努力か才能か――人はなぜ結果に違いが生まれるのか。心理学者キャロル・ドゥエックは、この問いに「マインドセット」という概念で答えた。筆者自身も「できない」と思い込んでいた時期にこの理論に出会い、考え方ひとつで行動が変わることを実感した。この記事では、Amazonで購入できるドゥエックの理論に関する本を14冊(日本語9冊+原書5冊)厳選し、実際に読んで心に残った順に紹介する。
- キャロル・ドゥエックとは?
- おすすめ本14選(日本語編)
- 1. マインドセット:「やればできる!」の研究(草思社/単行本)
- 2. 「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力(草思社/旧版)
- 3. 成長マインドセットー心のブレーキの外し方(KADOKAWA/単行本)
- 4. 独学の学びを最大限に高める 成長マインドセット術(単行本)
- 5. オープニングマインド: 子どもの心をひらく授業(新評論/単行本)
- 6. 言葉を選ぶ、授業が変わる!(ミネルヴァ書房/単行本)
- 7. 小学6年担任のマインドセット(明治図書出版/単行本)
- 8. 子育てが驚くほどうまくいく! ポジティブマインドセット(幻冬舎/単行本)
- 9. 子どもがつまずかない教師の教え方10の「原理・原則」(東洋館出版社/単行本)
- 原書おすすめ5選(原典・応用編)
- 10. Mindset: The New Psychology of Success(Ballantine/Paperback)
- 11. Mindset – Updated Edition: Changing the Way You Think to Fulfil Your Potential(Robinson/新版)
- 12. Self-Theories: Their Role in Motivation, Personality, and Development(Psychology Press/Paperback)
- 13. Mathematical Mindsets(Jo Boaler/Jossey-Bass)
- 14. The Growth Mindset Coach: A Teacher’s Month-by-Month Handbook(Brock & Hundley/Ulysses Press)
- 関連グッズ・サービス
- まとめ:今のあなたに合う一冊
- よくある質問(FAQ)
- 関連リンク記事
キャロル・ドゥエックとは?
キャロル・S・ドゥエック(Carol S. Dweck, 1946–)は、スタンフォード大学の心理学教授であり、世界的に知られる「マインドセット理論(Mindset Theory)」の提唱者だ。彼女の研究は、「人の能力は固定的ではなく、努力と戦略によって伸ばすことができる」という信念(成長マインドセット)と、「能力は生まれつき決まっている」という固定観(固定マインドセット)の違いに焦点を当てている。
彼女はハーバード大学で博士号を取得後、イェール大学やコロンビア大学を経てスタンフォード大学に着任。長年にわたり「動機づけ」「自己信念」「学習過程」の研究を続けてきた。教育心理学・発達心理学・社会心理学の領域を横断しながら、自己効力感・挑戦志向・失敗に対する態度の形成メカニズムを明らかにした功績は大きい。
ドゥエックの理論は教育現場だけでなく、ビジネス・スポーツ・育児・自己啓発など多様な分野で応用されている。特に『マインドセット:「やればできる!」の研究』は、世界40か国以上で翻訳され、心理学的自己成長の名著として読み継がれている。 ここでは、その理論を深く理解し、日常に活かせる書籍を厳選して紹介していく。
おすすめ本14選(日本語編)
1. マインドセット:「やればできる!」の研究(草思社/単行本)
ドゥエック理論の原点であり決定版。成功者とそうでない人の違いを、能力ではなく「信念のあり方」で説明する。失敗を「成長の材料」ととらえる「成長マインドセット」を提唱し、固定的思考を解きほぐす。教育・ビジネス・恋愛・スポーツなど、あらゆる領域で再現性の高い心理的変化をもたらす構造を明らかにする。
刺さる読者像:努力が報われないと感じている人、部下や子どもを「伸ばす言葉」が知りたい教育者や管理職。
筆者の実感としても、「できる自分」ではなく「成長する自分」を信じることで挑戦への恐れが消えた。心理学書でありながら人生の指南書でもある一冊。
2. 「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力(草思社/旧版)
ドゥエック理論の初期邦訳版。翻訳文の硬さがあるが、原著の学術的ニュアンスを重視しており、心理学的根拠をじっくり追いたい読者に向く。新版との比較で「理論の変遷」をたどる教材的価値も高い。
刺さる読者像:学部生・大学院生など、心理学理論の原典を日本語で押さえたい人。
新版よりも論理的な構成で、動機づけ研究の系譜を確認できた。特に「自己理論(Self-theories)」との連続性を理解するのに最適。
3. 成長マインドセットー心のブレーキの外し方(KADOKAWA/単行本)
ドゥエック理論をビジネスやキャリア開発に応用した実践書。「自分には無理」という無意識の制限を外すためのトレーニング法を、心理実験とコーチング理論を交えて紹介する。
刺さる読者像:昇進・転職・独立など、変化の局面で「一歩が踏み出せない」社会人。
筆者の体験でも、本書の「失敗は能力の証ではなく、挑戦の証」というメッセージが印象的だった。マインドセット理論を現実の行動に落とし込む実践書として優れている。
4. 独学の学びを最大限に高める 成長マインドセット術(単行本)
学び直しやリスキリング時代にぴったりの応用編。自分の「苦手科目」や「三日坊主癖」を克服するための心理的ツールを、ドゥエック理論に基づき体系化している。
刺さる読者像:社会人の学び直し層、資格学習・副業スキルアップを目指す人。
実際に活用してみると、「うまくいかない時ほど脳は学んでいる」という視点が支えになる。自律的学習のモチベーション維持に最適の一冊。
5. オープニングマインド: 子どもの心をひらく授業(新評論/単行本)
教育現場で「成長マインドセット」をどう実践するかを描いた実践書。著者はドゥエック理論を授業デザインに応用し、子どもが「できない」を「できるかも」に変えるプロセスを丁寧に紹介する。心理学と教育実践をつなぐ架け橋のような一冊だ。
刺さる読者像:教育現場の先生、保護者、子どもの自己肯定感を育てたい人。
実際に読んで感じたのは、教師自身が「成長マインドセット」を持つことの重要性。授業中の言葉がけ一つで、子どもの挑戦意欲が見違えるように変わることを教えてくれた。
6. 言葉を選ぶ、授業が変わる!(ミネルヴァ書房/単行本)
「教師の言葉が子どものマインドセットを作る」という視点から書かれた教育心理書。ドゥエック理論に基づき、評価・叱責・励ましの場面で使う言葉の違いが子どもの自己概念にどう影響するかを分析している。
刺さる読者像:教育者、保護者、コーチングや指導職の人。
筆者の経験では、「努力を褒める」より「工夫を褒める」ことで子どもが継続的に学ぶ姿勢を保てた。本書はその実践的ヒントに満ちている。
7. 小学6年担任のマインドセット(明治図書出版/単行本)
小学校現場の具体的事例をもとに、学級運営における「マインドセット教育」をまとめた現場記録。失敗を肯定する文化づくり、挑戦を促す声かけ、教師の自己省察など、ドゥエック理論が日本の教育文化に根づく様子がわかる。
刺さる読者像:小中学校教師、教育実習生、教育心理学専攻の学生。
現場での実践例が豊富で、「理論を教室に持ち込む」ときのリアルが伝わる。教育改革に関心のある読者にもおすすめ。
8. 子育てが驚くほどうまくいく! ポジティブマインドセット(幻冬舎/単行本)
ドゥエック理論をベースに、家庭教育にフォーカスした実用書。「叱るより伝える」「失敗を一緒に笑う」など、親子コミュニケーションの中で「しなやかな心」を育てるコツを具体的に紹介する。
刺さる読者像:子育てに悩む保護者、保育・教育関係者。
筆者自身も、子どもが失敗したとき「まだできない」という言葉を使うようにしてから、挑戦への抵抗が減った。本書は家庭でもマインドセットを活かす道しるべだ。
9. 子どもがつまずかない教師の教え方10の「原理・原則」(東洋館出版社/単行本)
教育心理学の理論を「教え方の原理」として整理した実践的指南書。ドゥエックの成長マインドセットに加え、自己効力感やメタ認知、動機づけ理論も扱い、学びの現場を支える心理的基盤を提示している。
刺さる読者像:授業づくりを改善したい教員、教育心理学を実践的に学びたい人。
筆者にとっても、“教える側のマインドセット”を見直すきっかけになった。理論だけでなく現場の感覚をもつ貴重なテキスト。
原書おすすめ5選(原典・応用編)
10. Mindset: The New Psychology of Success(Ballantine/Paperback)
世界的ベストセラーの原著。翻訳では伝わりにくい「語感」や研究者としての慎重なトーンを味わえる。特に「固定マインドセット」と「成長マインドセット」の語源的背景を理解するには原文が最適だ。
刺さる読者像:英語で心理学を読みたい学習者、教育・ビジネス双方に興味を持つ実践家。
筆者の感想としても、英語版の方が科学的精度とストーリーテリングの調和が感じられる。引用元の研究や事例も直接確認できるのが魅力。
11. Mindset – Updated Edition: Changing the Way You Think to Fulfil Your Potential(Robinson/新版)
改訂版では教育からビジネス、親子関係まで応用範囲を拡大。新しい章では「デジタル時代のマインドセット」も扱われており、SNSや情報過多の中で自信を保つ方法を提案している。
刺さる読者像:グローバルな文脈で心理学を学びたい読者、研究者志向の人。
新版ならではの洗練された構成で、時代とともに理論がどう発展したかがよくわかる。
12. Self-Theories: Their Role in Motivation, Personality, and Development(Psychology Press/Paperback)
ドゥエックが学術的に展開した原典的著作。「自己理論(Self-Theories)」という概念からマインドセット理論への橋渡しをしている。学生や研究者には欠かせない一冊。
刺さる読者像:心理学専攻の大学生・院生、動機づけ理論を専門的に学びたい人。
研究者としてのドゥエック像を理解でき、理論の裏づけを深めるには最適の文献。
13. Mathematical Mindsets(Jo Boaler/Jossey-Bass)
スタンフォード大学のジョー・ボアラー教授による教育応用書。ドゥエック理論を数学教育に応用し、「ミスは学びの源泉」という考えを具体的に授業設計に組み込む。
刺さる読者像:教育改革、STEM教育に関心のある教師・研究者。
ボアラーとドゥエックの連携を理解することで、マインドセット理論の応用可能性がさらに広がる。
14. The Growth Mindset Coach: A Teacher’s Month-by-Month Handbook(Brock & Hundley/Ulysses Press)
アメリカの教育現場で広く使われる「成長マインドセット月間プログラム」実践書。教師が一年を通して成長マインドセットを授業に組み込む具体策を提供する。
刺さる読者像:教育コーチ、教師、研修担当者。
筆者も授業設計のヒントとして活用。生徒の自己効力感を高めるための具体的アクティビティが充実している。
関連グッズ・サービス
学びを習慣にするには、ツールやサービスを組み合わせるのが効果的だ。以下は本と相性の良いおすすめグッズだ。
- Kindle Unlimited 読み放題サービスで、マインドセット関連の実践書や教育心理書を一気に読める。筆者も通勤中に思考を整理する習慣がついた。
- Audible 通勤・家事中にも耳で学べる。ドゥエックの著書『Mindset』英語朗読版も配信されており、リスニング教材としても秀逸だ。
- 書き込み機能付き電子書籍端末。読書中に「気づきメモ」を直接残せるため、自己成長を振り返るのに最適。
まとめ:今のあなたに合う一冊
マインドセット心理学の本は、自己啓発だけでなく教育・ビジネス・子育てにまで広がる。
- 気分で選ぶなら:『マインドセット:「やればできる!」の研究』
- じっくり理論を学びたいなら:『Self-Theories』
- 実践で使いたいなら:『The Growth Mindset Coach』
成長とは結果ではなく、学び続ける姿勢そのもの。今日から自分の「まだできない」を信じて動き出そう。
よくある質問(FAQ)
Q: マインドセットの本は初心者でも読める?
A: ドゥエックの邦訳版は平易な事例中心で、心理学初心者にも理解しやすい構成になっている。
Q: ビジネスや子育てにも応用できる?
A: 可能だ。「努力を評価する」「失敗を恐れない」姿勢はチーム育成や家庭教育にも直結する。
Q: 英語が苦手でも原書を読む価値はある?
A: はい。原書はドゥエック自身の語り口や研究背景をより深く理解できるため、翻訳との比較で学びが広がる。














