自分では経験できない人生を送ってみたい。
そんな願望は誰もが少なからず持っているのではないでしょうか。
読んでいく内に感情移入して、違う人物になっていく錯覚に囚われる本を三冊紹介します。
『死ねばいいのに』
著・京極夏彦
3ヶ月前自宅マンションで何者かによって殺害され高島さんに突然現れた若い男が彼女のこと教えて欲しいと
6人の主要人物に執拗に迫ります。彼女と同じ職場で不倫関係にあった上司の山崎、彼氏を取られた事逆恨みしている隣人を篠宮香織
彼女をかくまっていたヤクザの佐久間、結婚と離婚を繰り返す朝美の母親直子、そして刑事弁護士見知らぬ若い男に心をかき乱され
じわじわ問い詰められていく彼らの様子が読んでいてドキドキします。
果たしてどのような真実が浮かび上がるのでしょうか。そしてこの男の正体とは。
この本の魅力は何と言ってもそのタイトルでしょう。口に出すべき言葉ではないのに
なんだか手に取らずにはいられない雰囲気を醸し出しています。
『スタッキング可能』
著・松田青子
雑誌掲載誌から話題の新人作家によるはじめての単行本。
タイトルにも使われているスタッキング可能の他六つの話で構成されています。いつでも主人公はA氏、B村など匿名で進行していきます。
一つのオフィスビルのそれぞれ別のフロア内の話で構成されており、同じアルファベットの人物は交わることはないか
あったとしても別の人間として描かれています。日本社会の奥底を描いているという内容にもかかわらず、その時々にテンポがあって気持ちがいい文章ですね。
タイトルや主人公の名前を含め最後まで著者のこだわりが感じられる作品です。 展開がコロコロ変わるけどそれでいてきちんと計算されているので推理小説好きな大学生にオススメの本です
『わたくし率 イン 歯ー、または世界』
著・川上未映子
脳みそでも子宮でもなく私は奥歯でものを考える。私の奥歯こそが私であるという信念を持つ主人公です。
そんな彼女自身の様々な哲学的な要素を関西弁のリズミカルな口調で綴っています。
私とは何かという命題をインパクトのあるタイトルが随所に彩っています。変わった題名ですが作者が内容を考慮したらこうなったのだそうです。
さいごに
これは読んでみて納得ですよ。ちょっと常識から離れてみたいそんな主婦の方にオススメの本です。
誰かが言ったけど、読書というのはちょっとした冒険だというのはなるほどなと思いますね。
読むことで違う人生を生きられるというのは、とてもおもしろい体験ですよ。