クライエントの物語に寄り添いながら変化を支援するには、理論だけでも、スキルだけでも足りない。この記事では、実際に読んで現場で役だったと感じたカウンセリング心理学の本を、Amazonで買えるタイトルから18冊に厳選して紹介する。基礎理論・評価・面接技法・倫理・学会カリキュラム準拠・ロジャーズ/河合の原点までを有機的につなげる。
- おすすめ本18選
- 1. カウンセリング心理学ーカウンセラーの専門性と責任性
- 2. 新版 カウンセリング心理学ハンドブック
- 3. 総説カウンセリング心理学
- 4. カウンセリング心理学入門(PHP新書)
- 5. 講座 カウンセリング心理学
- 6. カウンセリング心理学(キーワードコレクション)
- 7. カウンセリング心理学: 生き生きとした心を取り戻す(心理学の世界 専門編 3)
- 8. カウンセリングとは何か 変化するということ
- 9. カウンセリング心理学ハンドブック[実践編](日本カウンセリング学会企画)
- 10. カウンセリング心理学事典
- 11. カウンセリング心理学ハンドブック(上巻)(日本カウンセリング学会企画)
- 12. カウンセリング心理学ハンドブック(下巻):日本カウンセリング学会「認定カウンセラー養成カリキュラム」
- 13. 傾聴の心理学:PCAをまなぶ ― カウンセリング/フォーカシング/エンカウンター・グループ
- 14. 心理カウンセリング 投影物語り法入門
- 15. カール・ロジャーズ カウンセリングの原点(角川選書 649)
- 16. 心理学的支援法:カウンセリングと心理療法の基礎
- 17. 心理カウンセリング序説:心理学的支援法(放送大学教材)
- 18. 河合隼雄のカウンセリング入門 実技指導をとおして
- 関連グッズ・サービス
- まとめ:今のあなたに合う一冊
- よくある質問(FAQ)
おすすめ本18選
1. カウンセリング心理学ーカウンセラーの専門性と責任性
「専門職としてのカウンセラー」を中核テーマに、倫理・責任・力量・スーパービジョンの枠組みを実務レベルで提示する。支援同盟、守秘義務、記録、インフォームド・コンセント、危機対応など、現場で迷いやすい論点を丁寧に解きほぐす構成だ。技法の“やり方”だけではなく、支援者の在り方・限界・多職種連携を重ねて示すため、判断力が磨かれる。読後には、面接室の外にまで広がる「責任の地図」が手に入る感覚があった。初学者から中堅の軸足固めに最適だ。
- 実務での倫理判断に自信をつけたい人
- スーパービジョンの受け方・活かし方を学びたい人
- 多職種連携での役割境界を明確にしたい人
おすすめポイント:事故対応プロトコルを写経して自機関用に落とし込んだら、チームの安心感が明確に上がった。
2. 新版 カウンセリング心理学ハンドブック
国内外の主要理論と実証研究を俯瞰できる総合ハンドブック。来談者中心療法、認知行動療法、家族療法、トラウマケア、キャリア、医療連携、アセスメント、文化的配慮まで幅広い。新版ならではの更新点(多様性・オンライン面接・評価研究)も押さえられる。章末の参考文献が実務と研究双方への導線として秀逸で、学びを拡張しやすい。手元にあるだけで安心する“土台の一冊”だ。
- 理論と実践を横断的に整理したい人
- 配属・異動前に射程を広げたい人
- 研究や研修設計の出発点が欲しい人
おすすめポイント:評価の章に沿ってロジックモデルを作成したら、事業報告の説得力が段違いになった。
3. 総説カウンセリング心理学
学派史・主要概念・方法論・実践領域を串刺しにする“俯瞰地図”。似て非なる概念(共感・受容・同情/支持など)の峻別や、実証研究の読み方が丁寧だ。流派横断の視点を学ぶことで“技法の道具箱”が立体化する。大学院受験・研究計画の骨格づくりにも役立った。
- 全体像を一冊で押さえたい人
- 概念の混同を正したい人
- 研究法の基本を押さえたい人
おすすめポイント:概念の定義を統一しただけで、ケース検討会の議論が噛み合うようになった。
4. カウンセリング心理学入門(PHP新書)
一般読者にも開かれた“平易な入口”。理論紹介は最小限に、面接の進め方、場の作り方、質問・沈黙・要約などの基本動作を丁寧に描く。事例が多く、初回面接から終結までの流れが具体的にイメージできる。初学者の不安を解く一冊だ。
- これから学び始める人
- 短時間で基本をつかみたい人
- 面接の“型”を持ちたい人
おすすめポイント:オープンクエスチョン→要約→確認の三点セットだけで面接が格段に安定した。
5. 講座 カウンセリング心理学
講座形式で基礎から応用までを段階的に積み上げるシリーズ。個人・家族・集団・学校・医療・産業など領域別の章立てで、支援者の役割・倫理・評価に重心が置かれる。章間の整合がよく、授業用テキストとしても優秀だ。
- 大学・大学院の体系学習に
- 領域横断の骨格を作りたい人
- 教育・研修の共通リファレンスが欲しい人
おすすめポイント:評価章の指標例を拝借し、学校支援プログラムのKPI設計がスムーズに進んだ。
6. カウンセリング心理学(キーワードコレクション)
頻出キーワードを見開きで手早く引ける“用語×実践”の索引。定義・背景・実践上の留意点が簡潔で、面接前のウォームアップに最適だ。新人教育・自主ゼミの課題づくりにも重宝する。
- 用語の正確な使い分けをしたい人
- 面接前に頭を整えたい人
- 配布資料の要点を素早く作りたい人
おすすめポイント:“共感”の項を読み返してから入室すると、傾聴の質が目に見えて安定した。
7. カウンセリング心理学: 生き生きとした心を取り戻す(心理学の世界 専門編 3)
臨床の息づかいが伝わる専門編。変化のプロセス、関係性の微差、抵抗・転移・逆転移の扱い、終結の設計などを丁寧に描く。理論を“生きた具体”へと翻訳する記述が秀逸で、読後に面接室の光景が思い浮かぶ。実践への橋渡しに最適だ。
- 理論を臨床に落とす感覚を掴みたい人
- 関係性のミクロスキルを磨きたい人
- 終結・再来の設計に悩む人
おすすめポイント:マイクロスキルの微調整で、停滞ケースの動きが戻った経験がある。
8. カウンセリングとは何か 変化するということ
「変化とは何か」を真っ向から問う思想的エッセイ。カウンセリングをコミュニケーション技術ではなく、人が“意味”を再構成する営みとして捉え直す。焦り・万能感・無力感と向き合う支援者の心理も率直に語られ、臨床家の心を整える一冊だ。
- スキル偏重から一歩抜け出したい人
- 停滞・燃え尽きに悩む実務家
- 臨床の意味論を深めたい人
おすすめポイント:面接の「沈黙」を“芽吹きの前”と再定義でき、不要な介入が減った。
9. カウンセリング心理学ハンドブック[実践編](日本カウンセリング学会企画)
学会カリキュラム準拠で、面接運営・評価・連携・記録・事例検討の“実務の型”を凝縮。導入・契約・目標設定・フォローアップまでのプロトコルが使いやすく、研修現場での標準化にも寄与する。中堅の実務力底上げに効く。
- 認定カウンセラー養成の標準に沿いたい人
- 実践運用の手順を整えたい人
- ケース記録の質を上げたい人
おすすめポイント:合意形成のチェックリストをそのまま面接票に導入し、トラブルが激減した。
10. カウンセリング心理学事典
理論・技法・主要人物・制度・倫理を俯瞰する決定版辞典。索引性が高く、レポート・論文・研修資料の“根拠の出典”を即座に引ける。複数の立場からの記述が並ぶため、思考の偏りを矯正してくれる。
- 一次情報の参照を素早く行いたい人
- 広報・教育・研究の裏取りが必要な人
- 制度・資格の歴史も押さえたい人
おすすめポイント:定義の一文が明確になるだけで、書類作成の精度が上がった。
11. カウンセリング心理学ハンドブック(上巻)(日本カウンセリング学会企画)
上巻は基礎理論と評価・研究法の柱を固める構成。学習段階ごとに“どこまでできればよいか”の到達目標が明確で自己評価に使いやすい。制度・資格・倫理の章も充実し、実務導入時の羅針盤になる。
- 基礎理論の土台を固めたい人
- 評価・研究のリテラシーを上げたい人
- 学内・機関内研修の共通テキストを探す人
おすすめポイント:尺度の信頼性・妥当性の見方が身につき、論文の取捨選択が速くなった。
12. カウンセリング心理学ハンドブック(下巻):日本カウンセリング学会「認定カウンセラー養成カリキュラム」
下巻は実践領域(学校・医療・司法・産業・福祉)を縦断。各領域での役割・連携・リスク管理が具体的に示され、現場導入の見取り図として機能する。職務記述や同意文例の参考にもなる。
- 配属領域が決まっている人
- 現場導入の“型”を掴みたい人
- 連携・記録・同意文書の雛形が欲しい人
おすすめポイント:産業領域章の復職支援フローをなぞり、面接と職場調整の連携が滑らかになった。
13. 傾聴の心理学:PCAをまなぶ ― カウンセリング/フォーカシング/エンカウンター・グループ
来談者中心アプローチ(PCA)の基礎を、個人面接・体験過程・グループの三面から学ぶテキスト。反射・要約・感情明確化のマイクロスキルを、“態度条件”(受容・共感・自己一致)と結び直す。技法に偏らない“あり方”の訓練が進む。
- PCAの核をきちんと身につけたい人
- フォーカシングの体験過程を学びたい人
- グループアプローチに関心がある人
おすすめポイント:フォーカシングのステップを面接に入れると、停滞が動き出す瞬間を幾度も体験した。
14. 心理カウンセリング 投影物語り法入門
物語を媒介に自己理解を促す“投影物語り法”の入門。素話・再語り・共同構成を通じ、クライエントの意味づけが更新される過程を扱う。評価・適用範囲・禁忌の説明が明確で、導入しやすい。
- 言語化が難しいクライエントへのアプローチを増やしたい人
- 物語・ナラティヴに関心がある人
- 学校・地域でのグループ活用を検討する人
おすすめポイント:再語りの“間”を大切にすると、自己像が自然に立ち上がる場面を何度も見た。
15. カール・ロジャーズ カウンセリングの原点(角川選書 649)
ロジャーズの語りを通して、受容・共感・自己一致の原点を再確認できる。技法解説書では得られない“人間観”が、実践の背骨を強くする。理論史的背景の整理もされており、来談者中心の誤解をほどくのに役立つ。
- ロジャーズを一次資料に近い形で学びたい人
- 支援者としての在り方を見直したい人
- 態度条件を面接に体現したい人
おすすめポイント:相手の世界を“借りる”感覚が腑に落ち、反射の精度が上がった。
16. 心理学的支援法:カウンセリングと心理療法の基礎
支援法の共通基盤を学ぶ標準テキスト。関係構築、アセスメント、仮説立案、介入、評価、倫理を一気通貫で解説し、複数アプローチの“共通項”と“相違”が見える。初任者が迷いにくい道筋だ。
- 実習前にプロセス全体像を掴みたい人
- 複数技法の使い分けを整理したい人
- 面接設計のチェックリストが欲しい人
おすすめポイント:仮説→検証→修正の小ループを意識するだけで、面接の質が安定した。
17. 心理カウンセリング序説:心理学的支援法(放送大学教材)
放送大学の教材らしく、平易な語りで理論から実践・倫理までを俯瞰。章末の振り返り問題が良質で、自習・初学者の伴走に向く。教養と専門の橋渡し役として優秀だ。
- 独学で基礎を固めたい人
- 授業前の予習・復習用に
- 教養科目として全体像を掴みたい人
おすすめポイント:要約練習の設問を面接準備に流用すると、初回面接の緊張が和らいだ。
18. 河合隼雄のカウンセリング入門 実技指導をとおして
河合隼雄の実技指導を軸に、臨床の呼吸と手触りを伝える名著。表層のテクニックに終わらず、比喩・夢・無意識・文化を含む“深い聴き方”を体感できる。読み返すたびに新しい発見がある“長期使用”の一冊だ。
- 日本的文脈の臨床を学びたい人
- 比喩・象徴の扱いを豊かにしたい人
- 実技指導のエッセンスを追体験したい人
おすすめポイント:比喩を急いで解釈しない“待つ姿勢”が身につき、クライエントの自発性が増した。
関連グッズ・サービス
学びを現場で生かすには、読む→練習→振り返りのサイクル化が効く。以下は相性がよかった。
- Kindle Unlimited ― 基礎〜実践書の横断読みとハイライト連携で、面接前の“要点見返し”が速くなる。
- Audible ― ロジャーズや支援法の章を耳で反復。表現の言い回しが自然と定着した。
-
Kindle Paperwhite (16GB) 7インチディスプレイ、色調調節ライト、12週間持続バッテリー、広告なし、ブラック
― 夜間でも目に優しく、ケースメモとハイライトを紐づけて参照しやすい。
まとめ:今のあなたに合う一冊
カウンセリング心理学は、理論・技法・倫理を“関係の中で統合する学び”だ。全体地図が欲しければ『新版 カウンセリング心理学ハンドブック』、すぐ面接の型を掴むなら『カウンセリング心理学入門(PHP新書)』、倫理・責任まで踏み込むなら『カウンセリング心理学ーカウンセラーの専門性と責任性』、原点を体に落とすなら『カール・ロジャーズ』『河合隼雄のカウンセリング入門』が軸になる。
- 気分で選ぶなら:『心理学的支援法』
- じっくり読みたいなら:『総説カウンセリング心理学』
- 短時間で実務に活かすなら:『ハンドブック[実践編]』
小さく始めて、続けて、振り返る。スーパービジョンと記録を味方にすれば、面接の質は確実に上がる。
よくある質問(FAQ)
Q: 初学者はどれから読めばいい?
A: 『カウンセリング心理学入門(PHP新書)』で面接の地図→『キーワードコレクション』で用語整理→『新版ハンドブック』で深掘り、の順が失敗しにくい。
Q: 面接がすぐ行き詰まる。何を見直せばいい?
A: 『傾聴の心理学』で態度条件とマイクロスキル、『ハンドブック[実践編]』で導入〜目標設定〜評価のプロトコル、『心理学的支援法』で仮説→検証の小ループを整える。
Q: 倫理・責任や多職種連携が不安。
A: 『カウンセリング心理学ーカウンセラーの専門性と責任性』『学会ハンドブック上下巻』が標準。守秘・同意・記録・危機対応の文例とチェックリストを整えておく。
Q: ロジャーズ/河合を実践に落とすコツは?
A: 『カール・ロジャーズ カウンセリングの原点』『河合隼雄のカウンセリング入門』を通読し、面接で“待つ・映す・確かめる”を一つずつ丁寧に実装する。解釈は急がず、言葉が生まれる場を守る。








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