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壮絶でドラマチックな人生に触れてみたい方におすすめ本3選

『非道に生きる』

非道に生きる (ideaink 〈アイデアインク〉)

園子温

もし小学校の通知表に、性的異常が見られます、と先生に書かれたらどんな気持ちになるでしょうか。普通は落ち着きがないとか、教師の話を聞かないなどがマイナス面の評価ですが、この性的異常という言葉にはなかなかお目にかかれませんね。園子温少年は一体小学校時代に何をしたのでしょうか。
 彼は何と全裸で性教室に入っていたのだそうです。全裸であることをこっぴどく叱られた彼はこれくらいではへこたれません。全裸がダメならと今度は下半身だけ丸出しで教室に入って行きました。それを禁止されると、きちんと服を着て教室に入り、授業中にこっそりとパンツを下ろしたのでした。まるで一休さん並みのとんち力で教師の裏をかく著者は、その後も様々な知恵を使います。この本は読んでいて楽しい読後の高揚感、満足感を味わえます。しかしそれだけではありません。読了後にあなたはずっしりと重たいものを感じるはずです。園は映画は巨大な質問状であるといいますが、本書もまた読者に質問を投げかけてくれるのでしょう。芸術を志す大学生にぜひ読んでほしいおすすめの1冊です。


『シークレットレース ツール・ド・フランスの知られざる内幕』

 

シークレット・レース―ツール・ド・フランスの知られざる内幕 (小学館文庫)

タイラー・ハミルトン

 2013年はツールドフランスの記念すべき第100回大会でした。ランス・アームストロングがとうとうドーピングを認めたためにいつにもましてクリーンな大会になっていました。

本書はかつて『ただマイヨ・ジョーヌのためではなく』で人々を感動させた世界王者ランスアームストロングのアシスト、タイラー・ハミルトンが自転車競技のジャーナリストダニエル・コイルに語った衝撃の告発書です。強くなりすぎたハミルトンはアームストロングに排斥され姑息な手段で競技生活を妨害されたと告白しています。

失意のどん底の日々の果てにたどり着いたのはドーピングの告白でした。ジャーナリストがまとめた文章は読みやすく、当時の状況も理解しやすいです。でも読後に苦い味が残る本でもあります。


『OPEN アンドレ・アガシの自叙伝』

 

OPEN―アンドレ・アガシの自叙伝

アンドレ・アガシ

  英才教育というものにもいろいろありますが、アンドレ・アガシが受けた物は壮絶なものです。生まれて間もない息子が眠るベビーベッドの上から、テニスボールのモビールを吊るし、息子の右手に卓球のラケットをくくりつけて、ボールを打ってごらんと語りかけたという、元ボクサーでテニス狂の父親。彼に育てられテニスをしたいか?と誰からも訊かれることのないままにテニスが人生そのものとなった少年。

7歳にして改造ボールマシーンドラゴンが放つ剛球をひたすらに打ち返す日々を強要される毎日。

リターンをネットにかけようものなら父親から罵声を浴びせられるという極限状態で生き抜くしかなかった悲しき天才。悲哀と矛盾を抱えながら、でも愛に溢れ、どこか甘美でさえある英雄の物語、それゆえ本書は多くのスーパースターの自叙伝とは一線を画した傑作といえます。社会人になって選択の自由があることのありがたさを感じてほしい一冊です。

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