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著名人の娘たちが書く食べ物の本三選

日々の楽しみのひとつに「食」を挙げる方は多いと思います。TVやラジオでも毎日のようにグルメ特集が放送されますし、書店にはレシピ本・お店の紹介本・食にまつわるエッセイ本などなど、実にさまざまな「食」に関する本が並べられています。「食」はいまや国民的な娯楽のひとつとも言えるでしょう。
そこで私がおすすめしたいのは、著名人の娘たちがかつての思い出と共に「食」について書いたエッセイ本です。娘である彼女たちもまた、自身の小説作品でその名を広く知られている方ばかりで、おすすめです。

 

「娘の味 残るは食欲3」

 

娘の味 残るは食欲3

一冊目は「娘の味 残るは食欲3」(阿川佐和子著)。司会やインタビュアーとして活躍する一方で、ドラマ化もされている小説『ウメ子』『正義のセ』を上梓している著者。彼女のご尊父は代表作『春の城』『雲の墓標』などで知られる作家であり、文化勲章受章者でもある阿川弘之氏です。
亭主関白で頑固者と称されるご尊父との思い出は他の著作にも多く登場しますが、この「娘の味」には特に阿川氏が好んだ“食”にまつわるエピソードが娘からの視点で収められています。特に印象的なのはご自宅でのスキヤキのエピソードです。阿川氏こだわりの、鍋に直接砂糖を振りかける関西風のスキヤキの描写には思わず、食べてみたい!と唸ってしまいますよ。

 

「ごはんのことばかり100話とちょっと」

ごはんのことばかり100話とちょっと (朝日文庫)

二冊目は「ごはんのことばかり100話とちょっと」(よしもとばなな著)。デビュー作『キッチン』が大ベストセラーとなり、一躍人気作家となった著者。彼女のご尊父は詩人・評論家の吉本隆明氏です。その鋭く的確な評論は各界に強く影響を与え、音楽批評家・ロッキングオン社社長の渋谷陽一は【吉本隆明がいなければロッキングオンはなかった】と公言するほどです。
そんな吉本氏との幼少からの“食”にまつわる思い出が、こちらの本では折に触れて登場します。中でもおなじみ“谷中銀座のお惣菜”についての描写はいつ読んでも素晴らしく、揚げ物を食べたくてたまらなくなりますよ。

 

「紅茶と薔薇の日々」

紅茶と薔薇の日々: 森茉莉コレクション1食のエッセイ (ちくま文庫)

三冊目は「紅茶と薔薇の日々」(森茉莉著)。『父の帽子』『甘い蜜の部屋』等の小説や、独特の美学と感性で綴るエッセイで没後もなお、熱烈に支持され続けている著者。彼女のご尊父は『山椒大夫』『高瀬舟』が授業や教科書に取り上げられている文豪・森鴎外氏です。
高い知性と品格を持つパッパ(鴎外)に溺愛され育った著者が、その思い出の中でも“食”にまつわるエピソードを多く書き残したのがこちらの著作です。宮中に招かれたパッパが持ち帰ってくれた美しい砂糖菓子、西洋料理屋で楽しんだロウスト・ビイフ、スウプにバタア…。その独特の表記と生々しい記憶の断片が、あなたの味覚を刺激してくれること間違いなしです。


以上が、私がおすすめする「著名人の娘たちが書く食べ物の本三選」です。どの著者も、それぞれのご尊父も、自分自身の作品で名を上げた方ばかりですので、興味が出たらそれぞれの著作を手に取ってみるのも楽しいと思います。

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