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【学級経営論おすすめ本】学級づくりと教室運営を学ぶ独学・学び直しの入門書と定番18選

学級経営論を学び直したいと思っても、教育方法学や生徒指導、授業づくりの本が混ざってきて、どこから手をつければいいのか迷いやすい。そこでこの記事では、「学級経営」を正面から扱う本を中心に、入門から理論、実践、立て直し、包摂まで見通せる18冊を選んだ。教室の空気を偶然に任せず、日々の関わりを少しずつ組み立て直したい人に向く棚にしている。

 

 

読む目的別の入り方

  • まず全体像をつかみたいなら、7→3→1の順で入ると、現場感と理論の両方がつながりやすい。
  • 理論から入りたいなら、1→2→3→5。学級経営を何となくの経験則で終わらせたくない人向けだ。
  • いま目の前のクラスに悩みがあるなら、11→13→14→15。空気の重さや関係のこわばりをほどく視点が得やすい。

学級経営論を学び直すときに見ておきたいこと

学級経営の本を読む価値は、学級を「うまく回す技術」としてだけではなく、子どもが安心して過ごし、関わり合い、学べる場をどう設計するかという問いに向き直れるところにある。朝のあいさつ、席替え、当番、授業中の沈黙、雑談の量、注意の言い方。そうした細かな出来事の全部が、実は学級経営の一部だ。

現場に立っていると、問題が起きた場面だけが強く目に入る。荒れ、沈黙、対立、不公平感、やる気のなさ。けれど本当に大事なのは、問題が起きたあとに何をするかだけではなく、その前にどんな関係とルールと空気を育てていたかだ。学級経営論の本は、その見えにくい土台を言葉にしてくれる。経験のある教師にとっては感覚の輪郭を整える助けになり、これから学び直す人にとっては、教室を見る目の焦点を合わせ直す作業になる。

まず読む順の目安

最初の1冊なら、図で全体像をつかみやすい7が入りやすい。そのあとに3を読むと、いまの学級経営を考える軸が手に入る。さらに1で理論の背骨を通し、2で事例に触れ、5で全体をもう一度広く見直す。この流れだと、抽象と具体を行き来しながら学びやすい。

一方で、年度途中でクラスの空気が重い、関係がぎくしゃくしている、注意ばかり増えているという人は、11や13から入ってもいい。目の前のしんどさに効く本から読み、落ち着いてきたところで1や3に戻る読み方も十分ありだ。学び直しは、いつも体系から始めなくていい。いま困っている地点から始めて、あとで地図を手に入れればいい。

理論と全体像をつかむ本

1. 学級経営の理論と方法(ミネルヴァ書房/単行本ソフトカバー)

学級経営をきちんと学び直したいなら、まず土台になるのがこの本だ。日々の実務に追われていると、学級経営はどうしても経験則の寄せ集めになりやすい。うまくいったやり方を繰り返し、うまくいかなかった場面では反省する。その繰り返しだけでも現場は回るが、どこかで限界が来る。子どもの多様性が増し、保護者との関係も複雑になり、教室の前提が一枚岩ではなくなった今、理論の支えなしに教室を見続けるのは苦しい。

この本のよさは、学級経営を単なるノウハウ集にしないところにある。学級とはそもそも何か、経営とはどういう営みなのか、その輪郭を落ち着いてたどりながら、教師がどこで判断し、何を支えに教室をつくっていくのかを考えさせる。読むと、目の前の学級だけでなく、自分がどんな教室観を持っていたのかまで照らし返される。少し硬い本ではあるが、読み終えたあとに、日々の出来事の見え方が変わる。

向いているのは、実践書を何冊か読んでもまだ芯が定まらない人だ。技術は増えたのに、なぜその技術を使うのかが曖昧なとき、この本は効く。年度初めのにぎやかな期待感の中で読むより、むしろ少し疲れて、自分のやり方を言葉にし直したくなったときに手に取ると深く入ってくる。

2. 事例で読む学級経営(ミネルヴァ書房/単行本ソフトカバー)

理論の本だけだと、頭ではわかったつもりでも、教室で何が起きているのかの像がぼやけることがある。そんなときに頼りになるのが、事例を通して考えられる本だ。学級経営は、単純な正解探しではない。同じ言葉かけでも、子どもの集団状況や時期や関係性によって意味が変わる。そのややこしさを、事例は逃がさずに見せてくれる。

この本の魅力は、ケースを追いながら「この場面で教師は何を見ていたのか」をたどれるところにある。表面上のトラブルだけではなく、その背後にある関係のゆがみや、見過ごされてきたサインが少しずつ見えてくる。読んでいると、以前ならただの困った出来事として見ていたものが、学級全体の呼吸の乱れとして感じられてくる。教室は出来事の連続ではなく、関係の連続なのだとわかる。

机上の理屈より、まず現場の温度に触れたい人に向く。教室で起きることは、思った以上に曖昧で、だからこそ面白い。ケースを読むうちに、自分ならどうするかを考え始めるはずだ。若手にも読みやすいが、経験のある教師が読むと、過去の失敗が別の角度から見えてくる本でもある。

3. 学級経営「超」入門 安定性・主体性・包摂性の3軸モデル(明治図書出版/単行本)

入門書は多いが、この本が使いやすいのは、学級経営を三つの軸で整理して見せてくれるところだ。安定しているか、子どもが主体的に動けているか、誰かが排除されていないか。この三つは、どれか一つだけ高ければいいというものではない。静かで整っていても、子どもが受け身なら苦しい。活発でも、一部の子だけが目立つなら危うい。そうしたバランスの難しさを、やわらかく、しかし逃げずに言葉にしてくれる。

読んでいていいのは、教室を評価する物差しが手に入ることだ。学級経営に悩むとき、人はたいてい「うまくいっていない感じ」だけを抱える。けれど、その感じの正体を分けて見られるようになると、次の一手が変わる。安定が足りないのか、主体性が眠っているのか、包摂に穴があるのか。診断名がつくように、教室の見え方が少し整う。

これから学び直す人にとってはもちろん、経験年数を重ねて感覚でやれてしまう人にも向く。むしろ後者ほど、自分の実践を他人に説明する言葉がほしくなる場面がある。研修や若手指導の前に読むと、自分が何を大事にしてきたかを整理しやすい。学級経営を、古い気合いや統制の言葉ではなく、今の教室に合う入門として捉え直したい人に合う。

4. 学級経営「超」解説 学級担任のための5つの窓(明治図書出版/単行本)

教室がうまく見えないときは、出来事が多すぎるのではなく、見る窓が少なすぎるのかもしれない。この本は、その感覚を助けてくれる。学級担任が教室を捉えるための視点を整理し、どこを見落としやすいのか、どこから点検すると見通しが立つのかを考えやすくしている。

現場では、注意すべき子、目立つ子、声の大きい子に視線が引っぱられやすい。けれど学級経営は、それだけでは崩れる。静かに困っている子、発言しないまま流れていく時間、うまく言葉にならない不満、表面上は穏やかでも積もっていく諦め。そうしたものを見るには、視点の切り替えが要る。この本は、担任の見方そのものを整える本だ。

何か特定の技法をすぐ持ち帰りたい人には少し遠回りに感じるかもしれない。だが、遠回りに見えるこういう本が、あとでいちばん効いてくる。年度の途中、毎日が流れていって、自分が何を見落としているのかわからなくなったときに読むと、窓を開け直すような感覚がある。焦りをいったん脇に置いて、教室を見直したい人に向く。

5. 学級経営大全(明治図書出版/単行本)

1冊で広く押さえたい人にとって、こういう網羅型の本はやはり強い。学級経営は範囲が広い。ルールづくり、関係づくり、トラブル対応、保護者との連携、気になる子へのまなざし、行事とのつながり。どこか一部だけを切り取っても現場では足りない。その意味で、この本は全景を見せてくれる。

ただ、網羅型の本が単に項目の多い本で終わると、読み終えても何も残らない。この本がいいのは、細かな場面の話に散らばりながらも、教室をどう育てていくかという大きな線を失わないところだ。辞書のように必要な箇所を引ける一方で、通して読むと「学級経営とは、日々の選択の積み重ねなのだ」と腑に落ちる。派手さはないが、何度も戻ってこられる本は、結局こういう本だ。

新任や若手だけでなく、年度ごとに自分の型を点検したい人にも向く。4月前に一気に読むのもいいが、むしろ学期の節目ごとに開くといい。教室の空気が少し変わったとき、何を手入れし直せばよいかを考える手がかりになる。手元に一冊置いておく意味のある本だ。

6. バックキャスト思考で創る学級経営(明治図書出版/単行本)

目の前の問題に追われていると、学級経営はどうしても場当たり的になる。静かにさせる、落ち着かせる、今日を乗り切る。その積み重ねで一日一日は終わるが、気づけばクラス全体がどこへ向かっているのかわからなくなる。この本の価値は、そこに逆向きの光を当てるところにある。最後にどんな学級であってほしいのか、その姿から逆算して今を組み立てる発想が軸になっている。

バックキャストという言葉は少し固く見えるが、やっていることはとても実践的だ。年度末に子どもたちがどんな顔で教室を出ていくのかを思い描き、そのために4月に何を置き、6月に何を整え、秋に何を支えるかを考える。教室経営に設計という言葉がしっくりこない人もいるかもしれないが、実際には設計なしによい偶然は育ちにくい。

向いているのは、毎日頑張っているのに、なぜか自分の学級経営に手応えが持てない人だ。忙しい現場では先を考える余裕こそ失われやすい。だからこそ、少し立ち止まって、ゴールから今を見る本が効く。新年度前はもちろん、夏休みに読むのにも向いている。後半戦の教室を立て直すヒントになる。

独学で入りやすい実践本

7. 新版 図解ビジュアル ゼロから学べる学級経営 若い教師のためのクラスづくり入門(明治図書出版/単行本)

最初の1冊としてすすめやすいのは、この本だ。学級経営の本は、内容がよくても、読み始める前に身構えてしまうものが少なくない。その点、この本は図解とビジュアルの力で、教室づくりの全体像をつかみやすくしている。ページを開いた瞬間に、いま自分がどの話を読んでいるのか迷いにくい。独学の入口では、その親切さがとても大きい。

読みやすいからといって浅いわけではない。若い教師がつまずきやすいポイントを押さえながら、クラスづくりの基本を順に確かめていける。教室のルール、関係づくり、日々のふるまい、教師の立ち位置。目新しいことばかりが書いてある本ではないが、最初にこういう本をしっかり読んでおくと、その後に読む実践書の吸収が変わる。基礎のある人は応用が速い。

新任や若手はもちろん、しばらく担任から離れていて戻る人にも向く。春休みの静かな時間に読むと、教室をつくる感覚が少しずつ立ち上がってくる。まだ何も始まっていないのに、教室の机の配置や子どものざわめきまで浮かんでくるような本だ。

8. 本当は大切だけど、誰も教えてくれない 学級経営42のこと(明治図書出版/単行本)

現場では、研修や養成段階で語られにくいけれど、実は毎日じわじわ効いてくることがたくさんある。この本は、まさにその「こぼれやすい大事なこと」を拾い上げる一冊だ。学級経営の失敗は、派手な事件より、見過ごされた小さな違和感の積み重ねで起きることが多い。だから、こういう本は案外重宝する。

いいところは、説教くさくないことだ。現場の細部に手が届く本は、ときに経験談の押しつけになりがちだが、この本は読者が自分の教室に引き寄せて考えやすい余白を残している。ああ、これは誰も教えてくれなかった、でも確かに大切だった、という感覚が何度もある。大きな理論ではなく、日常の継ぎ目を整える本と言っていい。

初任者が読むと救われるし、中堅が読むと忘れていた基本に戻れる。特に、毎日やることは多いのに、何から整えればいいのかわからなくなっているときに向く。学級経営は派手な技術ではなく、見落としにくさの積み上げなのだと実感できる一冊だ。

9. 学級を最高のチームにする! 学級経営365日の教科書(明治図書出版/単行本)

学級経営の難しさは、正しい考え方を知ることより、時間の流れの中でそれをどう運用するかにある。4月に必要なことと、11月に必要なことは違う。最初は勢いで進められても、梅雨どきには疲れがたまり、行事が続く時期には関係が乱れやすい。この本は、その一年のリズムの中で学級経営を考えられるのが強みだ。

教室をチームとして見る発想もいい。学級は、ただ静かならいいわけではない。互いに役割を持ち、ぶつかり、支え合い、少しずつ一つの集団になっていく。その過程には時期ごとの手入れがいる。読むと、学級経営が一回きりの立ち上げではなく、季節に応じた調整の連続だとわかる。教室にも天気があるのだ。

この本は、年間の見通しを持ちたい人に向く。とくに、毎年夏前や二学期に苦しくなりやすい人には相性がいい。今の悩みだけに反応するのではなく、この先にどんな山場が来るのかを知っているだけで、心の持ち方が変わる。落ち着いて一年を運びたい人にすすめたい。

10. 授業で学級をつくる(東洋館出版社/単行本)

学級経営と授業づくりを別のものとして考えてしまうと、教室はどこかでねじれる。ホームルームでは関係づくりを語り、授業では内容理解だけを見る。そんな分け方では、子どもたちにとって教室は一つの場として立ち上がらない。この本は、授業そのものが学級をつくるという発想を軸にしていて、その点がとてもいい。

実際、子どもたちがもっとも長く一緒にいるのは授業の時間だ。発言の扱われ方、間違いへの反応、聞く姿勢、待つ時間、助けを求められる空気。そうしたものは、すべて授業の中で形づくられる。学級経営を授業外の営みに押し込めないこの本は、教室の日常を一つにつなげてくれる。読んでいると、授業の設計がそのまま学級の文化づくりだと実感するはずだ。

授業研究に関心のある人にも向くし、学級経営がどうも表面的になってしまう人にも向く。朝の会や掲示で整えようとしても苦しいときは、授業を見直したほうが早いことがある。子どもたちが安心して参加できる授業をつくりたいとき、この本はかなり頼もしい。

11. むずかしい学級の空気をかえる楽級経営(東洋館出版社/単行本)

クラスがうまく回らないとき、表面に出てくるのは出来事だが、本当に手強いのは空気だ。誰かが発言すると冷える、失敗が笑いになる、注意が増えると余計に固まる。そういう目に見えない空気の重さは、指導案には書きにくいが、現場では確かにある。この本は、その空気を変えることに焦点を当てている。

いいのは、重い状況に対して、さらに重い言葉を重ねないところだ。荒れている、むずかしい、と分類するだけでは教室は動かない。では何を少し変えるのか。どこで関係を結び直すのか。誰の声を拾い、どの空気を止めるのか。こうした具体と感覚のあいだを行き来しながら、教室の息苦しさをほどく方向を考えられる。

今まさにクラスがしんどい人に向く本だ。きれいな理想像より、いったん今の重さを変えたいときに読むと助けになる。朝、教室のドアの前で少し足が重くなるような時期があるなら、この本はかなり現実的な味方になってくれる。

12. 学級経営11の武器 応用行動分析学で子どもが変わる(図書文化社/単行本)

感覚ではなく、行動ベースで学級経営を考えたい人に向くのがこの本だ。教室で起きることを、気合いや相性で説明してしまうと、再現性がなくなる。なぜその行動が増えたのか、なぜ別の行動は定着しないのか。そうした問いに、応用行動分析学の視点から迫るのが本書の持ち味である。

もちろん、学級経営は数字だけで割り切れるものではない。だが、行動を見る視点を持つと、教師の反応の癖や、子どもが何によって動いているのかが少しずつ見えてくる。叱る以外の手立てが整理されることで、対応の幅が広がる。教室で起きる問題を人格の問題にしすぎず、環境との関係で見直せるのは大きい。

注意や指導が増えすぎて、自分でも疲れてきた人に向く。感情を否定する本ではないが、感情だけで教室を動かさないための支えになる。荒れの予防にも、行動の定着にも使える視点なので、実践に直結しやすい本を探している人には相性がいい。

関係づくり・立て直しに強い本

13. アドラー心理学で考える学級経営 学級崩壊と荒れに向き合う(明治図書出版/単行本)

学級崩壊や荒れに関する本は、対応策ばかりが前に出ると、読む側もどこか身構えてしまう。この本は、関係の見方そのものを変えながら、崩れや荒れに向き合おうとするところがよい。アドラー心理学を土台にしつつ、子どもをどう見るか、教師がどの位置に立つかを考え直させる。

荒れた教室では、つい強く握りたくなる。指示を増やし、管理を強め、正しさで押し返したくなる。けれど、それで表面だけ静まっても、関係の底が冷えたままでは長くもたない。この本は、勇気づけや共同体感覚といった視点を通して、教室を統制ではなく関係から立て直そうとする。読んでいて、子どもを見る目が少し柔らかくなる一方で、教師の責任はむしろ重く感じられるはずだ。

関係がこじれてきたときに読むといい。学級崩壊という言葉までいかなくても、注意と反発の応酬が増えてきたとき、この本は刺さる。目の前の問題行動だけを追うのに疲れた人にとって、別の道筋を示してくれる。

14. よくわかる!すぐ始められる! 学級経営をガラリと変える「超実践的」心理的安全性アプローチ(学事出版/単行本)

心理的安全性という言葉は、教育でもすっかり広がった。ただ、広がった分だけ、耳ざわりのいい抽象語で終わる危うさもある。この本が役立つのは、その言葉を教室の中でどう扱うかに降ろしてくれるところだ。安心して発言できる、間違っても大丈夫、助けを求めてもいい。そうした状態を、きれいな理念で終わらせない。

学級経営では、雰囲気がいいことと安全であることは少し違う。にぎやかでも、本音が言えないことはある。静かでも、委縮しているだけかもしれない。この本は、その違いを考えながら、子どもたちが参加しやすい教室をどうつくるかに向き合っている。読後には、日常の声かけや反応の仕方を少し変えたくなるはずだ。

最近の学校現場の課題意識とつながりやすい本でもある。包摂や多様性を考える入り口としても使いやすい。クラスに発言の偏りがある、失敗を怖がる空気がある、遠慮が強い。そんな状態のときに読むと、次の一歩が具体的になる。

15. 心理的安全性と学級経営(東洋館出版社/単行本)

14が実践的な導入として使いやすいなら、この本はもう少し腰を据えて、心理的安全性を学級経営の中心テーマとして考えたい人に向く。安心とは何か、参加しやすさとは何か、受容される感覚はどう育つのか。そうした問いに対して、教室全体の設計として考えられるのがよい。

学級経営において安全性は、甘さとは違う。何を言っても許されることでもないし、対立を避けることでもない。むしろ、違いを出せる、失敗を出せる、わからなさを出せる場をどう支えるかが問われる。この本を読むと、教室の中で沈黙している子のことが気になってくる。目立たない不安や、声を出す前にあきらめている気配に、少し敏感になれる。

学級経営を、単に秩序づくりとしてではなく、子どもの参加の質から考えたい人に向く。クラスが荒れていなくても、どこか息苦しい。そんな見えにくい違和感を抱えているときに手に取ると、表面の穏やかさの下にある問題を見つけやすい。

16. 学級経営は「問い」が9割 Empowerment for Children(東洋館出版社/単行本)

教師が答えを与えすぎると、教室は整って見えても、子どもは受け身になる。この本は、その当たり前だけれど難しい問題に真正面から向き合う。「問い」を通して子どもの思考と参加を引き出す方向に、学級経営の軸を置いているのが特徴だ。

問いの力は、授業だけではなく学級経営でも大きい。どうしてそう思うのか、どんなクラスにしたいのか、何が困っているのか。教師が先回りして整理しきってしまう前に、子ども自身が考え、言葉にする余地をつくる。その積み重ねが、学級を他人事ではない場に変えていく。管理ではなく、参加によって教室が育つ感覚を持ちたい人にはかなり相性がいい。

子どもが指示待ちになりがちだと感じるとき、この本は効く。あるいは、自分がつい説明しすぎてしまうと気づいている人にも向く。教室を静かに従わせるのではなく、子どもたちが少しずつ自分の場として引き受ける方向へ動かしたいときに読みたい一冊だ。

包摂と現代的課題を補強する本

17. 包摂の学級経営(ジアース教育新社/単行本)

包摂の学級経営

包摂の学級経営

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インクルーシブ教育を語る本は多いが、学級経営のレベルで包摂を考えられる本は意外と多くない。この本の価値は、包摂を理念だけで終わらせず、学級経営の実践課題として捉えているところにある。誰も排除しない教室と言うのは簡単だが、実際にはルール、活動、評価、日々の反応の中に、静かな排除は入り込む。

この本を読むと、学級経営の見方が一段深くなる。困り感の強い子への支援だけでなく、教室全体の設計そのものが問われているとわかるからだ。多数派にとって回しやすい教室は、少数派にとって息苦しいことがある。そのことを曖昧にしないのがいい。きれいごとに聞こえそうな言葉を、現場の難しさの中で考えさせる本である。

多様な子どもがいる教室で、包摂をどこから実装すればいいのか迷う人に向く。支援や配慮を個別の話に閉じず、クラス全体の文化として考えたい人にすすめたい。教室の普通を疑うきっかけになる一冊だ。

18. やさしさ最強論 すべてを包み込む新時代の学級経営(明治図書出版/単行本)

タイトルだけ見ると少し強いが、読んでみると、競争や統制の言葉で教室を動かすことへの違和感にきちんと応えようとする本だとわかる。やさしさは、ただ優しくすることではない。子どもを甘やかすことでもない。安心して存在できること、失敗してもやり直せること、関係を切らずに済むこと。そうした教室の基調をどうつくるかが主題になっている。

学級経営の本を読んでいると、ときどき強さや統率が前に出すぎる瞬間がある。その言葉が必要な場面もあるが、それだけでは今の教室には足りない。この本は、やさしさを現実離れした理想ではなく、運営の力として捉え直してくれる。読後には、教師の強さとは何か、指導の厳しさとは何を守るためのものかを考えたくなる。

学級経営を新しい感覚で補いたい人に向く。すでに何冊か読んだあと、最後に少し風通しを変えるような役割でもいい。言い方ひとつ、待ち方ひとつで教室は変わる。その当たり前を、もう一度信じ直したいときに手に取りたい。

条件つきで追加したい2冊

18冊の本体は小中を含む学級経営の核でそろえたが、条件によっては次の2冊もかなり有力だ。高校勤務なら「1冊ですべてがわかる 高校教師のための学級経営大全」が強い。校種が合うなら実用度は高いし、進路や保護者連携まで含めた見取り図が持ちやすい。

 

また、年度途中の立て直しという悩みがはっきりしているなら、「6月からの学級経営 1年間崩れないクラスをつくるための戦略・戦術」も役に立つ。4月の立ち上げに間に合わなかった人ほど、こうした本に救われる。学級経営は、最初に完璧でなくても、途中から手を入れ直せる。

 

 

関連グッズ・サービス

本を読んだ後の学びを生活に根づかせるには、生活に取り入れやすいツールやサービスを組み合わせると効果が高まる。

紙の本でじっくり線を引くのもいいが、移動中や細切れ時間に読み進めたいなら電子書籍の使い勝手はかなり良い。理論書を少しずつ読む時期ほど、積み上げやすさが効いてくる。

Kindle Unlimited

耳から読める環境があると、通勤や家事の時間にも教育の言葉を入れやすい。教室で疲れて文字が入らない時期ほど、聞く読書は助けになる。

Audible

もうひとつあると便利なのは、小さめの付箋やメモカードだ。本で気になった視点をそのまま現場の場面に結びつけると、読みっぱなしになりにくい。教室で起きたことを一行だけでも書き留める習慣があると、学級経営の学びは急に自分のものになっていく。

まとめ

学級経営論の本を読む意味は、教室をうまく回すためだけではない。子どもたちがどんな場で一日を過ごし、どんな関係の中で学び、どんな言葉を自分のものにしていくのかを、教師の側がもう一度引き受け直すことにある。前半で理論と全体像をつかみ、中盤で日々の実践に落とし込み、後半で立て直しや包摂の課題へ進むと、学級経営の見取り図はかなり立体的になる。

  • まず全体を知りたいなら、7→3→1→2→5
  • 授業と学級をつなげたいなら、10→9→16
  • 関係のしんどさを立て直したいなら、11→13→14→15
  • 包摂まで視野に入れたいなら、3→17→18

教室は、劇的に変わることもあるが、多くは小さな選択の積み重ねで変わっていく。だからこそ、いい本を何冊か手元に置いて、考えを更新し続けることが効く。学級経営は、毎年やり直せる。

FAQ

学級経営論の入門書として、最初の1冊はどれがいいか

読みやすさを優先するなら「新版 図解ビジュアル ゼロから学べる学級経営」が入りやすい。図で全体像をつかめるので、独学でも迷いにくい。そのあとで「学級経営『超』入門」や「学級経営の理論と方法」に進むと、実践と理論がきれいにつながる。最初から難しい本に行くより、教室の像が浮かぶ本から入ったほうが続きやすい。

授業づくりの本と学級経営の本は別に読んだほうがいいか

完全に別にしないほうがいい。実際の教室では、授業中の空気や参加の仕方が、そのまま学級の文化をつくっていくからだ。「授業で学級をつくる」はその橋渡しとしてかなり優秀だし、学級経営をホームルームや掲示だけで考えない視点が持てる。授業研究に関心がある人ほど、学級経営論も一緒に読むと理解が深まる。

学級が荒れ気味のときは、理論書より実践書から入ってもいいか

いい。むしろ、そのほうが自然なことも多い。今すぐ教室の空気を変えたいなら、「むずかしい学級の空気をかえる楽級経営」や「アドラー心理学で考える学級経営」から入るほうが役立つ場合がある。落ち着いてきたところで理論書に戻ると、自分が何に困っていたのかを言葉にしやすくなる。学びの順番は、困りごとから決めていい。

心理的安全性の本は、学級経営の定番と一緒に読むべきか

一緒に読む価値は高い。今の教室では、静かであることや規律があることだけでは足りず、子どもが参加しやすいか、失敗を出せるか、助けを求められるかが重要になっているからだ。伝統的な学級経営の本で土台をつくりつつ、「心理的安全性と学級経営」や「超実践的 心理的安全性アプローチ」を重ねると、今の学校に合う形へ更新しやすい。

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