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【人間関係 疲れる おすすめ本】疲れたら、読んでほしいおすすめ本

引きこもりで生きているのでない限り、人間は他人と関わって生活しなければなりません。
その中では、どうしても気の合わない人というのは存在するものです。
そういう人間関係の中で自分は傷ついているなと自覚しだしたら読んでほしい本があります。

 

『「つながり」の精神病理』

「つながり」の精神病理 中井久夫コレクション2 (ちくま学芸文庫)

著・中井久夫
本書で取り上げられるのは例えばトラウマという言葉を耳にして想像する誰かからの非道な虐待であったり、悲惨な事故であったりといった大きなことに晒された上で心を病んでしまう事例ではないのです。
どちらかと言うと日常にある小さな歪みに継続的に侵食されることによって、ある日、道を間違えてしまうといったニュアンスとものが多く、親しみやすいという言葉は変かもしれないけど、やはり心当たりのひとつやふたつ覚える症例が出てくるでしょう。
大きな傷ひとつで人間は倒れるけれども、浅いたくさんの傷もいずれ人を病ませる、そのことについてただモヤモヤするのではなくちゃんと説明をできるようにしてくれる非常に画期的な本だと言えます。
心療内科に行かなきゃなーと思ってて、でもまだ腰が重い、そういう人に読んでほしい本です。

 

『ケアの倫理 ネオリベラリズムへの反論』

 

ケアの倫理 (文庫クセジュ)

著・ファビエンヌ・ブルジェール
この本を読むと自分の周囲における職業的であったり私的であったりする無数の気遣いに思いを馳せずにはいられなくなります。
なるほど人はひとりでは生きられないというこの本が突きつけてくる事実は、何もありきたりな男女関係や親子間の関係には止まりません。
一人の人間が寝床から起きて服を着るというだけのことにも、ベッドを作る人、シーツを縫う人、服の生地を作る人、それを加工する人など無数の人が関わっていてやはり人はひとりでは生きられないということがわかるでしょう。
生産性の高い人たち、つまり稼いでいる人達、それを取り巻く拝金主義者たちが後生を大事に崇めている生産性の裏には、実は無数のケアがあり無数の人々が時には不当な給与で支えているのです。
そのことを改めて指摘し解きほぐす本でもあると言えます。介護職の人材が足りないと言っている現代にこそ皆に読まれるべき本でしょう。

 

『アイデンティティと暴力運命は幻想である』

アイデンティティと暴力: 運命は幻想である

著・アマルティア・セン
自分のアイデンティティとは何か、実際のところは多様な人間自身をたった一つの要素に集約される何者かと決めてしまうことが暴力を行使したい側に利用されてしまうという状況を懸念しているのが本書です。
どうしてこの世界において人間同士の衝突が一向に収まる気配がないのか、著者はその原因を多様な人間のアイデンティティの矮小化に鍵があるとします。
自分がどう生まれたかによって自分を決めるのでもない、自分が何者であるかは自分で選ぶのだ。
そういう論調は終始穏やかながら運命は幻想であるというサブタイトルは力強いメッセージを伝えてくれます。
自分はもっと他の家に生まれたかったと嘆いている中高生にオススメの本です。

 

他人とうまくやっていくためには、なぜ他人と争うのか、なぜ他人を攻撃してしまうのかということを知らなければなりません。
そのことが分かると、対策の糸口が見えてくるでしょう。

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