法入門(ナカニシヤ出版)
「自分の知りたいことから研究手続きを選べる」という逆引き構成が特徴。アンケート・観察・実験・面接といった方法を、目的別に整理して紹介する。心理学を“実際に使う”ための道具箱のような本だ。
読者像:レポート・卒論・ビジネス調査などで心理的データを扱いたい人。
おすすめポイント:単なる研究法解説ではなく、「なぜその方法を使うのか」を考えさせてくれる。自分で仮説を立てて検証する流れがわかるため、読後には“研究の筋道”が見える。心理学を学問として理解したい人の次の一歩に最適。
17. 入門心理学 ― わかりやすく学ぶ基礎・応用(培風館)
心理学の基礎理論から応用領域(臨床・発達・社会・産業)まで網羅する総合入門書。章立てが明快で、教科書としても独学書としても優秀。グラフや実験例も多く、心理学がどのように実証されてきたかを学べる。
読者像:体系的に心理学全体を整理したい人、専門学校・通信大学生。
おすすめポイント:章末のまとめが秀逸で、読書ノートをつけるのに向く。理論と実践を往復しながら理解を深められる。「心理学を学ぶってこういうことなんだ」と腹落ちできる本。
関連グッズ・サービス
学びを生活に定着させるには、デジタルツールを組み合わせるのが効果的だ。
- Kindle Unlimited 通勤時間などスキマ時間で心理学書を少しずつ読む習慣を作れる。
- Audible 音声で「心の理論」を聴けると、理解が深まりやすい。目の疲れを感じる人にもおすすめ。
まとめ:今のあなたに合う一冊
心理学入門書は、科学的思考から実践心理まで幅広い。どんな目的で学ぶかによって選ぶべき本も異なる。
- 体系的に学びたい:『心理学・入門(有斐閣アルマ)』
- 図解で理解したい:『心理学の超きほん』
- 人間関係に活かしたい:『アドラー心理学入門』
- 資格や検定を目指す:『心理学の教科書』
一冊を読み切るだけでも、“人の心を科学的に見る目”が生まれる。次は研究法や発達心理など、興味のある領域に進んでみよう。








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