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「脳の仕組みはどこまで解明されているのか?」が分かるオススメ本

『意識は傍観者である 脳の知られざる営み』

意識は傍観者である: 脳の知られざる営み (ハヤカワ・ポピュラーサイエンス)

デイヴィッド・イーグルマン

 我々が自分の意識によってなされたと思っている決断の、どれほどが本当に自分の意思に基づいているのか。本書を読み進めていくうちに、自分の足元がぐらぐらしてくるような感覚を覚えて不安になる本です。
 ラプラスの悪魔は存在しないと証明されたが、私たちの行動は意識にのぼらないプログラムによってコントロールされ、決定されているのではないかとさえ思えてきます。本書で示される多くの興味深い事例によって、世界の中心にいたはずの自分の意識がどんどん傍観者という辺境に追いやられてしまうように感じられます。
 著者は現在の法制度についても、かなり踏み込んだ議論を展開しているので、後半は唸りながら著者の考えと自分の考えを戦わせながらじっくり読むことになるでしょう。哲学を専攻している大学生、議論好きの社会人の人にオススメの本です。

 


『喜びはどれほど深い? 心の根源にあるもの』

喜びはどれほど深い?: 心の根源にあるもの

ポール・ブルーム

  アートを例にとって、それに対して感じる喜びは、創作者ないし使用者の名残が宿っているという信仰から生まれています。アートに限らず、人間はこうした屈折した喜びを持っています。なぜなのか、またそれはどこから生まれたのか。心の進化とどう関わっているのでしょう。
 本書は認知科学の分野の見解である本質主義を軸にしてこうした問いに答え、人間の喜びの原点を探っていっています。人間はあまりに複雑な生き物で、普段はその複雑さを忘れています。だからこそ喜びの奥深さを知ることで、自分の普段の選択や行動を振り返ることができるのです。あなたが昨日飲んだワインに喜びを感じる理由は味とラベル以外にもあるはずでしょう。あなたが妻を愛する理由はあなたが思ってるより単純ではないということ、この本に登場する実験から納得するのではないでしょうか。

 

『快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか』

快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか (河出文庫)

デイヴィッド・ J ・リンデン

 お酒を飲む人なら二日酔いという経験をした人があるでしょう。そして翌朝、頭痛で目が覚めて後悔をしたことがある人も多いはずです。これは、好きでしているはずなのに振り返ってみると、あたかも誰かに操られたように行動してしまっていた、誰にでもそんな経験があるのではないでしょうか。
 意志の力をあっさりと超えて私たちを突き動かしているものは何なのか。本書にはそのヒントが示されています。著者は現在の脳科学でわかっていることと、わかっていないことの境界を明確に描き出しています。人間は皆、遺伝子と脳内物質の奴隷だと結論づけることは容易だがそれは明確な間違いだと言います。神経回路の変化は我々の行動を通じて生じており、その変化が我々の個性を形作っている脳には可塑性があり、脳と行動の因果関係は双方向的なのだと述べています。つまり快感回路に操られているようにも見える我々は回路そのものを変えることができる可能性を秘めているのです 。なんだか希望が持てますね。

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