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【宗教×洗脳 おすすめ小説】「洗脳と宗教」をテーマに書かれたシリーズ小説

今回は、洗脳・宗教がテーマの小説を紹介します。

それは新堂冬樹著の『カリスマ』という本。

大学生や社会人にもおすすめです。

『カリスマ』

 

カリスマ〈上〉 (幻冬舎文庫)

 新堂冬樹さんの「カリスマ」は15年ほど前に書かれたもので、オウム真理教が起こした事件の記憶がまだ皆の記憶に鮮明に残っている時期でした。オウム真理教の事件が良く報道されるようになってから、洗脳やマインドコントロールといった概念が広く浸透したように思われます。洗脳は恐ろしいという恐怖を人々が認識したのはその事件がきっかけだったのではないでしょうか。
 この小説は洗脳の恐ろしさを見事に描ききっています。人間がどのような心理状態の時に、どのように洗脳され、人間が変わっていってしまうのか。追い込まれた人間がどうして洗脳されてしまうのかが細かく描写されているため、そのプロセスだけでも洗脳というものの理解が深まり楽しめます。ほとんどの人間は自分は洗脳されない。自分は大丈夫だと思っているのではないでしょうか。しかし、その自我も追い込まれると悲しいくらい簡単に崩壊してしまうという恐怖が感じられます。

また、 マンガでも読めるので、こちらもおすすめです。

カリスマ : 1 (アクションコミックス)

 

どんなあらすじか

 主人公は幼い頃に、母親がカルト宗教にはまり、壮絶な体験をすることによって、今度は自身がカリスマとなり復讐するという話です。終盤は洗脳の専門家が出てきて洗脳の掛け合いになってくるのは、実際のオウム真理教の信者の逆洗脳を思わせます。

洗脳を特には洗脳をかけ返すしかないというのは、確固たる自分、確固たる自我などは存在しないという恐ろしさがあります。つまり、現在の自分も誰かしらによって洗脳された価値観を持っており、その自分もいつ変質し、違うものになるのかはわからないということです。

 

最後に

 「自分が自分で無くなるというのは、死ぬことと変わりがない」ようにも思います。なので人間は確固たる自分というのを想定しないと、不安で押しつぶされてしまうものです。つまり人間というのはとても脆いものだとも言えます。
 実際にオウム真理教の事件に関わった、苫米地英人の『洗脳原論』を合わせて読むと面白いと思います。

洗脳原論

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