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東日本大震災をもう一度振り返りたい、見つめ直したい人におすすめの本

『IT時代の震災と核被害』

IT時代の震災と核被害 (インプレス選書)

宮台真司

 本書はグーグルの72時間という巻頭ドキュメントから始まっています 。Google は3月11日、地震発生からわずか1時間46分という驚くべき速さで、日本語版の安否情報確認ツール「パーソンファインダー」を公開しました。まだほとんどの人たちが避難したり動揺していたりしたなか。六本木ヒルズ森タワー26階では Google 日本法人の社員が、独自判断でシステムやサービスの立ち上げに取り組んでいたのです。
 最終的には67万人以上の登録者数を集め大きな注目を集めた「パーソンファインダー」。その立ち上げの舞台裏では何が行われていたのか。本性はドキュメント形式でその72時間を記録しています。一般に、危機に瀕して初めて世の中変わることができるといいます。今回の災害により政治や経済は変われなかったにしても、IT業界は変わっていくはずです。災害時のIT企業と行政との連携、放送と通信の融合などいつか振り返った時に、あれが転換点だったと言われるかもしれない数々の事実が紹介されています。IT関連企業に就職しようとしている大学生はぜひ読むべきオススメの本ですね。


『ヤクザと原発 福島第一潜入』

ヤクザと原発 福島第一潜入記

記鈴木智彦

 本書は福島第一原子力発電所に作業員として潜入し、その内部の実態を明らかにしたルポルタージュです。メインは福島第一原発への潜入取材なのですが、その入り口と出口の取材相手として暴力団が存在しています。表社会と裏社会が接する界面のような場所が本書で描かれている世界なのです。
 著者が潜入するきっかけとなったのは、暴力団の取材中における何気ない世間話からなだったのだそうです。「原発は儲かる。堅いしのぎだ」そんな一言に興味を持った著者は福島第一原発、通称1 F で働くことを決意します。本書で描かれていることは光の当て方の一つに過ぎないという見方もあるでしょう。しかし突きつけられているのは、普段使っている電気というものがどこまでも深い闇の中から生まれているという現実でしょう。そしてそれが簡単に表に出てこないという構造自体にも問題があるのではないでしょうか。そういう問題提起に興味がある社会人に読んでほしいですです。


『仮設のトリセツ もし仮設住宅で暮らすことになったら』

仮設のトリセツ―もし、仮設住宅で暮らすことになったら

岩佐明彦

  2004年から2007年にかけて、水害や中越地震、中越沖地震に見舞われた新潟県では多くの人々が仮設住まいを余儀なくされました。その時に新潟大学工学部建設学科の岩佐研究室が住人達から意見を募り仮設の知恵の研究を行いました。東日本大震災にその時の治療知識を活かすべく学生たちはホームページ仮設のトリセツを立ち上げました。
 この研究からの何よりの発見は、大工仕事の得意な人に頼むということなのだそうです。今回の震災では船大工や漁師など日常的に大工仕事をしている人が多い仮設では素晴らしい工夫がなされています。手間賃を払うことという但し書きがされなくても、高齢者や不器用な人たちはそういう人を頼ることになるでしょう。こんな当たり前のことを指摘されるまで気付かせてくれたのがこの本を読んだ収穫ですね。何年かに一度は災害に見舞われるこの国で知恵の蓄積が早く望まれます。

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