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【モラハラ 本 おすすめ】モラハラに警鐘を鳴らす、「普通」とは何かを考えさせる本3冊

「あの人は普通じゃない」「そのぐらい言わなくてもわかる」「常識的に考えて〜」そんな言葉を誰かに対して言ったことはありませんか?
実はこれ、モラルハラスメントという立派な嫌がらせ行為の一つ。普通や常識というのは、実は人によって環境によって異なっていて当たり前のことなのです。でも私達は社会生活の中で、多数派を「普通」少数派を「普通ではない」と振り分けがちで、「普通ではない」とされたものを集団の中から疎外してしまいがちです。
そんなモラハラ大国ニッポンに警鐘を鳴らすような、果たして「普通」とは、「常識」とは何なのかを考えさせられるような本をここに3冊ご紹介致します。

 

「コンビニ人間」村田沙耶香

コンビニ人間

芥川賞作品を何か一つ読んでみたいという方におすすめの本です。
子供の頃から「普通ではない」と周囲から見られて来た主人公が、コンビニ店員として働くことで「普通」という、社会の歯車の一部となったことで自身の生き方を見つけるというところから物語は始まります。更に同僚達の話し方や持ち物を真似て「普通」を得たはずが、実は主人公が周囲からどのように思われていたのか怒涛のように描かれる終盤は思い出す度に全身が震えます。「普通」である人々の恐ろしさが如実に描かれた作品。

 

「コンテクスト・オブ・ザ・デッド」羽田圭介

コンテクスト・オブ・ザ・デッド

TVで著者を見たことはあるけど本を読んだことはない、という人におすすめの本です。
渋谷の街に突如としてゾンビが現れ原因不明のまま数だけが増えていくというストーリーです。オムニバス形式で複数の視点からその現象を読み進めていくうちに、ゾンビに噛まれてもゾンビになる人間とならない人間がいることがわかって来ます。多くのゾンビ映画がそうであるようにこの作中でもゾンビはただの比喩であり、このゾンビ達はすでに私達の社会の中に数多く存在する、多数派の人間ばかりだと感じました。そして自分はゾンビになっていないか否か、自ずと考えさせられる作品です。

 

「夫のちんぽが入らない」こだま

夫のちんぽが入らない

タイトルの通りの事情を抱えた著者のエッセイ。しかしその事情は著者の抱えている問題のほんの一部に過ぎず、幼い頃から地元の「普通」や「当たり前」に流されて来た人だとわかります。そこにタイトルの事情が重なり、普通の人が当たり前のようにやっていることが出来ない、という事実が、夫と交際を始めた大学生の頃から結婚後に社会人になってからでも、著者をいかに苦しめたのかがわかる作品です。

 

最後に

いかがだったでしょうか。
モラルハラスメント、というと堅苦しい言葉のようですが、実はとっても身近な行為や思想であり、多くのモラハラ加害者はモラハラ被害者であり、他人に「普通」を押し付ける人は過去に誰かに「普通」を押し付けられて来た人ばかりではないかと私は考えます。
そんな社会の息苦しさに気付く人が、ここで紹介した本によって一人でも増えると嬉しいです。

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