ほんのむし

読書はみんなのサプリ

【ギャンブル小説 おすすめ】ギャンブルを描いた名小説・エッセイおすすめ3選

ギャンブルに手を出すのは怖いけど、ギャンブラーの世界を覗いてみたい、ハラハラドキドキの心理を知りたい、という方のためにこの世界で名著と呼ばれている本をご紹介します。

「麻雀放浪記」

麻雀放浪記〈1〉青春篇 (文春文庫)

まずは阿佐田哲也の「麻雀放浪記」。

終戦直後の東京の混沌としたドヤ街を舞台に、生き抜くために博打を生業としていたアウトロー達の物語です。阿左田自身の分身である主人公「坊や哲」が、「ドサ健」「出目徳」「女衒の達」といった一筋縄ではいかない個性的な面々と喰うか喰われるかの死闘を麻雀で繰り広げます。

「麻雀は運のやりとり」「落ち目の人の逆を行け」「人生、適当に負けることが大事」など、人生にも通じる阿佐田の哲学が散りばめられた圧巻のピカレスク小説です。

 

「パチプロ日記」

田山幸憲パチプロ日記(1)

パチプロの世界を独自の文体で描いたのが田山幸徳「パチプロ日記」。東大中退という異色の経歴の持ち主で、手打ちの時代から一つの店だけで稼ぐ「ジグマ]というスタイルで生計を立ててきたパチプロです。この日記はパチンコ月刊誌に連載をしていた人気シリーズをまとめたもので全10巻(別巻もあり)を数えます。

どうすれば勝てるかというパチンコの技術・攻略書の類の本ではなく、パチンコを打たざるえない心境や、パチンコ店で出会う人々との交流を描いています。

「ケも無し」「してやったり!」「タテの比較」など独自の造語を用い、人生の哀感が感じられる文体でその日その日の出来事を綴っています。「パチプロになぞなるべきではない」とか「その日の酒代が稼げればいい」という屈折した思いと美意識を抱え、その人柄に惹かれて実際に店に訪れるファンも多くいたことで知られていました。

「パチプロ日記」「麻雀放浪記」共に漫画や映画の派生作品があるのでそちらも楽しめます。

 

麻雀放浪記(1) (アクションコミックス)

 

田山幸憲パチプロ日記 1 (キングシリーズ 漫画スーパーワイド)

 

「草競馬流浪記」

草競馬流浪記

昭和の終わり、編集者をお供にして全国の地方競馬を訪ね歩いたのが山口瞳の「草競馬流浪記」。現在では廃止されてしまった、三条や中津などを含めた地方競馬場27箇所の完全踏破の記録です。

豪華な設備を誇り、CMをバンバンながす中央競馬と比べ、予算も少ない、地方の寂れた町にある地方競馬場で、著者は馬券を購入して手に汗を握ってレースを眺め、名物を食べ、土地の人と交流する読み物です。時には貧弱な設備を嘆いたり、土地の人間のあけすけな人品を揶揄したりしますが、底に流れている競馬に対する深い愛情が伝わってきます。

現在の来場者数の激減ぶりと比べ、はるかに賑わっていた当時の入場者数などのデータが付帯されているのも貴重かも知れません。

写真判定のなかった頃は審判員が馬券を買うという事件があったとか、落馬が頻発するというコーナーで実際に落馬事故を目撃して「これは社会問題だ!」と憤ったり、ヤクザに見張られていたりなど、面白いエピソードが散りばめられている、現在読んでも楽しめる競馬珍道中です。

Copyright © ほんのむし All Rights Reserved.

Privacy Policy