人間関係のゆらぎは、気分や生活リズムに直結する。だからこそ“関係”そのものを治療の焦点にする対人関係療法(Interpersonal Psychotherapy: IPT)が効いてくる。この記事では、Amazonで買えるIPT関連の本から、実際に読んで「臨床やセルフケアに役立った」「現場で使えた」と感じたおすすめ20冊を厳選した。うつ病・双極性障害・摂食障害・PTSD・社交不安など適応領域別に、入門から実践、家族・職場まで幅広く網羅する。
- おすすめ本20選
- 1. 対人関係療法で改善する 夫婦・パートナー関係
- 2. 自分でできる対人関係療法
- 3. 対人関係療法でなおす 双極性障害
- 4. 対人関係療法でなおす うつ病――病気の理解から対処法、ケアのポイントまで
- 5. 臨床家のための対人関係療法入門ガイド
- 6. 対人関係療法でなおす トラウマ・PTSD――問題と障害の正しい理解から対処法、接し方のポイントまで
- 7. 対人関係療法総合ガイド
- 8. ハリー・スタック・サリヴァン入門:精神療法は対人関係論である
- 9. 対人関係カウンセリング(IPC)の進め方:軽度のうつやストレスを抱える人への援助
- 10. 臨床家のための対人関係療法クイックガイド
- 11. 対人関係療法でなおす 社交不安障害――自分の中の「社会恐怖」とどう向き合うか
- 12. 対人関係療法でなおす 気分変調性障害――自分の「うつ」は性格の問題だと思っている人へ
- 13. 拒食症・過食症を対人関係療法で治す
- 14. 事例で学ぶ 働く人へのカウンセリングと認知行動療法・対人関係療法
- 15. 誰と会っても疲れない「気づかい」のコツ――対人関係療法のプロが教える
- 16. 対人関係療法マスターブック
- 17. 対人関係・社会リズム療法でラクになる「双極性障害」の本――治療の基本と自分でできる対処法(心のお医者さんに聞いてみよう)
- 18. PTSDのための対人関係療法
- 19. 「対人関係療法」の精神科医が教える 「苦手な人」とのつき合いがラクになる本(大和出版)
- 20. グループ対人関係療法:うつ病と摂食障害を中心に
- 関連グッズ・サービス
- まとめ:いまのあなたに合う一冊
- よくある質問(FAQ)
- 関連記事:学びを広げる
おすすめ本20選
1. 対人関係療法で改善する 夫婦・パートナー関係
夫婦・パートナーの衝突を「誰が悪いか」ではなく、コミュニケーションのパターンと役割期待のミスマッチとして捉え直す一冊。ロール交渉、未解決の悲哀、相互依存の再調整など、IPTの核概念を生活に落とし込む。
読者像:関係が冷え込んでいる/些細なきっかけで衝突が起きるカップル当事者、支援職。
おすすめポイント:感情の言語化→相手への伝達→行動の微調整という三段階がシンプル。実際に「責め合い」から「問題を一緒に扱う」へと会話の質が変わった実感があった。
2. 自分でできる対人関係療法
臨床家なしでも取り組めるセルフヘルプ版IPT。生活リズム表・気分記録・重要他者マップなどのワークで、症状を「関係の出来事」と結び直す。
読者像:通院中の補助教材が欲しい人、まずは自分で始めたい人。
おすすめポイント:1日10分のログで変化に気づける。私は“気分の波=睡眠×対人ストレス”の相関が見え、先回りの調整ができるようになった。
3. 対人関係療法でなおす 双極性障害
双極スペクトラムに対するIPTの実践。発症・再燃のトリガーを「関係の変化」や「役割の移行」に位置づけ、社会リズム安定化の視点を統合する。
読者像:双極性障害の当事者・家族、医療・福祉職。
おすすめポイント:抑うつ期/軽躁期それぞれで「関係の扱い方」を変える具体策がある。家族会議の進め方が丁寧で、実装しやすかった。
4. 対人関係療法でなおす うつ病――病気の理解から対処法、ケアのポイントまで
IPTの本丸。喪失、役割の移行、対人紛争、対人欠如という4領域でうつ病を理解し、セッションの進め方を標準化する。
読者像:初めてのうつ病治療を学びたい人、家族。
おすすめポイント:章末ワークで「いまの困りごと」を4領域に分類できる。自分の課題が明確になり、回復の道筋が見えた。
5. 臨床家のための対人関係療法入門ガイド
構造化面接の流れ、ケースフォーミュレーション、セッションごとの到達目標を簡潔にまとめた実用ガイド。面接の地図として心強い。
読者像:公認心理師・臨床心理士・精神科医など臨床家。
おすすめポイント:面接中に迷ったら戻れる「骨格」がある。実際に初回〜終結までの見通しが良くなり、面接の安定感が増した。
6. 対人関係療法でなおす トラウマ・PTSD――問題と障害の正しい理解から対処法、接し方のポイントまで
回避・過覚醒・侵入症状が人間関係に与える影響を整理し、IPTで「安全な関係性」を再構築する手順を提示。曝露中心でない選択肢として重要。
読者像:トラウマ反応で対人がつらい人、家族、支援者。
おすすめポイント:信頼再構築のマイクロステップが秀逸。私は「共有できる範囲から語る」練習で孤立感が軽くなった。
7. 対人関係療法総合ガイド
基礎理論から適応領域、フォーマット(個人・グループ・家族)までを網羅するリファレンス。IPT全体像の“辞典”として常備したい。
読者像:体系的に押さえたい中級者、臨床現場の座右の書を探す人。
おすすめポイント:各章の実践パール(臨床のコツ)が実務的で、ケース検討会の質が上がった。
8. ハリー・スタック・サリヴァン入門:精神療法は対人関係論である
IPTの思想的源流であるサリヴァンの対人関係論をやさしくたどる。人は人との間で苦しみ、また癒されるという視点がIPTの根にあると腑に落ちる。
読者像:背景理論も理解したい人、臨床思想に関心がある人。
おすすめポイント:歴史と理論を知ると、技法が「人を見るまなざし」に変わる。セラピストの在り方が安定した。
9. 対人関係カウンセリング(IPC)の進め方:軽度のうつやストレスを抱える人への援助
IPTを一次医療・教育・地域支援向けに短期化したIPCの実践書。回数が限られる場面でも使いやすい。
読者像:産業保健・学校・地域包括で働く支援職。
おすすめポイント:スクリーニングから簡易フォーミュレーション、対処法までの導線が明快。短い面接でも「手応え」が出た。
10. 臨床家のための対人関係療法クイックガイド
初回評価、問題領域の選定、宿題の出し方、セッション終結の目安までをコンパクトに携帯できる一冊。実地の“虎の巻”。
読者像:忙しい外来・多職種チームでIPTを回す人。
おすすめポイント:面接中に確認したいポイントが一目でわかる。私は初回面接の“焦点化”がブレにくくなった。
11. 対人関係療法でなおす 社交不安障害――自分の中の「社会恐怖」とどう向き合うか
評価不安や回避行動を「関係の文脈」で読み替えるアプローチ。曝露の前に“安全な関係の土台”を作る設計が特徴だ。
読者像:人前・会話・視線が怖い人、対人支援職。
おすすめポイント:イベント前後の対人ストレスを記録するだけで、悪循環の輪が見える。小さな成功の積み上げが現実的だった。
12. 対人関係療法でなおす 気分変調性障害――自分の「うつ」は性格の問題だと思っている人へ
慢性的な気分の落ち込みを“性格”ではなく“関係の負荷と習慣化”として理解し直す。関係の再配線がテーマ。
読者像:長年の気分不調に悩む人、家族。
おすすめポイント:小さな環境調整(朝のルーティンと他者接触の再設計)が効いた。自責から離れられる一冊。
13. 拒食症・過食症を対人関係療法で治す
摂食障害を体重・摂食行動だけでなく、関係性のパターン(完璧主義、承認の取り方、葛藤回避)として扱う。家族の関わりも具体的。
読者像:当事者・家族・スクールカウンセラー。
おすすめポイント:食事記録と対人出来事記録を並行させると、症状と関係の連動がクリアに見えた。
14. 事例で学ぶ 働く人へのカウンセリングと認知行動療法・対人関係療法
産業現場の事例集。ハラスメント、配置転換、テレワーク孤立など、現代的テーマにIPTとCBTをどう組み合わせるかがわかる。
読者像:産業カウンセラー、人事、産業医、管理職。
おすすめポイント:多職種連携の動線が実務的。就業配慮と治療を両立させる視点が得られた。
15. 誰と会っても疲れない「気づかい」のコツ――対人関係療法のプロが教える
「がんばりすぎる気づかい」をやめ、関係の境界を引き直す生活実用書。IPTのエッセンスを日常言語で学べる。
読者像:人付き合いで疲弊しがちな人、HSP気質の人。
おすすめポイント:「相手の気分の責任を背負わない」だけで楽になった。小さく効く。
16. 対人関係療法マスターブック
スーパービジョンに近い深度で、セッションの“つまずき”と修正を具体的に示す上級書。面接のメタ認知が鍛えられる。
読者像:中上級の臨床家、教育・指導の立場の人。
おすすめポイント:自分の介入が関係にどう響くかを言語化できるようになり、面接が安定した。
17. 対人関係・社会リズム療法でラクになる「双極性障害」の本――治療の基本と自分でできる対処法(心のお医者さんに聞いてみよう)
IPTと社会リズム療法(IPSRT)をやさしく統合した読みやすい解説。睡眠・食事・活動の「同じ時刻に同じことをする」が関係の安定につながることを実感できる。
読者像:セルフマネジメントを強化したい双極当事者・家族。
おすすめポイント:生活表をつけた翌週から波が小さくなった。続けやすい設計がうれしい。
18. PTSDのための対人関係療法
臨床試験でのエビデンスとマニュアルが併載された専門書。トラウマ記憶に直接踏み込む前に、人間関係の安全基地を整える手順が体系化されている。
読者像:トラウマ臨床に携わる専門職。
おすすめポイント:安全志向かつ現実的。回避の強いケースでも関係の質が上がり、症状が軽減していった。
19. 「対人関係療法」の精神科医が教える 「苦手な人」とのつき合いがラクになる本(大和出版)
臨床現場の知見を一般向けに翻訳。境界線の引き方、役割期待の調整、言い換えのフレーズ集など、即日使える内容が多い。
読者像:職場・親族・ママ友など「距離のむずかしい関係」で悩む人。
おすすめポイント:たとえば「責めたい気持ち」を「求める具体行動」に変換するだけで会話が前進する。実生活で効いた。
20. グループ対人関係療法:うつ病と摂食障害を中心に
グループIPTの設計図。メンバー間のミラーリングとフィードバックを「安全な枠」の中で活用する技法が学べる。
読者像:デイケア・外来グループ・教育現場でグループ介入を実施する人。
おすすめポイント:規約作り、回の構造、テーマ提示の方法まで具体的。場の力を治療に変える視点が得られた。
関連グッズ・サービス
学びを生活に定着させるには、サービスやツールを組み合わせるのが効果的だ。
- Kindle Unlimited —— 入門〜一般向けのIPT本は対象タイトルが出入りする。気になる本を横断的に試し読みでき、ワークページも手元で参照しやすかった。
- Audible —— 生活リズムの確立に“ながら学習”は相性が良い。通勤・家事の時間に理論を耳から入れると、面接や実生活での言い回しが自然に出てくる。
まとめ:いまのあなたに合う一冊
対人関係療法は「症状の原因を責める学問」ではない。関係の結び直し方を一緒に探す実践だ。いまの課題に近い一冊から始めれば十分に効果が出る。
- 最初の1冊なら:『対人関係療法でなおす うつ病』
- 家族・カップルの関係改善なら:『対人関係療法で改善する 夫婦・パートナー関係』
- 職場・短期支援で使うなら:『対人関係カウンセリング(IPC)の進め方』
- 双極×生活リズムなら:『対人関係・社会リズム療法でラクになる「双極性障害」の本』
- 臨床で体系的に学ぶなら:『対人関係療法総合ガイド』『臨床家のための対人関係療法入門ガイド』
「関係が変われば、気分も変わる」。小さく、しかし確かに日常は変えられる。
よくある質問(FAQ)
Q: 対人関係療法(IPT)はどんな治療?CBTや精神分析と何が違う?
A: IPTは気分症状を「対人関係のストレス」と結び付けて扱う短期・構造化の心理療法だ。思考の修正(CBT)よりも、関係の再調整と感情の表出・言語化に重心がある。精神分析のように深い無意識探究を主目的にせず、現在の関係に焦点を当てる。
Q: どの本から読めばいい?
A: 当事者・家族は『自分でできる対人関係療法』『対人関係療法でなおす うつ病』から。臨床家は『入門ガイド』『クイックガイド』→『総合ガイド』の順がスムーズ。双極・摂食・PTSDなどは各疾患別テキストを併読すると理解が早い。
Q: グループや家族での活用は可能?
A: 可能だ。グループIPTの手順は『グループ対人関係療法』、カップルには『夫婦・パートナー関係』が具体的。家族面接の進め方や役割交渉のフレーズも豊富だ。
Q: 薬物療法との併用は?
A: 併用は一般的だ。IPTで関係と生活の土台を整え、薬物療法で生理的症状を安定させる。双極では社会リズムの維持が再燃予防に不可欠。
Q: 読むだけで効果はある?
A: 本を読むだけでも“言葉”が増え、関係を整える視点が手に入る。ただし症状が強い・安全確保が必要な場合は専門家への相談を勧める。軽〜中等度ならセルフワークと生活リズムの調整で十分に変化が出ることが多い。



















