人は嘘をつく。しかし、その瞬間、顔はほんの一瞬だけ真実を語る。 嘘を見抜く達人として知られる心理学者ポール・エクマンの研究は、FBIやCIA、ドラマ『Lie to Me』にも影響を与えた。 筆者自身も、相手の微表情を読み取るトレーニングを通して、コミュニケーションの奥深さを実感した経験がある。 この記事では、Amazonで購入できるエクマン関連・表情心理学のおすすめ本15冊を、日本語書籍を中心に厳選して紹介する。
- ポール・エクマンとは?
- おすすめ本15選
- 原書おすすめ5選(英語)
- 11. Unmasking the Face: A Guide to Recognizing Emotions from Facial Clues
- 12. Telling Lies: Clues to Deceit in the Marketplace, Politics, and Marriage
- 13. Emotions Revealed, Second Edition
- 14. What the Face Reveals: Using the Facial Action Coding System (FACS)
- 15. Detecting Lies and Deceit: Pitfalls and Opportunities(Aldert Vrij)
- 関連グッズ・サービス
- まとめ:今のあなたに合う一冊
- よくある質問(FAQ)
- 関連リンク記事
ポール・エクマンとは?
ポール・エクマン(Paul Ekman, 1934–)は、アメリカの心理学者であり、「表情に普遍的な感情表現がある」ことを実証した人物だ。カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の教授として、1960年代から文化を超えた表情研究を行い、6基本感情(怒り・嫌悪・恐怖・幸福・悲しみ・驚き)を特定。これをもとに「表情行動符号化システム(FACS)」を開発し、感情と筋肉の動きを体系的に記述した。
彼の研究は心理学だけでなく、警察・医療・外交・企業研修など多領域に応用されている。 特に「嘘検知」「微表情(micro expression)」の研究は、人間関係やビジネス現場での信頼形成に革命をもたらした。 現代では、彼の理論をもとにしたAI感情認識や交渉学の研究も進むなど、影響力は拡大し続けている。
おすすめ本15選
1. 表情分析入門―表情に隠された意味をさぐる
表情の背後にある「感情の構造」を科学的に読み解く、エクマンの代表的入門書。表情研究の古典的名著として、現在でも心理学部や警察・医療研修で広く参照されている。文化を超えても共通する表情の特徴を実験的に示し、「喜び」「悲しみ」「怒り」「恐れ」などがどのように顔に現れるのかを詳細に分析している。 特にFACS(Facial Action Coding System)の基礎理解に最適であり、感情表現の“微妙な違い”を数値的に見る視点が得られる。
刺さる読者像:人間関係で「なぜ相手が本音を隠すのか」に関心を持つ人。表情分析を学びたいカウンセラー、面接官、教育者にも最適。 おすすめポイント:著者の臨床経験と実験データが融合しており、読後には人の顔を“データ”として観察する視点が生まれる。自分の表情習慣にも気づかされる一冊。
2. 暴かれる嘘―虚偽を見破る対人学
嘘を見抜く心理学の原点とも言える一冊。人はなぜ嘘をつき、どのように表情・声・姿勢でその兆候を漏らすのか。エクマンとフリーセンが長年の研究から導いた「嘘の兆候」を体系化している。 単なる“しぐさの読み方”ではなく、嘘をつく心理的動機、ストレス反応、感情の抑制が引き起こす筋肉変化を科学的に解説しているのが特徴。
刺さる読者像:交渉・面接・カウンセリングなどで「相手の本音を見抜きたい」と考える人。 おすすめポイント:エクマンの研究姿勢がきわめて倫理的で、「嘘を暴くこと」ではなく「理解すること」に重きを置いている点が印象的。実践心理学の名著。
3. 顔は口ほどに嘘をつく(河出文庫)
一般読者にも読みやすいエクマンの代表的著作。表情から人の感情を読み解く科学を、物語と事例を交えて平易に紹介している。 「怒り」「恐怖」「軽蔑」など、それぞれの表情がどのように顔の筋肉に現れるのかを豊富な図版で説明。海外ドラマ『Lie to Me』の理論的基盤にもなった。
刺さる読者像:心理学初心者・ビジネスパーソン・教育現場の人。 おすすめポイント:実際に筆者も本書で“微表情”という概念を初めて理解できた。表情を観察する習慣が身につくと、日常の人間関係がまるで違って見えてくる。
4. 子どもはなぜ嘘をつくのか
子どもの発達心理に焦点を当て、嘘の起源と学習過程を考察するエクマンの重要著作。 単に「嘘は悪い」と断じるのではなく、嘘をつく力そのものが認知的成長や社会性の指標であると論じる。表情や非言語の使い方を通じて、子どもがどのように自己防衛や共感を学ぶのかを描く。
刺さる読者像:教育者、保護者、発達心理に関心がある人。 おすすめポイント:嘘を通して「心の理論(Theory of Mind)」を理解できる。読後には、子どもを叱る視点ではなく、理解する視点が身につく。
5. 微表情を見抜く技術(清水建二)
日本におけるエクマン理論の第一人者・清水建二による実践書。ポール・エクマン認定のFACSコーダーとしての経験から、微表情を見抜くトレーニング法を具体的に紹介している。 写真・事例が豊富で、心理学の知識がなくても理解しやすい。 エクマン理論を日本文化にどう適用できるかという視点が新しく、「空気を読む」文化における非言語の扱い方にも触れている。
刺さる読者像:コミュニケーション力を高めたい社会人、面接・営業・医療・教育など人と関わる職業の人。 おすすめポイント:理論を超えて「日常で使えるスキル」に落とし込まれている。自分の表情を鏡で確認しながら読むと、驚くほどの発見がある。
6. 一瞬の微表情から心を読む方法 ― 人生を変える表情心理学(清水建二)
「人は一瞬の表情にこそ本音が出る」――微表情をトレーニングとして学べる日本語書。著者はポール・エクマンの弟子筋にあたり、感情認識の国際認定資格を持つ。 笑顔の裏にある不安、無表情の中にある怒りなど、0.5秒未満の表情を読み取るコツを実例で解説している。スマートフォンのカメラでの観察練習法なども紹介されており、実践的。
刺さる読者像:恋愛・職場・教育など、人の感情変化を正確に読みたい人。 おすすめポイント:著者自身のトレーナー体験が生々しく、心理学を超えて「人間観察の楽しさ」が伝わる。読後に人の顔を見るのが楽しくなる。
7. 「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く(清水建二)
顔の筋肉だけでなく、姿勢やしぐさの全体から感情を読む方法を体系化した応用書。 エクマン理論を基礎としつつ、日本人特有の表情文化(控えめな笑顔、沈黙の共感など)への適用を丁寧に解説している。 特に「ミスリーディング・シグナル(誤解を招く表情)」への注意点が秀逸で、観察精度を高めたい人には必読。
刺さる読者像:人事、営業、医療、教育など「人を観る」職種の人。 おすすめポイント:写真・図版が豊富で、FACSの理解を深めながら実務にも応用できる。日本文化に即した「非言語リテラシー入門」としても優れている。
8. FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学(ジョー・ナヴァロ/河出文庫)
エクマン理論を実務に活かした代表格がこのジョー・ナヴァロ。元FBI捜査官で、エクマンの表情分析法を現場の尋問・交渉に応用した。 人は無意識に「本音のサイン」を身体で出す――腕組み、視線、脚の向きなど、微細な非言語情報をどう読み解くかを具体的に指南している。 科学的裏づけが明確で、ハウツー本にありがちな俗説を排している点も信頼できる。
刺さる読者像:ビジネス交渉、採用面接、恋愛心理などで人の真意を見抜きたい人。 おすすめポイント:エクマン理論の応用例として最高の教科書。読後は「嘘を暴く」ではなく「人を理解する」姿勢が身につく。
9. FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 解読編(ジョー・ナヴァロ/河出文庫)
前作の続編にして、非言語分析をより深めたい読者向けの実践編。 人の仕草を単に「嘘・本当」で分類せず、その人が置かれている状況・文化・ストレス要因を踏まえて解釈する重要性を説く。 表情心理学とボディランゲージの統合的理解に役立つ内容で、エクマンの「コンテクスト重視」の思想に通じる。
刺さる読者像:チームマネジメント、リーダー職、心理カウンセラー。 おすすめポイント:嘘を暴くよりも「信頼構築」を目的とした読解法が学べる。コミュニケーションの本質を思い出させてくれる一冊。
10. うそつき―うそと自己欺まんの心理学(チャールズ・V・フォード)
エクマンと並んで嘘研究を牽引したフォードによる理論書。人はなぜ嘘をつくのか――社会的防衛、本能、進化心理の観点から分析する。 エクマンの実証研究を補完する“哲学的アプローチ”として読むと理解が深まる。嘘を悪とせず、人間の社会的適応として位置づける視点が新鮮だ。
刺さる読者像:倫理学や哲学にも興味がある心理学ファン。 おすすめポイント:嘘を多面的に捉えることで、「真実を語るとは何か」という問いを投げかけてくる。エクマン理論の背景理解にも好適。
原書おすすめ5選(英語)
11. Unmasking the Face: A Guide to Recognizing Emotions from Facial Clues
表情心理学のバイブル。6基本感情の表情特徴を写真付きで体系化した決定版。英語だが図版が多く、専門用語も平易。 世界中の研究者が引用するFACS理論の原点として、学術的価値が非常に高い。
12. Telling Lies: Clues to Deceit in the Marketplace, Politics, and Marriage
政治家・ビジネス・家庭など、さまざまな場面で人は嘘をつく。その構造を社会心理学的に解き明かす名著。 エクマンの「暴かれる嘘」の原典であり、嘘検知研究の歴史を知るなら必読。
13. Emotions Revealed, Second Edition
感情の正体と、その表れ方をやさしく解説する一般向け改訂版。 日常的な怒り・恐怖・喜びなどの“トリガー”を理解することで、他者理解と自己理解を同時に深められる。
14. What the Face Reveals: Using the Facial Action Coding System (FACS)
エクマンのFACSを学術的に応用した論文集。臨床心理・神経科学・AI認識研究まで幅広く収録。 専門家や大学院生レベルにおすすめ。
15. Detecting Lies and Deceit: Pitfalls and Opportunities(Aldert Vrij)
エクマン理論を継承しつつ進化させたヨーロッパの欺瞞研究者フリイによる代表作。 表情だけでなく声・言語・視線・脳波など多角的アプローチで嘘検知を分析。国際研究の最前線を知る好資料。
関連グッズ・サービス
本で得た知識を日常や学習に定着させるには、ツールやサービスの活用が効果的だ。
- Kindle Unlimited:清水建二・ナヴァロ関連書の一部が対象。スマホで表情写真を拡大して読むのに最適。
- Audible:『顔は口ほどに嘘をつく』など感情描写の語りを耳で体験できる。通勤時間の学習にもおすすめ。
- :顔写真の細部をじっくり観察しやすい高解像度端末。紙よりも拡大が効く。
まとめ:今のあなたに合う一冊
ポール・エクマンの研究は「嘘を暴く」ためではなく、「感情を理解する」ための科学だ。 表情心理学を学ぶことで、人との距離が近づく。どんな瞬間にも“本音”は顔に宿る。
- 気分で選ぶなら:『顔は口ほどに嘘をつく』
- じっくり理論を学ぶなら:『表情分析入門』
- 実践で使いたいなら:『微表情を見抜く技術』
観察は理解の第一歩。表情を読む力は、人生を豊かにするスキルになる。
よくある質問(FAQ)
Q: ポール・エクマンの本は初心者でも読める?
A: 『顔は口ほどに嘘をつく』や『暴かれる嘘』は平易で、心理学初心者にも理解しやすい。専門書は図版中心なので視覚的に学べる。
Q: 微表情のトレーニングは独学でもできる?
A: 清水建二氏の著書やKindle Unlimited版を使えば独習可能。鏡や動画を使うと効果的。
Q: 嘘を見抜くスキルはビジネスにも役立つ?
A: 面接・交渉・営業など、相手の感情を的確に読む力として非常に有用。誤用せず信頼構築の道具として使うのが理想。
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