ほんのむし

本と知をつなぐ、静かな読書メディア。

【人を見抜きたい人へ】読んでよかったジョー・ナヴァロ心理学おすすめ本15選【非言語コミュニケーションの科学】

言葉ではうまく隠せても、身体は先に反応している。ジョー・ナヴァロの本を読むと、表情だけを追っていた視線が、足の向き、肩のこわばり、手の置き方、声の間へと広がっていく。この記事では、FBIでの経験をもとに非言語コミュニケーションを体系化したナヴァロの本を、日常の人間関係、仕事、危険察知、原書読書までつながるように紹介する。

 

ジョー・ナヴァロとは?

ジョー・ナヴァロは、アメリカ連邦捜査局で長く活動した元特別捜査官であり、非言語コミュニケーションを一般読者にも届く形へ翻訳した書き手だ。FBI時代にはカウンターインテリジェンス、尋問、交渉、人物分析に関わり、相手の発言だけでなく、身体が発する小さな変化を観察する力を磨いてきた。

ナヴァロの本が面白いのは、「嘘を見抜く技術」に閉じていないところだ。彼が繰り返し語るのは、ひとつのしぐさを見て相手の心を断定する危うさである。腕を組んでいるから拒絶している、目をそらしたから嘘をついている、という読み方は粗い。重要なのは、その人の普段の状態を知り、複数のサインをまとまりとして見て、状況の中で意味を考えることだ。

つまりナヴァロの観察術は、人を疑うための道具ではない。むしろ、相手が安心しているのか、緊張しているのか、逃げたいのか、支配しようとしているのかを、言葉の前に感じ取るための作法に近い。駅のホームで距離を取る身体。会議室で椅子を半歩だけ引く動き。面談中に机の下で固まる足。そうした小さな変化に気づけるようになると、人間関係の景色は少し静かになる。

彼の本を読むと、観察力は攻撃のためではなく、誤解を減らすためにあるのだとわかる。相手を見張るのではなく、相手の負荷を少し早く察する。自分の身体がどんな印象を与えているかにも気づく。そこに、ナヴァロを読む一番の意味がある。

ジョー・ナヴァロのおすすめ本15選

1. FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学(河出文庫)

ナヴァロを初めて読むなら、まずこの本でいい。非言語コミュニケーションの基本を、顔の表情だけではなく、足、脚、胴体、腕、手、肩、視線、距離の取り方まで広げて教えてくれる。読んでいて最初に驚くのは、私たちがいかに「顔」だけを見て相手を理解した気になっていたか、ということだ。

顔は社会的な部位だ。笑顔を作れるし、うなずけるし、場に合わせた表情も出せる。けれど足先は、そこまで上手に演技できない。会話は続いていても、つま先が出口のほうを向いている。体は相手に向いているのに、脚だけが半歩引いている。ナヴァロはそうした身体の下のほうに、心理的な逃避、安心、関心の度合いがにじむと見る。

この本の良さは、読者をいきなり「人を見抜く側」に立たせないところにある。彼は、単一のしぐさを断定的に読むことを避ける。腕を組むことは拒絶かもしれないし、寒いだけかもしれない。首に触れるしぐさは不安の表れかもしれないが、癖かもしれない。だから、基準線を知り、変化を見て、複数の動きをまとまりとして読む。その慎重さが、この本をただの雑学本ではなく観察の教科書にしている。

読み終えると、会議室や電車の中の見え方が少し変わる。誰かの緊張を見つけて優越感を持つのではなく、「今この人は安心していないのかもしれない」と思えるようになる。自分自身の身体にも目が向く。商談の前に椅子に浅く腰かけすぎていないか。話を聞くとき、腕で胸を閉じていないか。相手を安心させる身体の置き方を考えるようになる。

非言語コミュニケーションを学びたい人、面談や接客の仕事をしている人、家族や同僚の小さな変化に気づきたい人に向く。読むタイミングとしては、人間関係で「言葉は合っているのに、なぜかうまくいかない」と感じているときがいい。言葉の下で、身体が別の会話をしていることに気づける。

2. FBIプロファイラーが教える「危ない人」の見分け方(河出書房新社)

この本は、しぐさの読み方を一歩進めて、人間関係の危険をどう察知するかに焦点を置く。タイトルだけ見ると少し強いが、本文は必要以上に恐怖を煽るものではない。むしろ、違和感を感じたときに「自分の気のせい」で片づけず、行動パターンとして観察するための本だ。

扱われるのは、共感性の乏しい人物、支配的な人物、感情の波で相手を巻き込む人物、強い猜疑心で周囲を疲弊させる人物などである。ナヴァロは、こうした人を単純な悪者として描くのではなく、どのような言動、距離の詰め方、反応の薄さ、境界の越え方に注意すべきかを具体的に示す。

読んでいると、優しさと支配の境目について考えさせられる。やたらと親切なのに、こちらの都合を聞かない人。こちらの小さな違和感を笑い飛ばす人。謝罪の言葉はあるのに、同じことを繰り返す人。そうした「言葉だけでは見えにくい危うさ」を、身体や行動の継続パターンから見る視点が身につく。

大事なのは、この本を読んだからといって周囲を疑い続ける必要はないということだ。むしろ、危険のサインを知ると、安心できる関係も見えやすくなる。相手が境界を尊重してくれる。断っても機嫌で支配してこない。緊張しているときに距離を取ってくれる。そういう関係のありがたさが、静かに見えてくる。

恋愛、職場、家族関係で「何かおかしい」と感じている人に向く。強い不快感を覚えながらも、自分の感覚を信じきれないときに読むと、距離を取ることは冷たさではなく、身を守る知性なのだとわかる。

3. FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学(河出書房新社)

第一印象というと、服装や髪型の話に寄りがちだ。しかしナヴァロが見るのは、もっと手前にある身体の空気である。部屋に入ったときの歩き方。椅子に座る角度。相手との距離。声を出す前の間。そこに、相手へ与える安心感や警戒感が宿る。

本書は、初対面で信頼を損なわないための非言語の整え方を教えてくれる。背筋を伸ばす、手のひらを隠しすぎない、視線を強く当てすぎない、相手の空間に急に踏み込まない。どれも小さなことだが、相手の脳はその小さな情報を見ている。人は相手の言葉を聞く前に、近づいてよい存在かどうかを身体で判断している。

この本が仕事に効くのは、印象を「演出」ではなく「安心の設計」として扱っているからだ。自分を大きく見せようとすると、動きは不自然になる。逆に、相手が警戒しなくてよい状態をつくろうとすると、身体は落ち着く。商談、面接、面談、授業、初回カウンセリングなど、初対面の空気がその後の関係を左右する場面で役に立つ。

読後に意識したいのは、第一印象とは一瞬の勝負ではなく、最初の数分で相手の身体が安心を取り戻す過程だということだ。無理に笑顔を作るより、動作を少しゆっくりにする。相手の話を遮らず、うなずきの速度を合わせる。身体を相手に少し開く。そうした微調整が、言葉の前に場の温度を変える。

人前で緊張しやすい人にも向いている。第一印象をよくする本でありながら、実は自分の身体を落ち着かせる本でもある。相手にどう見られるかだけでなく、自分の中に安定した姿勢をつくる一冊だ。

4. FBI捜査官が教える「しぐさ」の実践解読辞典407(河出書房新社)

ナヴァロの理論を一冊で引ける辞典型の本だ。通読してもいいが、むしろ手元に置いて、気になったしぐさをあとから調べる使い方が向いている。足首を組む。首に触れる。唇をすぼめる。肩をすくめる。手を隠す。そうした行動が、身体のどの部位から出て、どんな心理状態と関係しやすいのかを整理している。

辞典型の本で注意したいのは、「この動きはこの意味」と単純に暗記してしまうことだ。ナヴァロ自身は、その読み方を戒めている。ひとつの動作だけで相手の心を決めつけず、前後の流れ、普段との違い、複数のサインのまとまりを見る。そこまで含めて読むと、この辞典は便利なだけでなく、観察の慎重さを育ててくれる。

たとえば誰かが腕を組んでいるとしても、それは寒さかもしれないし、考え込んでいるだけかもしれない。しかし、腕を組み、足が出口を向き、上半身が引き、返事が短くなっているなら、心理的に距離を取りたい可能性が高まる。辞典を使う価値は、こうした「組み合わせ」に気づくための語彙を増やすことにある。

面談、商談、接客、教育、カウンセリング、採用面接など、相手の状態を読む必要がある仕事では実用性が高い。読み終えるというより、何度も戻る本だ。机の端に置いておくと、対人場面で見えた違和感を後から検証できる。

非言語の基本を1で学んだ後に読むと、理解がかなり深まる。知識を増やしたい人より、観察を習慣にしたい人に効く一冊だ。

5. 漫画 FBI式 しぐさの心理学(メディアファクトリー新書)

文字だけでしぐさを学ぶと、どうしても動きの角度や距離感が想像しづらい。この漫画版は、その弱点を補ってくれる。姿勢、手の位置、脚の開き方、視線の外し方などが絵で見えるので、非言語コミュニケーションの入口としてかなり扱いやすい。

ナヴァロの本を読むと、頭では理解していても、実際の人間の動きに置き換えるまでに少し時間がかかる。漫画版は、その変換を助けてくれる。緊張している人の肩の上がり方。安心している人の胴体の開き方。距離を取りたい人の足の逃げ方。そうした動きを、場面として記憶できるのが大きい。

もちろん、深さでは原典に及ばない。だが、最初の一冊としてはむしろ良い。いきなり専門的に読もうとして止まるより、絵で「なるほど、こう見えるのか」とつかんでから原典へ進むほうが、理解は速い。研修や授業で非言語コミュニケーションを紹介するときにも使いやすい。

自分のプレゼン動画やオンライン会議の録画を見返すときにも、この本の知識は役に立つ。緊張しているときに手がどこへ行くか。相手の話を聞いているつもりでも、身体が閉じていないか。漫画で見た動きが、自分の姿勢と重なった瞬間に、読むだけだった知識が生活へ戻ってくる。

活字が苦手な人、まず視覚で理解したい人、家族や学生と一緒に学びたい人に向いている。非言語の世界へ入るための、やわらかい入口だ。

6. What Every BODY Is Saying: An Ex-FBI Agent’s Guide to Speed-Reading People

日本語版のもとになった、ナヴァロの代表的な原書。英語で読むと、彼の語り口の軽さと慎重さがよく伝わる。捜査官としての経験談はあるが、派手な武勇伝に寄りすぎず、読者に「観察してから解釈する」という基本姿勢を繰り返し刻み込んでくる。

原書タイトルの「BODY」は、身体が語るという意味を強く含んでいる。言葉より先に身体が動く。安心すれば開き、不安なら守り、関心があれば近づき、離れたければ足が逃げる。その素朴な原理を、実例とともに何度も確認していく構成だ。

英語は比較的読みやすく、専門用語の圧も強くない。原書で読む利点は、ナヴァロが使う言葉のニュアンスに触れられることだ。comfort、discomfort、pacifying behavior、clustersといった言葉が、翻訳語よりも身体感覚に近く響く。英語学習を兼ねて読むにも向いている。

原書ならではのリズムで読むと、非言語コミュニケーションが「技術」だけでなく「態度」だとわかる。相手の身体を読む前に、まず自分の解釈を急がないこと。見たものをすぐに物語にしないこと。その落ち着きが、ナヴァロを読む最大の訓練になる。

日本語版を読んで面白かった人、仕事で英語の対人表現に触れる人、ナヴァロの一次の言葉に近づきたい人にすすめたい。少しずつ読んでも、観察の筋肉は十分に育つ。

7. The Dictionary of Body Language: A Field Guide to Human Behavior

こちらは英語版の行動辞典。日本語の辞典版と近い役割を持つが、原語で読むと項目ごとの意味の幅がわかりやすい。短い説明が多く、長文を読む体力がない日でも、数項目ずつ進められる。

この本の面白さは、身体の部位ごとに人間を見直せるところにある。足は逃げたい方向を示しやすい。胴体は安心と不安を表す。手は隠す、触る、広げる、示すことで関係性をつくる。顔は華やかだが、しばしば演技も混じる。そうした見取り図が、辞典として整っている。

映像を見るときにも使える。インタビュー、会見、スポーツ中継、映画のワンシーン。人がどんなときに固まり、どんなときに動き、どんなときに手元へ逃げるのか。言葉が聞き取れなくても、身体の流れで場の緊張が見えることがある。

ただし、ここでも断定は禁物だ。辞典は答えを出すためではなく、観察語彙を増やすために使うのがいい。英語で「これは何を意味するか」と考える時間は、相手だけでなく自分の身体にも目を向ける訓練になる。

原書の入門としても扱いやすい。細切れで読めるので、通勤中や寝る前に少しずつ読むのにも向いている。

8. Louder Than Words: Take Your Career from Average to Exceptional with the Hidden Power of Nonverbal Intelligence

ナヴァロの観察術を、ビジネスやキャリアの場面へ寄せた一冊。ここで中心になるのは、非言語知性という考え方だ。知識や話術だけでなく、身体の使い方、空間の取り方、相手に安心を渡す態度が、職場での信頼や影響力を左右する。

会議で発言するとき、どのように座るか。部下の話を聞くとき、机越しにどう身体を向けるか。プレゼンで手をどう使うか。相手の不安を感じたとき、どのくらい沈黙を置くか。本書は、こうした細部を「感じのよさ」ではなく、仕事上の非言語スキルとして扱う。

特に印象に残るのは、信頼は言葉だけでは作れないという点だ。どれほど立派なことを言っても、身体が相手を急かし、遮り、見下ろし、閉じていれば、相手は安心しない。逆に、話す内容が完璧でなくても、相手を尊重する身体の向きや間があれば、関係は崩れにくい。

仕事で人と関わる人には実用性が高い。営業、マネジメント、採用、教育、医療、相談業務。どの場面でも、相手はあなたの言葉だけではなく、姿勢を見ている。ここを意識するだけで、会話の摩擦はかなり減る。

キャリア本として読むより、「信頼を身体でどう示すか」を学ぶ本として読むとよい。自分を大きく見せる本ではなく、相手が話しやすくなる空気をつくる本だ。

9. Be Exceptional: Master the Five Traits That Set Extraordinary People Apart

ナヴァロが非言語の観察から、もう少し大きな人間的成熟へ進んだ本である。中心になるのは、自己制御、観察力、共感、誠実さ、影響力といった特性だ。身体の読み方を超えて、「信頼される人は何をしているのか」「危機の中で落ち着いた人はどうふるまうのか」を考える内容になっている。

本書を読むと、観察力は相手の弱点を拾うための能力ではないとわかる。むしろ、場の温度を見て、自分の反応を整え、相手にとって安全な存在でいるための力だ。相手の緊張に気づいても、それを攻める材料にしない。相手の不安を感じたら、言葉や態度で少し空間を広げる。そこに、ナヴァロの後期の柔らかさがある。

リーダーシップ本としても読めるが、いわゆる強いリーダー像とは違う。大きな声で場を支配するのではなく、よく見て、よく待ち、必要なときにだけ明確に動く。身体の安定、言葉の選び方、約束を守ること。そうした地味な要素が、人の信頼をつくっていく。

管理職、教育者、支援職、親、チームを持つ人に向いている。相手を動かすことより、自分の影響の出方を見直したいときに読むと刺さる。読後には、観察とは静かな責任なのだと思えるようになる。

10. Dangerous Personalities: An FBI Profiler Shows You How to Identify and Protect Yourself from Harmful People

2の原書にあたる位置づけで、危険な人物の行動パターンをより直接的に学べる一冊だ。サイコパス、ナルシスト、感情的に不安定な人物、偏執的な人物など、関わる側の消耗が大きい相手をどう見分けるかを扱う。

この本で重要なのは、診断名を覚えることではない。一般読者が誰かにラベルを貼るための本ではなく、境界線を守るための観察の本だ。言葉ではなく行動の継続を見る。謝罪ではなく変化を見る。魅力ではなく、こちらの自由が残っているかを見る。その視点が身につく。

ナヴァロの文章には、危険を避けるための現実感がある。人を信じることは大切だが、信じることと、サインを無視することは違う。違和感が積み重なっているなら、近づきすぎない。相談する。距離を置く。記録する。そうした地味な防衛策が、自分の心身を守る。

人間関係で過去に傷ついた人、職場や私生活で境界を侵されやすい人、相手の強い言葉に飲み込まれやすい人に向いている。読むと少し警戒心は高まるが、それは世界を怖がるためではない。安心できる関係を選び直すための警戒心だ。

11. Three Minutes to Doomsday: An Agent, a Traitor, and the Worst Espionage Breach in U.S. History

ナヴァロの観察術が、実際の捜査の中でどう使われるのかを知るなら、このノンフィクションが面白い。理論書ではなく、スパイ事件を追う実話として読める。尋問、沈黙、表情、呼吸、ためらい、相手の反応を少しずつ読む緊張感がある。

しぐさの本だけを読むと、観察術が少しきれいに整理されすぎて見えることがある。しかし現場はもっと曖昧で、時間も限られ、情報も不完全だ。この本では、その曖昧さの中でナヴァロが何を見て、どう仮説を立て、どこで待ち、どこで踏み込むのかが見える。

人間の身体は嘘をつくというより、負荷をこぼす。尋問の場面では、言葉より前に身体がわずかに乱れる。その一瞬を、すぐ断定せず、他の情報と合わせて見ていく。ナヴァロの慎重さが、物語の緊張を支えている。

ミステリーや諜報ノンフィクションが好きな人にも向く。理論書に疲れたとき、物語として読むと、非言語コミュニケーションが実際の現場でどんな重みを持つのかがわかる。読後には、観察とは単なる目のよさではなく、仮説を更新し続ける粘り強さなのだと感じる。

12. The Power of Body Language: An Ex-FBI Agent’s System for Speed-Reading People

The Power of Body Language

The Power of Body Language

  • 作者:Navarro, Joe
  • Simon & Schuster Audio/Nightingale-Conant
Amazon

音声でナヴァロの観察術を学びたい人に向く一冊だ。身体の読み方は視覚の学びに見えるが、音で聴くと、言葉の間、強調、声の落ち着きから、ナヴァロの考え方が別の形で入ってくる。繰り返し聴くことで、観察の原則が自然に残る。

内容としては、身体の各部位が発するサインを体系的に見ていくもので、原典で学んだことの復習にも使える。特に忙しい人には、移動中に聴けるのが大きい。目で読む時間が取れなくても、会話や面談の前に耳で観察の基本へ戻れる。

音声教材としての良さは、知識が少し身体化されるところにある。読むだけだと「知っている」で止まりやすいが、耳で何度も聴くと、実際の対人場面でふっと思い出す。相手の足を見る。腕だけで判断しない。まず安心・不安の変化を見る。そうした基本が反射的に出やすくなる。

原書を読むのが重い人、通勤中に学びたい人、英語のリスニングを兼ねたい人に向いている。非言語を学ぶのに音声を使うという少し不思議な体験が、かえって記憶に残る。

13. Mastering Connections: An FBI Expert’s Guide to Building Stronger Relationships with the Science of Body Language

ナヴァロの関心が、見抜くことから「つながりをつくること」へ移っているのがわかる本だ。非言語コミュニケーションを、相手の秘密を読むためではなく、関係をより安全で強いものにするために使う。これまでのナヴァロを読んできた人ほど、その変化がよく見える。

相手の緊張を見抜くことより、相手が緊張しなくてよい場を作ること。相手の嘘を探すことより、相手が正直でいられる空気を作ること。そうした方向へ、観察術がひとつ成熟している。読むと、非言語の知識は最終的に共感へ向かうのだと感じる。

マネジメントや教育、カウンセリング、親子関係にも応用しやすい。相手を変える前に、まず自分の身体がどんな信号を出しているかを見る。急かしていないか。評価する目になっていないか。逃げ道のない質問をしていないか。そうした点検が、関係の質を変える。

ナヴァロの本を何冊か読んだ後に手に取るとよい。基本の観察から、安心の設計へ進みたい人に合う。読後に残るのは、「よく見る」とは、相手を尊重することなのだという感覚だ。

14. Clues to Deceit: A Practical List for Reading People

嘘や不誠実のサインを、短い項目で確認できる実践的な本だ。長い理論を読むというより、チェックリストに近い感覚で使う。緊張、逃避、過剰な防御、説明のずれ、身体の固まり方など、行動の手がかりをコンパクトに拾える。

ただし、この本も「嘘発見器」ではない。人は緊張していても嘘をついているとは限らないし、落ち着いて見えても真実とは限らない。ナヴァロの知識を使うときに大切なのは、相手を裁くためではなく、確認すべきポイントを増やすために読むことだ。

短い項目は、実務で使いやすい。面接、交渉、相談、トラブル対応など、相手の発言と行動がずれて見える場面で、何を観察すればよいかを整理してくれる。とくに、自分の直感を言語化したいときに役に立つ。

読みながら、自分自身の防御反応にも気づく。説明が長くなるとき、視線が逃げるとき、手元を触り続けるとき。嘘を見抜く本でありながら、誠実でいるための鏡にもなる。

15. Phil Hellmuth Presents Read ’Em and Reap: A Career FBI Agent’s Guide to Decoding Poker Tells(Joe Navarro/Marvin Karlins)

ポーカーの「テル」を読む本だが、単なるゲーム攻略本として片づけるには惜しい。ポーカーテーブルは、情報が限られ、感情を隠し、相手を読み、同時に自分も読まれる場である。ナヴァロの観察術が、極端に濃縮された対人場面へ持ち込まれている。

プレイヤーの指の動き、呼吸、チップの扱い方、カードを見るタイミング、目線の揺れ。そうした小さな動きから、相手の緊張や自信の変化を読む。もちろん、日常生活をポーカーのように見る必要はない。だが、限られた情報の中で「相手の状態を推測しすぎず、観察を積み重ねる」練習としては面白い。

交渉、商談、プレゼン、採用面接など、相手の反応を読みながら判断する仕事にもつながる。強く出るべきか、待つべきか、話題を変えるべきか。相手の身体が発する小さな変化を読む力は、駆け引きの場でかなり効く。

ただし、この本の本質は相手を出し抜くことではない。むしろ、自分の身体がどれほど情報を漏らしているかに気づくことにある。冷静なふりをしていても、手元は焦りを語る。強気の言葉を選んでも、呼吸は浅くなる。身体の正直さを知ると、自分の整え方にも関心が向く。

関連グッズ・サービス

本を読んだ後の学びを生活に根づかせるには、生活に取り入れやすいツールやサービスを組み合わせると効果が高まる。

Kindle Unlimited

ナヴァロの原書や関連する心理学書は、電子書籍で少しずつ読むのに向いている。しぐさの本は一気読みよりも、気になった項目を何度も戻るほうが身につきやすい。

Audible

原書のリスニングは、ナヴァロの語りのリズムをつかむのに合う。移動中に聴いておくと、対人場面の前に「観察が先、解釈は後」という姿勢へ戻りやすい。

Kindle Paperwhite

英語原書を読むなら、軽い電子書籍リーダーがあると続けやすい。寝る前に一項目だけ辞典を読む、朝に数ページだけ原書を読む、という小さな積み重ねが観察力を育ててくれる。

まとめ:ナヴァロを読むと、身体の声が聞こえはじめる

ジョー・ナヴァロの本は、相手の心を一瞬で見抜くための魔法ではない。むしろ、断定を急がないための本だ。足の向き、手の動き、距離の取り方、沈黙の長さ。そうした細部を見ながら、相手の状態をゆっくり確かめる。

まず読むなら、1の『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』がいい。全体像をつかみ、非言語を読むときの注意点まで自然に入ってくる。人間関係の危険を見極めたいなら、2と10を重ねると、境界線の引き方が見えてくる。仕事で使うなら、3、8、9、13が強い。原書で深めたいなら、6と7から始めると読みやすい。

最後に残るのは、「観察力は優しさにもなる」という感覚だ。相手の緊張に気づけば、話し方を変えられる。自分の身体が閉じていると気づけば、場を少し開ける。言葉だけでは届かなかったところへ、身体の声が先に触れる。

人を見抜くためではなく、人と少しうまく並んで立つために読む。ナヴァロの本は、そのための静かな訓練になる。

よくある質問(FAQ)

Q. ジョー・ナヴァロの本は初心者でも読める?

読める。最初は『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』が一番入りやすい。専門用語よりも実例が多く、足の向きや手の動きなど、日常で見えるサインから学べる。いきなり人を分析しようとせず、自分や相手の緊張に気づく練習として読むと自然に入ってくる。

Q. しぐさだけで嘘は見抜ける?

しぐさだけで嘘を断定するのは危険だ。ナヴァロの本でも、ひとつの動作だけで決めつけないことが重視されている。大切なのは、普段との違い、複数のサインのまとまり、状況とのずれを見ることだ。嘘を見抜くというより、確認すべき違和感を見つける技術として使うほうがよい。

Q. ビジネスで役立つのはどれ?

商談や面接、会議で使うなら『FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学』と『Louder Than Words』が役立つ。第一印象、座り方、距離の取り方、聞く姿勢など、相手に安心感を与える非言語の作り方が学べる。管理職や教育者なら『Be Exceptional』や『Mastering Connections』も相性がいい。

Q. 原書を読むならどれからがよい?

最初は『What Every BODY Is Saying』が読みやすい。文章が比較的平易で、非言語コミュニケーションの基本がまとまっている。辞典的に少しずつ読みたいなら『The Dictionary of Body Language』が合う。英語学習を兼ねるなら、短い項目を毎日読む形が続けやすい。

関連リンク記事

Copyright © ほんのむし All Rights Reserved.

Privacy Policy