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【トラウマ/PTSDおすすめ本】正しく学べる、読んで良かった書籍30選【症状、治療法がわかる、臨床・当事者・保護者のための実践ガイド】

この記事では、Amazonで買える「トラウマ/PTSD心理学」の本を30冊だけ厳選して紹介する。実務で役に立った、当事者として支えになった、と実感できた本ばかりだ。

診断や治療の断定はせず、証拠(エビデンス)と実践をつなぐ導線を意識してまとめた。

 

 

おすすめ本30選

1. 子どものトラウマとPTSDの治療:エビデンスとさまざまな現場における実践

 

 

 

子どものPTSDに第一選択とされるTF-CBT(トラウマフォーカスト認知行動療法)を、日本の学校・医療・福祉の各現場に落とし込むための実践書だ。評価(アセスメント)から介入、家族支援、学校連携まで一気通貫で設計できる。手続きは細かいが、子どもの安全と尊厳を守るための“順序”が理路整然としている。症状の背景にある神経生理や発達的視点にも触れ、行動の「意味」を読み解く。支援者の二次受傷や燃え尽きへのケアも丁寧に扱う。和書でここまで“使える”一冊は貴重だ。

  • 学校・児童相談所・医療機関での実装を見据えたい人
  • 保護者面接と子どもの個別支援をつなげたい人
  • 評価尺度→介入→振り返りの流れを整えたい実務者
  • 「安全」「信頼」「選択」を重視する支援観を学びたい人
  • 二次受傷(支援者の傷つき)対策を体系的に学びたい人
  • エビデンスと文化適応(日本の現場化)を両立させたい人
  • ケース会議の進め方、記録の要点を押さえたい人
  • 学校危機対応とTF-CBTの接点を理解したい人
  • 保護者の罪責感・無力感への関わり方を学びたい人
  • “悪い行動”の裏にある生存戦略を見抜きたい人

現場で章立てどおりに進めると、混乱していたケース会議が静かに整っていく。エビデンスは現場の言葉になって初めて生きる、と腹落ちした。

2. トラウマからの回復と社会の修復: 分断と再演を超える

 

 

 

個人の回復だけでなく「関係」「コミュニティ」「制度」を含む“社会の修復”に射程を広げた意欲作だ。トラウマインフォームドケア(TIC)を基盤に、再演(同じパターンのやり直し)を断つための組織文化づくりに踏み込む。被害/加害という二分法を超え、権力・スティグマ・沈黙の構造に光を当てる。支援現場の微細な暴力性にも自覚的であることを促し、“支援する側の回復”にも言及。臨床と社会を往復する視野が得られる。ケースを超え、現場そのものを変えたい人に刺さる。 

  • 施設・学校・自治体でTICを根づかせたい管理職
  • チーム内の再演(同じ衝突の反復)に悩む人
  • 被害者支援と加害者非難の板挟みで消耗している人
  • 支援の“権力性”に自覚的でいたい臨床家
  • 地域レベルの安全基地を構想したい実務者
  • 制度設計・研修設計の理論的裏づけを求める人
  • 当事者参画型の意思決定を実装したい人
  • 二次加害を起こさない情報発信の原則を掴みたい人
  • 虐待・DV・貧困など複合課題の連携モデルを探す人
  • “個人の努力”で片づけない視点を学びたい人

「誰か一人の不調」ではなく「場の力学」が見えはじめる。関係の作り替えこそ最大の治療だと思わされた。

3. 複雑性PTSDの理解と回復ー子ども時代のトラウマを癒すコンパッションとセルフケア

 

 

 

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複雑性PTSD(cPTSD)を、コンパッション(思いやり)とセルフケアの実践で支えるアプローチ。自責と恥に絡め取られやすい当事者に、自己批判のループを緩める“優しさのスキル”を具体化する。身体感覚の安全化、感情の名前付け、境界の作り方、トリガー対処の手順が平易だ。理論過多にならず、日々のセルフワークへ橋渡しする紙面設計も秀逸。支援者の並走方法も明快で、面接の導入に向く。安心の土台から少しずつ“再接続”していく道筋が見える。 

  • 恥・自己批判で身動きが取れない当事者
  • フラッシュバック後の“自責の嵐”に苦しむ人
  • 境界づくり・NOの言い方を練習したい人
  • セルフケアを“続ける”仕組みを作りたい人
  • コンパッション・フォーカスト・セラピーに関心がある支援者
  • 「優しさ=甘え」ではない根拠を学びたい人
  • 安全なセルフワークのガイドが欲しい人
  • トラウマ×愛着に関心のある人
  • 回復の速度を自分で決めたい人
  • 罪悪感と怒りを同時に抱える苦しさを言語化したい人

「自分に優しくすることが最大の回復阻害」という無意識の信念がほどけた。小さなセルフケアを積むほど、何年も固まっていた身体がゆるむ手応えがあった。

4. 発達性トラウマ障害と複雑性PTSDの治療

 

 

 

発達段階での逆境体験が自己調整・対人関係・自己像に与える影響を土台から解きほぐす。著者の長年の臨床を踏まえた“安全第一”の処方が随所にあり、過度な曝露や深掘りによる再外傷化を避ける工夫が光る。段階的安定化→トラウマ処理→統合の三相モデルが明確で、面接の見立ての軸になる。学校・保健・司法との連携も視野に入る。支援者の感情調整(カウンタートランスファレンス)へのまなざしが実践的だ。 

  • 「安全化」が形骸化しがちな支援現場
  • 面接でタイムラインが崩れやすいケース
  • 曝露を急ぎすぎて空回りした経験がある臨床家
  • 学校・家庭・医療の連携を再設計したい実務者
  • 症状より“機能回復”を指標にしたい人
  • 二次受傷を避ける面接設計を学びたい人
  • 慢性的解離・自己無価値感に向き合う人
  • 支援者の“無力感”に名前を与えたい人
  • 発達障害の併存との見立てを鍛えたい人
  • 養護・里親・施設ケアの実践に関わる人

焦らない勇気を取り戻した。三相モデルを守るだけで、面接が驚くほど穏やかに進む。

5. 子どものPTSDのアセスメント:UCLA心的外傷後ストレス障害インデックスの手引き

 

 

 

国際的に広く使われるUCLA PTSD Indexの日本語版手引き。尺度の背景理論、実施・採点・解釈の手順、結果の説明の仕方まで網羅する。単なる「数値化」ではなく、子どもの語りの尊重と保護者へのフィードバックの倫理が丁寧だ。学校現場でも導入しやすい説明様式で、チーム共有に向く。アセスメントの質が介入の質を決める、を体で理解できる。 

  • 評価の“ばらつき”を減らしたいチーム
  • 保護者・教員への結果説明に悩む人
  • 尺度の信頼性・妥当性を押さえたい人
  • 学校ベースのスクリーニングを設計したい人
  • 被害の語りを強いない聴き方を学びたい人
  • アセスメント→連絡→介入の導線を整えたい人
  • 研修テキストとして共通言語を作りたい組織
  • 研究と実務の橋渡しを意識する人
  • 尺度の限界と補完(面接・観察)の関係を掴みたい人
  • フォローアップの反復測定を制度化したい人

チェックリストが“関係を壊す紙”にならない。手引きのおかげで、説明の言葉がやわらかくなった。

6. 複雑性PTSDの臨床―“心的外傷~トラウマ”の診断力と対応力を高めよう

 

 

 

cPTSDの診断・鑑別・介入を、日本の実践に即して横断的に整理した臨床テキスト。ICD-11の位置づけ、共存症(解離・依存・摂食・パーソナリティ)の見立て、危機介入、地域連携まで幅広い。治療技法の選択と“順序”に強く、二次外傷の予防を含むチーム運営の知も豊富だ。外来で使える“やりすぎない処理”のコツが具体的で、ケース会議の共通土台に向く。 

  • ICD-11のcPTSDを現場運用したい人
  • 共存症の迷路で迷いやすいケースの見取り図が欲しい人
  • 治療段階ごとの“何をしないか”を決めたい人
  • ケース会議での論点整理に悩む人
  • 地域連携・多職種協働の設計を学びたい人
  • 臨床倫理(同意・守秘・境界)を磨きたい人
  • 支援者の安全管理・二次外傷対策を強化したい人
  • 慢性化・反復化ケースの再設計を考える人
  • 教育・司法・福祉の接続を強めたい人
  • “治す”より“回復を助ける”を体得したい人

やるべきこと以上に“やらないこと”が腹に落ちた。治療の骨格がぶれなくなる。

7. 新装版 トラウマの現実に向き合う: ジャッジメントを手放すということ

 

 

 

「正しさ」や「善悪」のジャッジが、どれほど当事者を追い詰め、再演を強めるか――その現実に真正面から向き合う。共感と承認を超え、関係の中に潜む微細な支配を手放す態度を鍛える書だ。支援者の焦り・万能感・救済願望にも光を当て、伴走の「距離」を学ぶ。わかりやすい章構成で、読みながら自己点検が進むのがありがたい。 

  • “正しさ”ゆえに関係がこじれることが多い人
  • 被害語りに耐えられず説教してしまう支援者
  • 境界の引き方に不安がある人
  • 罪悪感・怒りを抱える当事者との対話に悩む人
  • 家族・パートナー・職場など近接関係で支える人
  • トラウマの語りを安全に扱う編集・広報担当者
  • 研修のテキストとして“関係の暴力性”を学びたい人
  • 臨床スーパービジョンの素材を探す人
  • 自分のトラウマに対する自己ジャッジを手放したい人
  • 「優しさが怖い」感覚を言語化したい人

誰かを「助ける」は簡単だが、「共にいる」は難しい。その難しさに言葉が与えられた。

8. 脳から見えるトラウマ―記憶なき心の傷つき

 

 

 

“語れない記憶”はどこに宿り、どう反復されるのか。神経科学・臨床・現象学を横断して、トラウマ記憶の生成・保持・反復・消去を読み解く。フラッシュバックや身体記憶の謎に、比喩ではなくメカニズムで迫る筆致が冴える。治療者にとっては、面接中の「今・ここ」で起きる神経過程を想像する助けになる。当事者にとっては「自分がおかしいのではない」と腑に落ちる理論的支えになる。 

  • 「思い出せないのに苦しい」の理由を知りたい人
  • 身体反応と記憶の関係に納得感が欲しい人
  • 技法の前に“原理”を学びたい臨床家
  • 解離・フリーズ反応への理解を深めたい人
  • 曝露の適量とタイミングを見極めたい人
  • 神経科学の知見を実践に翻訳したい人
  • 「考えても直らない」感覚に疲れた当事者
  • 支援者の焦りを鎮める理論が欲しい人
  • 研究と臨床を接続したい大学院生
  • “治す”より“整える”に手応えを求める人

痛みの所在に言語と地図が与えられると、焦燥がすっと引いていく。理論が救いになる瞬間が確かにある。

9. PTSDの持続エクスポージャー療法ワークブック トラウマ体験からあなたの人生を取り戻すために

 

 

 

エビデンスの確立したPE(持続エクスポージャー)を、当事者が安全に進めるための実践ワークブック。恐怖階層表の作り方、イメージ曝露・現実曝露の進め方、生活の再構築まで段階的に案内する。伴走者(治療者・支援者)と併用すれば、面接外の時間にも回復の歯車が回る。回避を続けることの損失も正直に書かれ、やる理由が腹に落ちる設計だ。

  • 回避が日常を侵食している当事者
  • PEのやる/やらないを判断したい支援者
  • 生活と曝露課題を両立させたい人
  • “少しずつ慣らす”具体的手順を知りたい人
  • フラッシュバック後のセルフグラウンディングを練習したい人
  • 支援者として課題設定・振り返りの指標が欲しい人
  • 「もう終わりにしたい」という強い意志を持つ人
  • 家族・パートナーの伴走方法を学びたい人
  • トラウマと“私らしさ”を再接続したい人
  • 逃げてきた場所に“また行ける日常”を取り戻したい人

恐怖階層表を一段ずつ登れた日、長年の回避が日常の景色を奪っていたと気づいた。戻るのではなく、取り戻す感覚が生まれる。

10. トラウマへの認知処理療法: 治療者のための包括手引き

 

 

 

認知処理療法(CPT)の理論・手順・ホームワーク・障害対応(ドロップアウト、解離、怒り)まで、導入に必要な情報がひととおり揃う決定版。信念(安全・信頼・権力・親密・自尊)領域への働きかけを、ワークシートで具体化する。PEとの使い分けや併用の勘所、文化適応の視点も有用だ。症状の軽減だけでなく、意味づけの再構築と価値に基づく行動を後押しする。 

  • CPTを安全に導入したい臨床家
  • PE・EMDR・CBTとの使い分けを整理したい人
  • “べき思考”と罪悪感の絡まりをほどきたい人
  • 異文化・ジェンダー・暴力史を踏まえた言葉選びを学びたい人
  • ホームワークの定着率を上げたい人
  • 離脱・停滞へのリカバリープランを持ちたい人
  • 長期化ケースの“意味の再編集”を助けたい人
  • 研究と実務を接続するエビデンスを参照したい人
  • 面接外の時間を治療に変えたい人
  • 「生き延びた私」を“生きていく私”に更新したい人

信念のレンズが変わると、世界の光の当たり方が変わる。CPTはその“レンズの磨き直し”だった。

11. 発達性トラウマ治癒のための実践ガイド ― NARMで小児期逆境体験と複雑性トラウマを癒やす

 

 

 

「過去を語る」よりも「今、ここにある生きづらさ」を整える――その哲学を具現化したのがNARM(神経情動的関係モデル)。 幼少期の愛着トラウマや慢性的ストレスが、成人後の対人関係や身体感覚にどう影響するかを精密に描く。 NARMの核は“意識化”よりも“調整”。身体感覚・情動・思考を同時に扱い、「物語ではなく神経系を癒す」という画期的な立場だ。

  • フラッシュバックや思考反芻が止まらない人
  • 愛着不安・回避を身体レベルで整えたい人
  • 治療が長期化しすぎて行き詰まった支援者
  • セラピーの「安全基地」を再定義したい臨床家
  • トラウマ×身体心理学に関心のある人

読後は「癒しは過去の再訪ではなく、現在の回復」だと腑に落ちる。 深く優しい一冊。

12. サバイバーとセラピストのためのトラウマ変容ワークブック ― トラウマの生ける遺産を変容させる

 

 

 

トラウマから「回復」するだけでなく、「変容」していくためのセルフワーク集。 被害体験を“過去の出来事”として封印せず、“今ここでの命の一部”として再統合するプロセスを提案している。 マインドフルネス、身体スキャン、対話日記、ビジュアライゼーションなどが豊富で、 支援者と当事者が並んで使える構成。

  • トラウマ体験を意味づけ直したい人
  • 「前向きになれ」と言われて傷ついた経験がある人
  • 支援の場でセルフケアを教えたい臨床家
  • 身体を通して安心感を取り戻したい人
  • 感情が波立つときの「安全スイッチ」を作りたい人

「私が変わるのではなく、私の中の傷が癒えていく」――そんな静かな勇気をくれる本。 声を出して泣きながら読んだというレビューが多いのも納得だ。

13. 複雑性PTSDの臨床実践ガイド ― トラウマ焦点化治療の活用と工夫

 

 

 

cPTSD治療の「現場での使い方」を集約したガイド。 理論よりも“どう支えるか”に焦点を当て、TF-CBT、PE、CPT、EMDRなどの技法を比較しながら柔軟な組み合わせを提案している。 章ごとに「難航ケース」「失敗事例」「再外傷化防止策」まで実例付き。 現場の「迷い」に寄り添う珍しい専門書だ。

  • 教科書的治療では成果が出ないと悩む支援者
  • 技法間の使い分けを実感で掴みたい臨床家
  • 再外傷化を起こさない安全設計を知りたい人
  • 回復の“停滞期”にできる関わりを学びたい人
  • 心理師養成課程で現場に出る前に読むべき人

机上ではなく「血の通った臨床」を描く本。 読んでいて、実際の面接室の空気が伝わってくるようだった。

14. 発達性トラウマ ― その癒やしのプロセス

 

 

 

 

発達早期の養育環境で形成される「生理的な防衛反応」を中心にトラウマを理解する本。 自己調整能力・身体反応・人間関係スキルがどのように形成不全を起こすのかを神経発達モデルから解説する。 読むほどに「発達性トラウマ=性格ではなく神経のパターン」であることが見えてくる。 安全化・接地・調整の段階的介入法も具体的。

  • 幼少期の愛着・養育問題を扱う支援者
  • 発達障害とトラウマの境界に関心がある人
  • 自分の反応を「性格」と誤解してきた当事者
  • 子ども支援の安全基盤を整えたい人
  • 親としての罪悪感に苦しむ人

「発達性トラウマ」は“治す病気”ではなく、“再び育つ過程”。 その視点の転換を与えてくれた。

15. トラウマインフォームドケア ― “問題行動”を捉えなおす援助の視点

 

 

 

「問題行動はサバイバル戦略である」という視点を、現場の言葉で解説する。 子ども・障害者・高齢者支援など、多様な分野のケースが掲載され、支援者が“安全・信頼・協働”の原則をどう実践するかを示す。 リスク対応よりも「回復を前提にした関わり」を重視する姿勢が貫かれている。

  • 怒り・暴言・拒否的態度への対応に困っている支援者
  • 学校・福祉現場の行動問題の再解釈を学びたい人
  • チームでTICを浸透させたいリーダー
  • 組織の文化改革を進めたい管理職
  • “安全な場づくり”を仕組みとして学びたい人

「変わらない子ども」ではなく、「変われないほど安全でなかった子ども」―― その視点がすべてを変える。

16. トラウマの伝え方 ― 事例でみる心理教育実践

 

 

 

被災・虐待・DV・性暴力など、当事者にトラウマを説明する「心理教育」の技法を扱う。 “トラウマという言葉をどう伝えるか”という、これまで見落とされてきたテーマを徹底的に掘り下げる。 図表・比喩・言い換え例が秀逸で、支援者研修の教材としても有用。 難しい専門用語を“傷の物語”として言葉にできる力が身につく。

  • 当事者にトラウマを説明する必要がある支援者
  • 保護者・教師に心理教育を行う心理職
  • メディア報道や講演で伝える立場の人
  • 当事者として自分を理解したい人
  • 言葉で癒しを作りたい臨床家

「伝え方次第で、回復の速度が変わる」。 この本が、まさにそれを教えてくれる。

17. 愛着トラウマケアガイド ― 共感と承認を超えて

 

 

 

「共感してもうまくいかない」――そんな臨床の壁を突破するための指南書。 愛着障害・トラウマ・依存・自己破壊的行動を“関係のパターン”として捉え、 支援者が巻き込まれずに伴走するための姿勢を解説する。 共感よりも「機能的な安全関係」を重視する現代的ケア論だ。

  • 愛着トラウマと自己破壊的行動に関わる支援者
  • 「優しさが通じない」関係に悩む人
  • 家族・パートナーとの関係修復を望む当事者
  • 共感疲れ・共依存に苦しむ臨床家
  • 愛着理論とトラウマケアを統合的に学びたい人

“共感”を手放した先にこそ、本当の信頼があった。 支援者にとって救いになる一冊。

18. トラウマを乗り越えるためのガイド ― マインドフルネスとメンタライゼーションの実践

 

 

 

マインドフルネス(今この瞬間への気づき)とメンタライゼーション(心を理解する力)を融合し、 トラウマ後の自己分断・感情調整困難を整えるための実践書。 自己観察のワークが豊富で、認知や感情に巻き込まれない“観る視点”を育てる。 認知処理療法・ACTとの親和性も高い。

  • 思考が暴走して自己否定が止まらない人
  • フラッシュバック時の呼吸法・注意転換を練習したい人
  • 自己観察力を育てたい支援者
  • 被害体験を語ることに抵抗のある人
  • 「気づき」をリソースとして使いたい人

「変えようとせず、気づくことで変わる」――その静かな力を、実践で確かめられる。

19. トラウマの医療人類学【新装版】

 

 

トラウマを“文化の文脈”で読み解く異色の名著。 戦争・災害・差別など社会的暴力の中で生まれる苦痛を、 医療人類学・文化精神医学の視点で考察する。 トラウマを「病」ではなく「語りの形」として扱う姿勢が深い。 臨床家だけでなく、社会学者・ジャーナリストにも読まれている。

  • 医療と文化の交差点に興味がある人
  • 災害・紛争支援の現場に関わる人
  • 「PTSD」という概念そのものを問いたい人
  • 異文化におけるケアの形を学びたい人
  • 語ることと沈黙の意味を考えたい人

トラウマの“普遍”と“多様”を同時に理解させてくれる。 「語ることの文化的勇気」を感じる本。

20. トラウマにふれる ― 心的外傷の身体論的転回

 

 

 

“心の傷”ではなく“身体の記憶”としてトラウマを捉え直す、近年注目の理論書。 心理療法・哲学・身体表現が交錯し、 言葉にできない感覚や沈黙に宿る治癒の可能性を探る。 難解だが、読後は「言葉にならない痛みをどう扱うか」という問いが残る。

  • トラウマと身体表現(ダンス・演劇など)に関心がある人
  • 心理臨床の限界を感じている支援者
  • 言葉にならない痛みに寄り添いたい人
  • 身体と記憶のつながりを研究する大学院生
  • 哲学・現象学的臨床に興味がある人

ページを閉じた後、胸の奥に“沈黙のセラピー”が残る。 読むこと自体がグラウンディングになる稀有な本。

21. トラウマティック・ストレス: PTSDおよびトラウマ反応の臨床と研究のすべて

 

 

臨床・研究双方のスタンダードを押さえたいなら、まずこの大著。 神経生物学、評価、主要治療(PE、CPT、EMDR、薬物療法)、併存症、危機介入、災害・虐待・戦争といった文脈まで網羅する。 “トラウマは単一の病いではなく、多層の反応である”という前提が一貫しており、個別事例を理論に接続するための座標軸になる。

  • 包括的に学び直したい臨床家・研究者
  • 技法間の比較と選択の根拠を固めたい人
  • チーム学習・院ゼミのメインテキストに

分厚さに怯むが、迷ったとき戻れる「地図」として机上に置いておきたい決定版だ。

22. 複雑性PTSDとは何か

 

 

ICD-11への正式収載で注目が高まるcPTSDを、診断概念から臨床像、治療段階(安定化→処理→統合)までコンパクトに整理。 「恥・自己否定・関係回避」といった持続的な自己組織化の障害(DSO)を軸に、PTSDとの相違を明晰に解説する。

  • cPTSDの“輪郭”を短時間で掴みたい人
  • 鑑別・併存症の見立てを手早く確認したい臨床家
  • 当事者として自分の状態に名前を与えたい人

“なぜ自分だけが前に進めないのか”に言葉が与えられ、回復の順序が見えてくる。

23. 複雑性トラウマ・愛着・解離がわかる本

 

 

cPTSDにしばしば併走する〈愛着の傷〉と〈解離〉を一続きの現象として理解する入門。 “問題行動”の裏にある生存戦略を解説し、日常で使える自己調整スキル(接地・安全化・境界設定)を豊富な図解で示す。

  • 難しい概念を噛み砕いて学びたい当事者・家族
  • 初学者に解説する心理職・支援者
  • 面接導入の「共通言語」を作りたい人

読後、解離を“怖い症状”ではなく“身を守る技術”として捉え直せる。その視点の転換が関係をやわらげる。

24. 対人関係療法でなおす トラウマ・PTSD

 

 

PEやCPTが主流の中で、IPT(対人関係療法)でPTSDにアプローチする実践書。 喪失・役割不和・役割転換・対人欠如というIPTの四領域を用い、“物語の再処理”よりも“関係の再構築”に重心を置く。 曝露が難しいケースや、複雑な対人ストレスが主因のケースに有効な選択肢を提示する。

  • 曝露中心の治療が合いづらいクライエント
  • 家族・職場・学校など関係の再設計が必要な人
  • 支援者として面接の“安全基地”を強化したい人

「話の内容」だけでなく、「誰に・どう話すか」を治療の中心に据える視点が新鮮だ。

25. 子どものトラウマ (講談社現代新書)

 

 

一般向けながら、内容は実に実務的。 発達段階ごとの反応、学校でのサイン、保護者対応、メディア情報との付き合い方まで、現場の疑問に丁寧に答える。 「叱る/褒める」以前に必要な“安全の言語”が身につく。

  • 学校・学童・塾など子ども支援の最前線にいる人
  • 保護者として「正解がわからない」不安にいる人
  • スクールカウンセラー・養護教諭の座右に

“よかれと思って”が二次外傷になることがある――その怖さと、避ける方法をやさしく教えてくれる。

26. 子どものトラウマと攻撃性に向き合う ― ポリヴェーガル理論に基づくプレイセラピー

 

 

攻撃・破壊・挑発…行動の表面を責めるのではなく、神経系の“過覚醒/低覚醒”として理解する本。 遊びを媒介に安全・共調・自己調整を育てる具体的セッション構造を提示。 怒りや暴力の裏にある「守るための動員」を見抜く眼が養われる。

  • 「荒れる」子どもへの介入で消耗している現場
  • 保護者面接で“罰”以外の選択肢を示したい人
  • 神経生理×遊戯療法を学びたい臨床家

行動が落ち着くのは、叱られたからではなく、神経系が“安全”になったからだ――その実感が伴う。

27. 子どものポストトラウマティック・プレイ ― 虐待によるトラウマの心理療法

 

 

虐待後の“繰り返し遊び”=PTP(再演遊び)を、病理ではなく自己治癒の試みとして読む。 セラピストがすべきは止めることではなく、〈安全な枠組み+共調〉で遊びが治癒へと向かう条件を整えること。 具体的な遊戯のモチーフと臨床記録が豊富で、現場のリアルさに胸を打たれる。

  • 虐待・被虐待の臨床に携わる人
  • 保育・教育現場での“気になる遊び”の理解
  • 養育者支援・里親支援の実務者

子どもは遊びで“言語化”している。 そのメッセージを受け取る準備を、支援者側に求めてくる一冊だ。

28. トラウマの発見 (講談社選書メチエ)

 

 

トラウマ概念の系譜学。 戦争神経症からPTSDへ、心理療法・精神医学・社会運動・メディア言説が絡み合う中で、トラウマがどのように“発見”され、再定義されてきたのかを辿る。 臨床の前提を相対化し、概念の政治性と倫理を考える力がつく。

  • 歴史・思想としてトラウマを学びたい人
  • 概念に批判的リテラシーを持ちたい臨床家
  • 研究計画・倫理審査の背景文献に

「いま私たちが信じている“常識”は、どう作られたのか」。 一段深い地点から臨床を見る視座が手に入る。

29. トラウマ・リカバリー・グループ

 

 

個人療法だけでは届きにくい“孤立”を、同輩支援・グループで溶かしていく実践ガイド。 安全な場づくり、トピック設計、境界と守秘、トリガー対応、離脱・再参加の運営まで手順化。 地域・医療・教育・福祉どこでも応用できる。

  • 当事者会やピアグループを立ち上げたい人
  • 医療リソースが乏しい地域で支援の網を広げたい人
  • グループで二次外傷を起こさない運営設計を学びたい人

「わかる人が隣にいる」こと自体が介入になる――その事実を、方法論として教えてくれる。

30. トラウマの精神分析 ― 自伝的・哲学的省察

 

 

精神分析・現象学・文学を横断し、言葉にならない傷の周縁を丁寧になぞる思索の書。 迅速な症状軽減では触れられない“意味の縫合”に向けて、時間と関係の倫理を問う。 臨床の手触りを失わない繊細な文章に救われる読者は多い。

  • 長期・深層の臨床に携わる治療者
  • 「語れなさ」と向き合う当事者
  • 心理と人文のあいだで学び続けたい人

回復は“できた/できない”の二値ではなく、物語が生き直されるプロセスなのだと静かに教えてくれる。

関連グッズ・サービス

  • Kindle Unlimited ― トラウマやPTSDに関する心理書・実践書が多数読み放題。特に『愛着トラウマケアガイド』『マインドフルネスの教科書』なども対象。深夜の読書が“安全な時間”に変わる。
  • Audible ― 声で聴く読書は、トラウマを抱える人にとって理想的な方法。『夜と霧』『傷ついたあなたへ』などを“優しい音”で聴くことで、身体の緊張がゆるむ感覚が得られる。
  • Kindle Scribe Notebook

    ― メモ書きできる電子書籍端末。ワークブック系(PE、CPT、セルフケアノート)をそのまま書き込みながら実践できるのが強み。
  •  

     セラピーノート

    ― 感情・行動・思考を可視化するジャーナル。フラッシュバック後の記録、セルフモニタリングに最適。
  • BARTH 中性重炭酸 入浴剤

    ― 睡眠や身体リセットに。トラウマ反応で緊張しやすい自律神経をゆるめる“身体ケア”の補助としておすすめ。
  •  

     リードディフューザー

     ― 臨床心理学でも実証が進む「嗅覚による鎮静」効果を自宅でも。安全な空間づくりの一助に。

 

 

セラピーノート

セラピーノート

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書籍と同時に、こうした“感覚のリソース”を整えることが、回復の速度を穏やかに保つ。 トラウマケアは心だけでなく、身体と生活を巻き込む営みだ。

まとめ:傷を消すのではなく、“関係を取り戻す”という回復

トラウマとは、痛みを閉じ込める記憶ではなく、 「助けを求めたけれど届かなかった関係の断絶」そのものだ。 だからこそ、癒しは薬や技法ではなく、“つながりの再構築”として起こる。

今回紹介した30冊には、神経科学・心理療法・文化・社会など、 異なるレイヤーからトラウマを見つめる視点が詰まっている。 理論書もワークブックも、根底にあるのは「あなたが悪いわけではない」というメッセージだ。

読むだけで涙が出る瞬間があるだろう。 それは弱さではなく、“安全を取り戻しつつある証”。 どんな速度でも構わない。回復は、いつもあなたのペースで進んでいる。

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